杉田七重のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
SFとしては設定があるあるなのと、突っ込みどころが多くて勢いで押し切るほどでもないのが気になった。船内クーデター(?)で実権を握った「コレクティブ」も、地球人の記憶を消し、従わないものを「粛清」するほどの冷酷さを持ちながら、なぜかペトラたちのかつての持ち物や本をきちんと分類して保管するなど、なかなか脇の甘いところがあって謎。
とはいえ、中盤はペトラの脱出計画がうまくいくかというハラハラだけで一気読み。こういうドキドキする本てストレス大きいんだよねなどと思いつつ。
なので物語の力……というよりは、エンタメとして読んだかな、という感じでした。
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【この先ネタバレ】
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クライマックスでペトラがつかまって、もう一度記憶を消されるんだけど、結局無事というか、記憶は消えないまま残るのだけど、それはあの夢で描写された記憶の中の司書やおばあちゃんが、記憶のファイルを守ったからなのかな。設定の根幹にかかわるところなので、あそこらへんがいちばん作品としてあいまいに感じるところだったかも。 -
Posted by ブクログ
この本を手に取ったきっかけは、何となく面白そうだったから。ロゼッタストーンの解読に挑戦する天才2人にフォーカスしながら、ナポレオンをはじめとして、数々の冒険野郎を脇に固めたストーリー展開、翻訳にフォーカスしたらすぐに飽きてしまうであろう話を楽しく読み進めることが出来た。
それにしても、この本に出てくる大半の人たちは、人生を賭けてるのがすごい。メイン主役のシャンポリオンはこれだけに人生を捧げていて、天才って人生を捧げて何かを成し遂げる人の事だなと。
個人的に面白かったポイントは、文字の発明が、人が集まったからと言う推察の部分。必要に迫られたから作られたなんて、その前の生活とかどうなってたんだろう?とか、現代でも必要に迫られて発明はされると思うんだが、今だと必要な物って何なんだろう?人を集める事で必要な物が発明されて来た歴史に対して、人が減っていく日本では発明がいらないのか?いるのか?など、頭の体操になりました。
あとは、文に現れる文字の頻出頻度を見ていくテクニックとか、今の翻訳の精度を上げた手法の一つは100年以上前にやってる人がいて、こう言う知見が広く知れ渡る事で新しい発明とか産まれるんだろうなと言う期待も。
筆者は、エドワード・ドルニック氏で、サイエンスライターの肩書き。
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Posted by ブクログ
滅亡する地球から脱出し、新たな星での民話や伝承を伝える「語り部」なることを夢見るペトラ。だが星へ向かう途中船内で革命が起こり、再び起きた時には「画一化、均一化」を掲げる社会が形成されていた。
説明にあった「物語を武器に立ち向かう」とはどういう事なのか興味を持ったのがきっかけで読み始めました。
新天地で活躍するため、最新の技術により科学の知識を脳にインストールすることができるSF要素と、おばあちゃんから伝説や民話を教わる場面が同居してて味わったことのない読書体験でした。
知識や物語は脳にインストールしただけでは意味がなく、自分のものとして使う(語る)事で意味が生まれる。
誰もが同じ身体、同じ考えに統一された世界で少しずつ自分や仲間の記憶をつないでいく話でした。
毎度のことながら…知識無しで読んだので児童文学という位置付けということを知らず、終盤まで「この大風呂敷畳むの無理では!?」という気持ちでしたが、事件の解決というよりも主人公が語り部として成長するまでを描いているのだと納得し満足。
これは子供にも読ませたいかも(まだ当分先ですが…)
多様性の話、コチラは肯定的ですがちょうど今「正欲」を併読していて合わせて色々考えてしまう。 -
Posted by ブクログ
嵐に巻き込まれ遭難したヨット初心者の英国少年と、わけありそうなベルベル人の少女が、偶然出会い、漂流し、そして・・・という物語。
海の生物、大海原、嵐の描写が迫真に満ちており、引込まれる。
過酷な環境の中、物語を小馬鹿にしていた少年が、やがて少女に物語をせがむ・・・
物語は生きる力・・・
「そうなんだよ、少年!」大きくうなずく私w
アフリカの事情に疎く、そこも衝撃。まさかあの国で・・・と。
民族問題を織り込み、少年と少女が共に漂流し、苦みの遺る展開が、現代版漂流記。「十五少年漂流記」や「ロビンソン・クルーソー」のような冒険譚では終わらない。
ラストに涙し、胸が熱くなる。 -
Posted by ブクログ
自分と同名の画家ゴッホのボートの絵と小さいときに読んだ物語の一場面に出てくるロマのおじいさんの「行き先は道まかせ」に惹かれて、フランス南部のカマルグを旅するヴィンセントは、暴風と蚊と急な体調不良から行き倒れてしまう。目が覚めたところは、暖炉のそばのソファーの上で、そこには、ケジアと犬のアミと変わった中年男性のロレンゾが住んでいた。ロレンゾはきちんと話をするのは苦手だったが、心をよく読み、人も動物も癒やすことができ、何よりも完璧にフラミンゴになることができた。ケジアは、小さい頃から「フラミンゴボーイ」と呼ばれていたロレンゾと自分たちの過去を語り始める。
ロマとして差別され、強制収容所行きの恐怖に耐える少女と、人と違う言動により蔑まれる少年、それぞれの親たち、敵として現れながらも人として協力を惜しまないカポラル、それぞれが協力しあい、希望を持って生き抜こうとする姿を、厳しくも美しいカマルグの自然を背景に描く物語。
*******ここからはネタバレ*******
枠の話、ヴィンセントが旅に出たり、旅から戻らずにそこに居着いてしまったり、さらにそこで、カポとの感動的な再開に出くわしたりというところは、いささか作った感が強く感じます。
でも、ケジアとロレンゾの話は、さすがモーパーゴ、引き付けさせずにいられませんでした。
カポがあまりにも親切で面倒見が良すぎる点には疑問を持ちましたが、もともと優しい人なのでしょう。彼らへの親切は、自分の「仕事」への贖罪だったのかも知れません。
ロレンゾが他のことは違う言動を取ると気づいた後でも両親は、彼を一番いい方法で伸ばしてやっています。他の人から離れたところに住んでいたからやりやすかったとは思いますが、彼のすべてを受け入れて、彼の幸せを一番に考えていたからできたことで、それによって、彼は人や動物を幸せにする力を得たのでしょう。ひとりの親として、これは見習わなくてはポイントです。
ナチスによるユダヤ人迫害は周知ですが、ロマに対してしたことは、まだあまり知られていません(そして今でも差別は根強いように感じています)。戦争をいろいろな形で題材にする著者ですが、この作品が、知り考える機会のひとつになるのではないかと思います。
戦争を扱ってはいるものの、残虐シーンは出てこないので、高学年からオススメします。 -
Posted by ブクログ
南仏にある小さな村の湿地のほとりで、旅行中のイギリスの若者ヴィンセントは体調を崩して倒れてしまった。助けてくれたのはロレンゾとケジア。ロレンゾの話す言葉は断片的でよくわからなかったが、目が雄弁に気持ちを語ってくれた。ケジアは英語を上手に話し、二人がこの農場で暮らしてきた月日、特に戦争中の出来事について語ってくれた。その驚くべき物語とは…。
モーパーゴの語る戦争の物語は、いつも敵や味方、悲しみや混乱を超えて、圧倒的なストーリーの面白さで読ませてくれる。教訓を語らなくても、登場人物があまりにも生き生きとしているために、体験を共有して心に何かを残してくれるのだ。