山田順子のレビュー一覧
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1800年代のイングランドのお屋敷を舞台にした、少しホラーなファンタジー。ホーンデットマンションのような…
細かく区切られた表題で、字が細かいわりには読みやすかった。
登場人物が少なめで関係性もシンプルだったから外国名でもすんなりはいってきたのもよかった。
アイルランドと英国の歴史、とりわけアイルランドの歴史的苦難によって、モリー達がこうならざるをえなかった状況が、最後の作者ノートでわかり、何ともやるせない気持ちに…
最後の男たちが団結しているところや、コンスタンスに人間らしい雰囲気が出てきたりとなかなかよかった。
映像化するとしたらどんな感じなんだろうと妄想しながら読んだ。きっと実写だろうな -
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Posted by ブクログ
銀河の星々を結ぶ中継ステーションと聞いてイメージするのは、羽田のようなハブ空港。
行きかう人々。
雑踏の中で次々に起きるアクシデント。
などを想像してはいけない。
アメリカの片田舎のそのまた人里離れた一軒の古ぼけた一軒家。
そこに何日かに一回の割で訪れる宇宙人たち。
人型の異星人もいるが、植物型、液体型・・・さまざまな異星人たちと、イーノックはとれる範囲で最善のコミュニケーション、つまりおもてなしをする。
そんな牧歌的な日々。
近所づきあいはしない。
新聞や雑誌を届けてくれる郵便配達人だけが、唯一の友人と言える。
ライフル銃を小脇に抱えて日に一時間程度の散歩と、自家用のささやかな畑仕事。
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Posted by ブクログ
灰色の風が吹く。
いや、確かに空は晴れているのに、おかしなことだがこの姉弟のいく先は鈍色に染められているのだ。
そのお屋敷は草に覆われ、蔦が這い、屋根はたわみ、苔がはびこっていた。
そして一本の古い木が、主人のように植わっている。
たいていの場合、大きな古い木は優しさを湛え、見守るように聳えているものだが、この期に限ってはそうではない。
その幹に、枝に、根に、すべてに邪悪な雰囲気をまとっているのだ。
なぜか。
それはその木が、人の欲しいと願うものをどこからか出すからだ。
そのどこが悪いのか、って?
本当にそう思うかい?
ものを与える行為は決して一方的な愛の行為ではない。
必ずその代償がある。 -
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Posted by ブクログ
アメリカの片田舎にある何の変哲もない一軒家が、実は銀河の星々を繋ぐ中継ステーションだった!という飛躍がまず素晴らしい。一見するとワンアイデアものにも思えるが、冷戦という時代設定における核の恐怖であるとか人類の進化といったテーマも内包した奥深い作品。
様々な生態を持つ宇宙人たちが主人公の中継ステーション管理人・イーノックの元に訪れ、コミュニケーションをして去っていくという図式は藤子・F・不二雄の『21エモン』を彷彿とさせるが、あの作品の持つほのぼの感とは対照的に本作に漂うのは圧倒的な孤独と厭世的な雰囲気だ。ほぼ不老不死となったイーノックは老郵便配達夫の他はほとんど話す人もなく、殆どの人には先立 -
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クリフォード・D・シマックが贈るヒューゴー賞受賞の本書は、やさしさに溢れた作品です。
アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎。農家住まいの元北軍兵士イーノック・ウォレスは齢124にして、外見は30歳にも届かぬ不思議な男。じつは、彼の一軒家は銀河の星々を繋ぐ中継ステーションで、彼はその管理人なのだ。地球でただひとり異星人と接する男。その存在を怪しむCIAが調査を開始し…
解説でも触れられていますが、銀河を結ぶ中継ステーションが舞台にも関わらず、物語のおおくは、ウィスコンシンの片田舎が誇る緑豊かな自然の描写にあてられます。これは著者自身がウィスコンシン州出身であるように、彼の生まれや育ちが影 -
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・R・F・ヤング「たんぽぽ娘」(河出文庫)の 「編者あとがき」にかうある。「ヤングの短編集を編むとき、ぼくが特化したのは、ロマンスものーーというか、彼のボーイ・ミーツ・ガールものである。ほか の作家ならいざ知らず、彼の作品中ずばぬけた出来ばえを見せているのはボーイ・ミーツ・ガールものとそのさまざまなヴァリエーションだった」(384 頁)。確かに、これはこの通りの短篇集である。これ以上でもなくこれ以下でもない、ボーイ・ミーツ・ガールもの集成である。巻頭の「特別急行がおくれた日」から最後の「ジャンヌの弓」までの全13編、外れはない。どれもおもしろい。
・巻頭の「特別急行がおくれた日」は蒸気機関車運 -
ジョージ・ダグラス・ハワード・コール / マーガレット・コール / E・C・ベントリー / ニコラス・ブレイク / S・C・ロバーツ / フィリップ・マクドナルド / A・A・ミルン / ジュリアン・シモンズ / グラディス・ミッチェル / ロイ・ヴィカーズ / マイケル・イネス / クリスチアナ・ブランド / マージョリー・ブレムナー / ヴィクター・カニング / ジョン・クリーシー / エドマンド・クリスピン / ナイオ・マーシュ / マーティンエドワーズ / 浅羽莢子 / 宇野利泰 / 鈴木美朋 / 中村有希 / 法村里絵 / 深町眞理子 / 宮脇孝雄 / 山田順子3.5 (4)
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ジョージ・ダグラス・ハワード・コール / マーガレット・コール / E・C・ベントリー / ニコラス・ブレイク / S・C・ロバーツ / フィリップ・マクドナルド / A・A・ミルン / ジュリアン・シモンズ / グラディス・ミッチェル / ロイ・ヴィカーズ / マイケル・イネス / クリスチアナ・ブランド / マージョリー・ブレムナー / ヴィクター・カニング / ジョン・クリーシー / エドマンド・クリスピン / ナイオ・マーシュ / マーティンエドワーズ / 浅羽莢子 / 宇野利泰 / 鈴木美朋 / 中村有希 / 法村里絵 / 深町眞理子 / 宮脇孝雄 / 山田順子3.5 (4)
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Posted by ブクログ
本作品を知ったきっかけはビブリア古書堂事件手帖。
同名タイトルの栞子さんの本棚で『たんぽぽ娘』一度読んでいるがロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいと思い手に取った。
『たんぽぽ娘』が面白かったので他の作品もきっと素晴らしいものが多いだろうと期待を胸に宝箱を開けるような気持ちで本を開いたのだが思っていたのと少し違っていた。
というのも『たんぽぽ娘』の持つ物語の雰囲気と他の作品がちょっと違う感じだからかな。
『たんぽぽ娘』は甘くて切なく余韻が残る読後感があり、情景描写やあの有名な「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という詩のような世界観が他の作品からは感じられなかった。