山田順子のレビュー一覧

  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    『赤い館の秘密』は、アガサ・クリスティやドロシー・L・セイヤーズのような作家に比べると知名度はやや劣るかもしれませんが、クラシックミステリーの入門としても非常におすすめの一冊です。何より、「くまのプーさん」の作者が、これほどまでにしっかりとした推理小説を描いていたことに驚かされます。

    0
    2025年10月05日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    この地球でただ1人、銀河と交流ができる男。
    時間もあり、地球の誰も知らないことを学べる。

    だけど、それは自分だけ。
    誰にも共有できないし、誰にも知られない。

    1人で100年も過ごせるだろうか。

    銀河が一つではないと知ってから、宇宙人はいると思ってる人です。

    なら、なぜ私たちに会いに来ないのか?宇宙人たちも会う手段を生み出せていないからなのか、それとも会うほど価値のない生命体だと思われているのか。

    それはたぶん、イーノックしか知らないかも。

    0
    2025年06月15日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    A.A.ミルンのもうひとつのマスターピース。

    赤い館で銃声が響き、男の死体が発見される。それはオーストラリアから帰ってきたロバート、この赤い館の主マークの兄だという。しかし肝心のマークも行方不明になっている。マークの従兄弟で遺体を発見したケイリーが何かしたのか? たまたま赤い館を訪れて事件に遭遇したギリンガムは、年下の友人ベヴァリーをワトソン役に私立探偵をやってみようとするのだった。

    推理自体はそんなに難しくなくてミステリをよく読む人なら遺体のすり替えだと早いうちに気付いてしまうかもしれない。しかしそんなことが気にならないほど、このミステリは読んで楽しい。まず素人探偵のギリンガムは優れた記憶力を持ちながらも探偵は初めてで雷光が走るように事件を解決するわけではない。思考を整理するために友人にワトソン役を頼み、ディスカッションをしながら徐々にありえない可能性を潰し、確たる証拠を得る方法を考えていくのだ。年下の友人ベヴァリーを可愛がる様子も好ましいし、犯人だったケイリーへの配慮もよい。ワトソン役を務めるベヴァリーもよい。前向きな性格で雰囲気を明るくするし、ギリンガムに友情と敬意を持っているのが伝わるし、探偵の頭脳を引き立たせるための馬鹿でないところがとてもいい。ときにギリンガムが熟考に沈んで置いてきぼりにされるが、それに対する不満もさらりと伝えるにとどめ、ギリンガムの思考を尊重しているのがいい。こんな名コンビを今まで知らなかったことが悔しいし、出会えて嬉しい。

    ミルンの「『赤い館の秘密』に寄せて」も収録されている。ミルンの理想とする探偵小説の条件はどれも頷くことばかりで、理想を体現したことに驚く。そしてそんなこの作品が探偵小説を愛した父に捧げるものであることがさらりと書かれている。ここを読んでミルンの大きな愛情を感じた。とても素敵な名作だ。

    訳者が自分の生涯の愛読書であるアーモンド『肩胛骨は翼のなごり』の訳者でもある山田順子氏である。それでさらに好きだと感じたのかもしれない。

    0
    2025年04月09日
  • 夜の庭師

    Posted by ブクログ

    19世紀アイルランドからイングランドに命からがら辿り着いた幼い姉弟が、サワー・ウッズと呼ばれ、誰も近寄らない森の中にあるお屋敷で雇ってもらえることになった。しかし、どうも様子がおかしな主人一家と屋敷の中にまで侵入した巨木。奇怪なことが起こる中、姉弟は屋敷と主人一家の秘密を探っていく。

    中盤まではミステリーを読んでるように楽しく読み進めていたが、終盤に差し掛かるにつれ、姉弟愛と姉として、弟として胸に秘めた想い、そして登場人物それぞれの人間らしい欲望と葛藤にどこか共感しながら胸を打たれていった。
    大事なものはいつだって本当はとってもシンプルなものだと思う。
    切なくも勇気をもらえるゴーストストーリー。

    0
    2025年01月06日
  • たんぽぽ娘

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    Robert F. Youngの200以上ある短編から某北鎌倉の古書店作品で登場した「たんぽぽ娘」をはじめとしたボーイ・ミーツ・ガールものを13編収録。SFという括りではあるけど、その範疇ではないと思われる作品もちらほら。やはり「たんぽぽ娘」が抜きんでていると思う。おじさんと少女のロマンスかと思ってからのラストは良い終わり方だった。とてもロマンチックな短編。他に「荒寥の地」「ジャンヌの弓」も良かった。あとがきで訳者が少女愛をこじらせ長編は壊れていると書いているが逆に壊れっぷりが気になってしまった。

    0
    2024年10月13日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ウィスコンシンの田舎に住む男は140年前生まれ。宇宙から移動する者たちを受け入れるステーションの管理をしている。CIAがそれに気づき・・・

    面白かった。1963年に書かれたとは思えない現代に通じる、哲学的な内容。宇宙に生命体はいるのか、人類は劣っているのか。

    0
    2024年08月06日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    くまのプーさんの作者が書いた探偵小説。ふむふむ。面白そうだ。そんな軽い気持ちで読み進めていたが、これがズバリ、ミステリ黄金期の作品そのもの。こういう度直球を求めていた。そう感じた一冊。

    0
    2024年01月14日
  • メナハウス・ホテルの殺人

    Posted by ブクログ

    面白かったー。
    1個前に読んだ「ウェッジフィールド館の殺人」は、この本の続編。メナハウス〜のほうが面白いな。

    0
    2023年11月28日
  • メナハウス・ホテルの殺人

    Posted by ブクログ

    だいぶ以前に訪れたことのあったホテルだったので手に取った(現在はホテル名が変わったようだ)。ミステリーとしてはそれほどでは無いが、クリスティオマージュで、007をも思い出す、異国情緒まんさい。デビュー作なので次もあるかな。

    0
    2023年09月24日
  • メナハウス・ホテルの殺人

    Posted by ブクログ

    1926年エジプト。若くして寡婦となったジェーンは叔母の誘いでカイロにあるメナハウス・ホテル滞在中、殺害された女性客の第一発見者となってしまう。警察に疑われたジェーンは独自に真犯人を捜し始めるが→

    エジプトの風景がとてもよく描かれていて良。ミステリだから当然殺人があり犯人探しがあるんだけど、合間にピラミッド見学の場面やラクダに乗るシーンが丁寧に描かれていて読んでいて楽しい。
    ジェーンの一人称で描かれるから、人物描写がブレブレなのも、ミスリードと考えたら面白い。→

    物語の流れ的にはテンプレ感があるんだけどそれがありならすごい読んでいて楽しいミステリじゃないかと。
    私はラストが良かったので、続編が出たら読みます。

    いやぁ、レドヴァース、好きだわ(ボソリ)

    0
    2023年06月28日
  • メナハウス・ホテルの殺人

    Posted by ブクログ

    旅行先エジプトで殺人事件発生… 事件にもロマンスにも可憐に上品に挑んで #メナハウス・ホテルの殺人

    ■あらすじ
    第一次大戦が終わった1926年、エジプトの観光地。主人公ジェーンは叔母に付き添いながら旅行に来ていた。
    高級なメナハウスホテルに滞在していたが、客室で知り合いが殺害されてしまう。刑事は彼女が怪しいと目を付けられ、容疑者になってしまうことに。疑いを晴らすべく、ジェーンは真犯人を探し始めるが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    海外ミステリーとは思えないほど文章読みやすく、プロットも分かりやすい。
    登場人物も特徴のある人たちばかりで、人物も関係性も追いやすい。
    誰にでもおススメできる良作ですね。

    またエジプトの情景描写がお上手で、当時の街並みや観光地が目に浮かぶ。
    パーティなんかも楽しそうで、私も1ヵ月仕事を休んで、ゆっくり楽しく旅行に行きたいなぁ。できればひとりで、お金も自由に使えて、しかも独身に戻って(無理

    さて本作の読みどころは、やっぱり明るく魅力的な登場人物たちですね。
    主人公ジェーンの好奇心、探求心がスゴイの。読んでるこっちがハラハラしちゃうくらいアクティブ。危ないよ!
    しかしどんな人種や年齢であっても、上品&前向きな女子はとても素敵です。

    そして紳士レドヴァースですよ。
    男子たるやこうでなきゃイカンすね。女性をしっかりエスコート、困ったときには頼りになり、決して不道徳なことはしない。しかもイケメンでクールで謎めいている。これは間違いねぇ、モテる。私もモテたい。

    本作は時代背景の中、性別による格差の現実も描かれています。
    いまだにジェンダー問題は残っていますが、この時代はあまりにひどく目を覆いたくなるばかり… こうなってしまうから、力や権力みたいなものが大嫌いなんですよね。

    さて犯人さがし、謎解きについてですが、こちらも素晴らしい。
    話の筋から妥当といえば妥当ですが、よくできています。これがミステリー小説って奴ですよ、うんうん。面白かった!
    続編もあるようですし、いろんな人たちの関係性がどうなるか期待しちゃいますね。

    ■ぜっさん推しポイント
    旅行先で事件に巻き込まれつつ、ハラハラドキドキしながらロマンスもあるなんて、超絶にドエンタメなミステリーじゃないですか?!

    いつかどこかの映画で見たのようなベタな世界観の作品って、案外ありそうでないんですよね。押しつけがましくなく、説教臭くなく、気軽に楽しめるのがイイですね。
    読みやすいですし、海外ミステリーを普段読まない方にもお勧めしやすい作品でした。

    0
    2023年05月14日
  • メナハウス・ホテルの殺人

    Posted by ブクログ

    叔母の付き添いでエジプトの高級ホテルに滞在した女性が、ある目的でエジプトに乗り込んだイケメンとバディを組んで殺人事件の真相を追うミステリー。事件の経糸とエジプト観光の横糸がとてもバランス良く引き込まされる。中盤にさりげなくヒロインの辛い結婚生活も描かれていて、彼女のアイデンティティを今更ながらに実感できた。最後は都合よい出来過ぎ感があるものの、第一作目と言う事で☆4で。

    0
    2023年03月05日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    本書の作者は、言うまでもなく「クマのプーさん」でおなじみのA.A.ミルン。
    本書は文庫サイズで330ページほど。
    結構文字もぎっちり詰まっていて、ちょっと読み終わるのに時間かかるかなあ…と思ったら、いざ読み始めると軽妙でスイスイ読めてしまう。
    そしてシンプルで面白い!

    探偵役のギリンガムは、母の遺産のおかげで働く必要がないほどお金に困っておらず職を転々とし、つい最近また仕事をやめたばかり。友人であるベヴァリーが訪れているときいていた赤い館にぷらっと顔を出したら、たまたま殺人事件に出くわした。
    そこで思い立つ。探偵業、結構自分に向いてるんじゃね?(意訳)
    素人探偵発足!である。
    そして探偵にはもちろん、優秀な助手が必要だよね!

    私があまりミステリをたくさん読んでないからだとは思うけど、主人公探偵が熟練のそれではなく素人だなんて新鮮ですごく面白い!とわくわくしながら読み進めた。
    話の展開も子気味よく、新しい発見があった!と思えばすぐに新たな疑問に直面したり。
    そして、自らたちをホームズとワトソンになぞらえながら、共に謎を解いていくギリンガムとベヴァリーのやりとりが見ていて楽しいというか和むというか。
    えっ、一応人死んでるミステリなのにこんなに和んだり二人のやりとりを楽しんでいていいのか?ってくらい二人がかわいい。
    どちらも大の男で紳士的な側面もあるのに、なんだか少年が探検をしているようなかわいらしさ。
    いや、人死んでるのに、こんな感想もなんだけど。

    あとがきではミルンの探偵小説かくあるべき!な熱い語りが読めるのでぜひ。
    私はてっきりプーさんのあとに本書(探偵小説)を書いたのかと思いきや、逆だったんですね。
    この赤い館の秘密で好評を博し、次もぜひ探偵小説を!と所望されていたところにプーさんを書いたと。
    その経緯もなんだか面白い。

    0
    2022年05月26日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この作品は、クマのプーさんとは何の関係もなく読まれるべきだと思います(自戒)。
    古典なので、後世のミステリをそれなりに読んできてしまうと、さすがに冒頭の数章で、ああ、これはあのトリックかと分かってしまいます。
    現代の作家だったら、それを逆手にとって、もう1回転か2回転くらいさせちゃうかもしれません。
    そういう意味では、加納朋子氏の解説で「フィギュアスケートや体操」で最初に「くるくると回って」みせたパイオニアに例えているのは正鵠を射ていると思います。

    0
    2021年09月23日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    ミルンの『赤い館の秘密』くまのプーさんで有名な作家さんですが、今回はミステリーに挑戦しました!

    ホームズとワトソンと呼び合う相棒とのやりとりが殺人事件解決へと導きます。

    私はアガサクリスティーが好きですが、イギリスの郊外って素敵ですよね。

    #ミステリー

    0
    2021年09月07日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    SF。
    初めてのシマック作品。
    SF的な内容よりも、ウィスコンシン州の牧歌的な雰囲気と、作品全体に溢れる優しさが印象的。
    解説によると、これがシマックの作風らしい。好印象。
    新訳版で購入したが、淡い色味と可愛らしいイラストの表紙も、作風に合っていて好き。

    0
    2021年07月04日
  • たんぽぽ娘

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    安心して読めるSF。皮肉ではない。
    どこか暗い背景を持ち、不穏な雰囲気が漂うが、結末は…安心します。

    0
    2021年06月30日
  • たんぽぽ娘

    Posted by ブクログ

    青春SFを書かせたら世界一のヤング先生による名短編集。こういう心温まるどんでん返しが得意な作家は、たまにシリアスなの書いてくるからギャップがまた素晴らしい。

    生死観を交えた話もあれば、「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」のようにディックっぽい話も収録されているのでバラエティ豊かな一冊だと思う。

    0
    2019年05月11日
  • 鐘は歌う

    Posted by ブクログ

    記憶を無くした世界に響く鐘の音。
    それは世界の秘密を閉ざす魔の旋律...

    装丁に惹かれコレクションとして購入。
    これが幻想文学。
    ファンタジー とでは表しきれない、
    淡い言葉のベールで包み込まれるような
    どこか不思議なジャンル。
    小川洋子さんの 猫を抱いて像と歩く と似た雰囲気。

    終始ふわふわふわ...
    きちんと理解出来ていなくても読み進めてしまうのは、
    道筋の分からない地下トンネルを、
    僅かな音を頼りに突き進んでいくのと似た感覚だろうか。
    読みかけの本だからという使命感ではなく、
    本の中になにか大切な忘れ物があるような...
    上手に言い表せられないが、そんな気持ちにさせられる。

    ストーリーの着眼点も鋭く、
    冒険、ミステリー、恋、友情と内容もぎっしり面白いので、
    大衆向けにデフォルメし、
    映画やアニメに落とし込めば、きっとうけるだろう。

    記憶を無くして作った平和な世界にも、
    やはり搾取する者とされる者が存在する。
    時代や手法が変わっても、変わらないこの縮図を通して、
    あなたならどんな平和を作るかと問われている気がした。

    400というページの中で、
    記憶の微睡みに浸る、そんな不思議な体験をした一冊。
    時間に余裕があるときに、ぜひ。

    0
    2019年04月20日
  • 赤い館の秘密

    Posted by ブクログ

    遂に出ました新訳版! クマのプーさんで有名な英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵小説。百年前に書かれた素人探偵二人組のホームズとワトソンっぷりを堪能あれ。

    この作品が大好きで、旧訳も何度も読み返してますが、新訳の方もとても読みやすく仕上がっていて良いですね。この話が好きなのは、ワトソンがちゃんと役に立つ。機転が利いて仕事ができて、それでいてホームズ役との揺るぎない友情に溢れていて、そして文章の端々から匂い立つミルンらしいユーモア、作家自身が推理小説好きだから伝わってくる「英国黄金期」の良いミステリの空気感……とどこを読んでてとても心地よいのです。
    加納朋子さんの巻末解説がこれまた素晴らしかったです。

    旧訳版で入ってた見取り図がなくなったのでちょっと屋敷の構造が分かりにくいかもしれません。それと、はしがき(『赤い館の秘密』によせて)は、旧訳版では文庫頭に入ってました(現在手に入る英語の原書も、イントロダクションとして冒頭に入ってます)が、この新訳では末尾に持っていっちゃいましたね。理想の探偵小説とは、ワトスン役について…と熱く語ってるこのミルンのイントロダクションは、これまたとても好きな文章です。

    0
    2019年04月12日