山田順子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アガサ賞デビュー長編賞受賞との事で手に取ってみた本書。
戦争で夫を亡くして寡婦になったジェーンは、裕福な叔母・ミリーの付き添いで、エジプトのメナハウス・ホテルに滞在していましたが、ある日偶然若い女性客の死体を発見してしまいます。
それによって、地元警察から疑われる羽目になってしまったジェーンは、容疑をはらすべく真犯人を見つけようと独自に動きだしますが・・・。
第二の殺人、全員“何かありそう”なホテルの宿泊客たちの人間模様、魅力的で謎めいているメンズとのロマンス等々・・・確かに、“クリスティー風味”な感じはありますね。
主人公・ジェーンの読んでいる本も『茶色の服の男』だったりするのも、著者の方のクリスティー愛が伝わってきます。
ただ、デビュー作だから筆致が甘いのか、はたまた訳の問題なのか、人間描写がブレていたり、ぼんやりしているのが少し残念。
そして、真相を追うジェーンの行動が、他人の部屋に勝手に侵入したり、証拠品を持ち出したりと、不法な上に危なっかしすぎて変な意味でハラハラし通しでした。
そんな無謀なジェーンですが、元夫のDVによるトラウマを抱えているという背景もあり、ミリー叔母さんの秘密と併せてキャラ設定にもご注目です。
殺人事件を追ううちに、遺跡の出土品の密輸問題も浮上したり、事件以外にもミステリアスなレドヴァースとのロマンスやピラミッド観光等の異国描写など、盛り沢山な内容となっております(ちょっと詰め込みすぎ?)。
で、真相解明部分は、クリスティーの十八番“印象操作”を駆使していた感はあるのですが、私的には結構バレバレで、犯人が解った時は“あ、やっぱりねー・・”という感じでした。
何だかんだで旅情ミステリとして楽しませて頂いたのですが、筆力が上がれば私好みの作品を描いて頂けそうなポテンシャルがあると思いますので(我ながら上からすぎますね・・スミマセン)、今後の作品に期待したいですね。
既に続編が出ていて今度の舞台は英国との事ですので、こちらも是非読んでみたいです。
因みに、メナハウス・ホテルは現在も〈マリオット メナ ハウス カイロ〉として営業しているのですが、まさに“ピラミッド・ビュー”の素晴らしい景観が満喫できそうなホテルで、是非一度泊まってみたいですね~。 -
Posted by ブクログ
英国の領主屋敷で発生した事件… ロマンスと異国情緒を感じるミステリー #ウェッジフィールド館の殺人
■あらすじ
1926年イギリス、戦争で夫を亡くしてしまった主人公ジェーンは、叔母とともに英国屋敷に滞在をしていた。ある日、館の使用人が自動車事故で命を落としてしまう。自動車を調べると、ブレーキに細工がされていることが発覚する。かつてエジプトで事件を解決していたジェーンは、叔母に頼まれて捜査を始めるのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
大きなお屋敷と広大な大地を背景に、大空に羽ばたくプロペラ機…
時代も国も違っていますが、目の前に美しい情景が浮かんでくるんですよ。異国情緒や壮大な自然を感じられる物語は素敵ですよね~
また登場人物たちも気品に溢れていてイイんです。
まず主人公のジェーンとパートナーである探偵役の彼レドヴァース。かつてどこかでみた海外の映画のワンシーン、見つめあっている二人の画が見えてくる。
他にも館の男爵、大佐、執事、使用人など、しっとり、ほんわかとした雰囲気が好きですね。そして時代背景にあった社会的な問題も組み込まれていて、今更ながら勉強になることもあります。
ストーリーは、またも活動的なジェーンが大活躍をしていくのですが、今回も大胆極まりない。捜査パートはもちろん、終盤のシーンなんかは超カッコイイのよ。ここは必読ですね。でも乙女な恋心は持ち合わせているところが、また可愛いんです。
ミステリーとしては、比較的シンプルな人間関係で物語は進行していくんですが、実は…という展開で楽しい。そして犯人も動機も、ザ・時代ミステリーといった真相で、十分に堪能させていただきました。
■ぜっさん推しポイント
自由奔放でアグレッシブに生きる彼女と、包み込んでくれる彼氏。
また彼氏が少し謎めいているところが、魅力なんですよね。まさにモテる男。
本シリーズは上品で古風なロマンスが読みどころなので、紅茶とケーキをいただきながら読むとさらに気分が上がっていいかもですね。次回作は旅客船での事件とのこと、楽しみにしています! -
Posted by ブクログ
ネタバレ1926年。ミリー叔母の付き添いでエジプトのメナハウス・ホテルにやってきたジェーン。
戦争で未亡人となった彼女に有望そうな男性を紹介する叔母に辟易しつつ、ピラミッド群を眺望できるホテルで優雅な時間を過ごしていた。
そんなホテルでのパーティーの翌日、ジェーンは殺害された遺体の第一発見者となって。
チリチリと棘を持ってジェーンを容疑者扱いする警部。
警察が絡んだ途端にジェーンを避け始める叔母。
不自然に叔母と親密になる二人の若い女性たち。
胡散臭い紳士のサマラ。
阿片窟の常連と噂のホテルの専門医。
新婚旅行が身分不相応な愉快な新婚夫妻。
美丈夫な銀行員と自称する怪しげなレドヴァーズ。
旅先のホテルで誰が味方なのか敵なのか、ジェーンは自分への容疑を晴らすため、好奇心を満たすために犯人探しに乗り出す。
観光地、怪しげな美男美女、無謀なヒロイン、そして、ちょっとロマンチック。
2時間ドラマ感満載で、ジェーンが片平なぎさに見えてきた。
独りでそこに乗り込むの!とドキドキして、最後はやっぱりピンチに。
でも、登場人物たちも生き生きしていて、次から次へと起きる事件に明かされる謎、あっという間に読んでしまった。
エジプトの風景やイベントが魅力的で行ってみたくなる。
ギラギラとした太陽にじゃりじゃりの風、いいなあ。 -
Posted by ブクログ
2017年刊。
作者はイギリスの人で、もともとエドガー・ポーなどのミステリや怪奇小説を研究してきた学者さんのようで、本作は初めての小説。
表題作は200ページにわたる中編で、その後に短いのが3編入っている。
現代において書かれながら、古き良き19世紀古典怪奇小説のスタイルで、そのアナクロ趣味が特徴である。作曲でも21世紀の現在においてもドイツのバロック時代の音楽を模倣し続けている人もいるし、人さまざまな中に、このような作品があっても悪くはない。
さて実際に読んでみると、表題作はせっかくの王道的な怪奇プロットが、どうも文章に緊張感がなくて生かされない。書法がどうも上手くないのである。そこはやはり「駆け出し作家」というところか。全編、どうにもぼんやりしているし、クライマックスももうちょっと上手く書けそうなものなのに、ともったいなく思った。
むしろ最後の「ゴルゴタの丘」の後半、クライマックスから末尾にかけてが迫力をもって上手く書けていた。 -
購入済み
ファンタジー?かな
ファンタジーかな? お話は面白かったけど ホラーとまではいかないかな 小さい子が読むと怖いかも たぶんSキングなんかが同じ物(一字一句同じ)を書いたら モダンホラーって呼ばれるかも
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Posted by ブクログ
若い頃、赤川次郎さんの作品が好きで、赤川さんが好きな推理小説ということで、当時読んだ別の訳のものは判りづらくて挫折したが、今回の新訳版は何が素晴らしいのか、はっきり理解できた。
「クマのプーさん」でお馴染みの、ユーモア作家「アラン・アレキサンダー・ミルン」が唯一書いた、この推理小説(1921年の作品)が、日本の江戸川乱歩の探偵小説黄金時代のベストテンにも選ばれていたのは初耳だったが、シンプルながら見事な伏線と、意外なところからストンと気持ちよくオチるトリックは素晴らしく思えたし、タイトルもある意味上手く、私もすっかり惑わされた一人です。
また、この作品の特徴的なところはドロドロした感じがなく、すごく爽やかに物語が展開されるところと、弱者に対する優しい視線であり、探偵役のギリンガムと助手のベヴァリーの楽しささえ感じさせる描写には、嫌味な感じは全く無く、ラストのさりげない思いやりに心動かされたのは、赤川次郎さんの作品に近いものを感じたりもしました。