あらすじ
モリーは14歳、思いのままに物語を紡ぐことのできる天性の語り手だ。弟のキップとふたり、故郷のアイルランドから海を渡って命からがらイングランドに辿り着いた。大変な苦労の末にようやく雇ってくれるところをみつけたものの、そこで彼らを待っていたのは、巨木に取り込まれたかのような奇妙な屋敷と、青白い顔をした主人一家、そして夜中に屋敷を歩き回る不気味な男……夜の庭師だった。だが、それだけではなく、この屋敷には恐ろしい秘密が隠されていたのだ。カナダ図書館協会児童図書賞受賞。ディズニー映画化決定の傑作ゴーストストーリー。
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Posted by ブクログ
ゴースト系は全く読まなかったから、おそらくこれが初。
主人公の姉弟はアイルランドからイギリスへ渡る。(この背景にはジャガイモ飢饉があってね、船のチケットをとれた人はアメリカ等に行き、取れなかった人はまずイギリスへ向かったと、この前の予習で知った。)逃れてきたイギリスの屋敷で何とか仕事をするようになった2人。しかし奉公することになった家の人たちも何だかおかしいし、屋敷にも不穏な気配を感じる。やっぱりちょっと怖かった笑
p.338〜339の姉が今まで抱えてきたことを話したシーンはぐっときたな。
あと、「物語と嘘の違い」に対する考えも名言だった。
名言だった!(大事なことだから2回言う)
年の瀬にいい本に出会えて満足。
22日のミッションが終わるまで読書は棚上げだったけど、やっと思う存分読める!年末までに読みたい本があと6冊ある。現実的じゃない…
Posted by ブクログ
『人の心の弱さと共に成長する大木を愛でる夜の庭師』
森の奥の大木に取り込まれた屋敷。
夜中に徘徊する男の影。
そんなお化け屋敷のような家に奉公することになった姉弟。
どことなくジメジメと暗い雰囲気の中…
ファンタジーというよりはホラー寄りのファンタジー…かな?
Posted by ブクログ
親を失った姉弟、巨木に抱かれた館、青白い顔の家族、語り部、夜に響く怪しい足音、緑の扉の部屋、願いを叶えてくれる木、勇気という名の松葉杖、打ち明けられない秘密、そして訪れる夜の庭師。
様々な要素に心捕まれ引きずり込まれる。
Posted by ブクログ
何、この傑作!出だしからディズニー映画の映像が眼に浮かぶ。イングランドにたどり着いた姉弟のモリーとキップはようやく雇ってくれる森の中の屋敷を見つけた。天性の語り部モリーと足の悪いキップ。一癖も二癖もあるウインザー家の人々。そして夜になると不気味な足音を立てて夜の庭師がやって来る。なんと魅力的な登場人物たち。両親がいなくても健気に召使いとして働く2人と謎めいた屋敷の秘密、そしてゴースト。すべてが明かされると最終章は児童書らしからぬサスペンスアクションのような急展開は血だらけで人がわんさと死んでいく。それでもラストはハリウッド映画のように、そして希望へ。娘が幼い頃に枕元で読んでやりたかった
Posted by ブクログ
2017/03/09了読。
2017年2冊目。
通勤時にちょっとずつ読んでたので、時間がやたらかかってしまったけれど、最初の一行目から物語の魔法にかかってしまった、幸せなひと時でした。
内容としてはダークファンタジー寄りのホラー。
タイトルから連想していた夜の庭師と実際に出てきた庭師の印象が随分違っていて…思ってたよりホラー要素高めでした。
19世紀半ばのじゃがいも飢饉、アイルランドの多くの人々が飢えで餓死するか、命を懸けて母国を捨ててイギリスやアメリカに渡らなければならなかった。そういうことも、世界史をきちんと勉強していなかったので知らず…(高校は受験対策で日本史だったから…という言い訳)
その時代に両親と船ではぐれて二人だけになってしまった赤髪の姉弟、モリーとキップ。
二人が奉公に向かったウィンザー家の主人夫婦と子供たち、語り部のへスターケトル。
登場人物が皆魅力的で、物語ることの喜び、読書の楽しさに浸れた一冊でした。
ジョナサン・オージェ。もっと読んでみたいです。
それにしても、せめて月一冊くらいは読みたいなあ…
Posted by ブクログ
おもしろかったし、涙する場面もいくつかあり、本当に「物語」を読んだ充実感。
モリーとキップ、幼いのに強すぎる!
ただ歴史的背景を知ったら、こうやって生きていた子どもたちが実際にいたと思われ、心が痛む。
ディズニー映画化、楽しみなような、映画化してほしくないような、複雑な気分。
Posted by ブクログ
19世紀アイルランドからイングランドに命からがら辿り着いた幼い姉弟が、サワー・ウッズと呼ばれ、誰も近寄らない森の中にあるお屋敷で雇ってもらえることになった。しかし、どうも様子がおかしな主人一家と屋敷の中にまで侵入した巨木。奇怪なことが起こる中、姉弟は屋敷と主人一家の秘密を探っていく。
中盤まではミステリーを読んでるように楽しく読み進めていたが、終盤に差し掛かるにつれ、姉弟愛と姉として、弟として胸に秘めた想い、そして登場人物それぞれの人間らしい欲望と葛藤にどこか共感しながら胸を打たれていった。
大事なものはいつだって本当はとってもシンプルなものだと思う。
切なくも勇気をもらえるゴーストストーリー。
Posted by ブクログ
両親を失ったモリーとキップの姉弟はイングランドの巨木に取り込まれたようなお屋敷にメイドと庭師として雇われる。借金の取り立てに苦しむ主人、冷ややかに見つめる奥様、お菓子ばかりを食べて太っている息子、甘えん坊でお話が大好きな妹。そして、夜になると歩き回る謎の男。
日に日に不健康になっていく主人一家。怪しい夜の男の正体は?
お話が得意なモリーと、片足の不自由なキップが、知恵と勇気で主人一家を救う。読んでいて、先が気になりどんどん読みすすんでしまった。
映画化が決まっているというが、うまく映像化してもらいたい。
Posted by ブクログ
ゴシックホラー風味の児童文学。
健気な姉弟が働くことになったお屋敷では‥?
19世紀アイルランドでは飢饉が起こり、食べるにも困った国民は、生き延びるために、多くが移住するしかなくなります。
船で親とはぐれた14歳のモリーは弟キップと共に、命からがらイングランドにたどり着きました。
やっと見つけた仕事は、町外れのお屋敷のメイドと庭師。
出会う人はみな止めたのですが。
そこには異様な巨木が家を取り込むかのようにそびえ、夜には庭を動く何者かの気配が‥
奥様と子どもたちは青白く、留守がちな旦那様はなにかのトラブルを抱えている様子。
キップに言えない秘密を抱えたモリーは、お屋敷の謎に関わり、思わぬことに。
弟思いでしっかり者の姉と、ぼんやりしているようでいろいろなことをちゃんと見ている幼い弟。
二人の成長譚でもあります。
ホラーっぽいので夏向きかと。
本当に怖いのは苦手ですが、児童文学風味のこれぐらいなら大丈夫(笑)
子どもたちの生命力に救われます☆
Posted by ブクログ
1800年代のイングランドのお屋敷を舞台にした、少しホラーなファンタジー。ホーンデットマンションのような…
細かく区切られた表題で、字が細かいわりには読みやすかった。
登場人物が少なめで関係性もシンプルだったから外国名でもすんなりはいってきたのもよかった。
アイルランドと英国の歴史、とりわけアイルランドの歴史的苦難によって、モリー達がこうならざるをえなかった状況が、最後の作者ノートでわかり、何ともやるせない気持ちに…
最後の男たちが団結しているところや、コンスタンスに人間らしい雰囲気が出てきたりとなかなかよかった。
映像化するとしたらどんな感じなんだろうと妄想しながら読んだ。きっと実写だろうな。
Posted by ブクログ
灰色の風が吹く。
いや、確かに空は晴れているのに、おかしなことだがこの姉弟のいく先は鈍色に染められているのだ。
そのお屋敷は草に覆われ、蔦が這い、屋根はたわみ、苔がはびこっていた。
そして一本の古い木が、主人のように植わっている。
たいていの場合、大きな古い木は優しさを湛え、見守るように聳えているものだが、この期に限ってはそうではない。
その幹に、枝に、根に、すべてに邪悪な雰囲気をまとっているのだ。
なぜか。
それはその木が、人の欲しいと願うものをどこからか出すからだ。
そのどこが悪いのか、って?
本当にそう思うかい?
ものを与える行為は決して一方的な愛の行為ではない。
必ずその代償がある。
モリーとキップ、姉と弟は懸命に働いた。
そして彼らが一番願うもの、心から望むものを得た。
しかし、それは、「希望」ではない。
ひたひたと音を立て迫ってくる「夜の庭師」。
どこでその男は間違ってしまったんだろう、その疑問にキップは後にこう答えを出す。
守ってくれる姉、モリーがいなかったからだ、と。
支えてくれる人がいるから、助けてくれる人がいるから、信じてくれる人がいるから、人は間違いに気づけるし、間違いを正せる。
屋敷の主人の子供たち、アリステアとペニーの兄妹もそうして間違いに気付き、ただせた。
君たちなら大丈夫。
まだまだこの子供達には困難があるだろう、しかしどうかこの子たちの未来が美しいお話で満たされるものでありますように。
鈍色の雲のうえには、蒼天が広がっている。
Posted by ブクログ
緑の扉の部屋と夜の庭師のことが気になり、一気に読んだ。
嘘とお話の違いをモリーとキップは自分たちで答えを見つけていく。時におかれている現実から目を背けることだって必要であるけれど、いつか正面から向き合うときがきたら逃してはいけない。
ディズニーで映画化されるようだけれど、いまいちピンとこないなぁ。この物語の良さをどう表現するのだろう。
ファンタジー?かな
ファンタジーかな? お話は面白かったけど ホラーとまではいかないかな 小さい子が読むと怖いかも たぶんSキングなんかが同じ物(一字一句同じ)を書いたら モダンホラーって呼ばれるかも
Posted by ブクログ
ホラーファンタジーを題材とし、人としての生き様を考える。巨木を覆い隠すように屋敷が建っており家族四人暮らし。そこに孤児の姉弟が奉公に来る。既にその屋敷が薄気味悪いのはご近所で評判。巨木は人の願いを叶える代わりに「魂」(=生体エネルギー)を吸い取る。抜け殻みたいになったら木の下に埋められる。もう家族は駄目だ。よくない、と思っていても抜けられない。使用人2人は「これは邪悪」と本能で感じ取り、巨木の思い通りにはされない。スマホゾンビ共も巨木という名ではない何か巨大で邪悪な物に飲み干されればいいのさ。
Posted by ブクログ
ディズニーが映画化するというのも納得の良質なゴーストストーリー、そして孤児のモリーとキップの成長物語!著者が9年かけて仕上げただけあって、非の打ち所がない内容と飽きさせない展開。普段、あまりファンタジーは読みませんが、幽霊モノと聞いて手に取り、あっという間に物語に引きこまれてしまいました。お陰で登場人物たちとシンクロしてか?連日悪夢にうなされるというほどのめり込んで読ませていただきました!