山田順子のレビュー一覧
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・R・F・ヤング「たんぽぽ娘」(河出文庫)の 「編者あとがき」にかうある。「ヤングの短編集を編むとき、ぼくが特化したのは、ロマンスものーーというか、彼のボーイ・ミーツ・ガールものである。ほか の作家ならいざ知らず、彼の作品中ずばぬけた出来ばえを見せているのはボーイ・ミーツ・ガールものとそのさまざまなヴァリエーションだった」(384 頁)。確かに、これはこの通りの短篇集である。これ以上でもなくこれ以下でもない、ボーイ・ミーツ・ガールもの集成である。巻頭の「特別急行がおくれた日」から最後の「ジャンヌの弓」までの全13編、外れはない。どれもおもしろい。
・巻頭の「特別急行がおくれた日」は蒸気機関車運転手ルークの片思ひである。最後はプロポーズしようと思つたルークが「そんな日が決して来ないことも彼は知つてゐた。」(17頁)と終はる。想像通りだし、ありきたりで予定調和だとも言へる。しかし、主人公の雰囲気、物語の雰囲気が良い。これは他の作品にも言へることで、ヤングの特質でもあらう。3作目「エミリーと不滅の詩人たち」は異色作であらう。ボーイ・ミーツ・ガールならぬガール・ミーツ・ボーイズで ある。しかもそのボーイズは生きた人間ではない。「アンドロイドの詩人」(53頁)である。エミリーは博物館の補助学芸員であつた。そこに展示されるテニ スン、ブラウニング、フィッツジェラルド等々、エミリーはこれらの「誰からもかえりみられない詩人たちに、深い同情を寄せ」(55頁)てゐた。ある時展示 替へとなり、詩人達は文字通りお蔵入りとなつた。ところが、エミリーが新展示の自動車にその詩人達を乗せてみたところ、それは上司にも好評であつた。「そうだね、お手柄といってもいいかもしれんな。ミス・メレディス。理事会も喜ぶんじゃないか。」(72頁)といふわけで詩人達は展示の中で生き延び、エミ リーは詩人達との朝の対話を楽しむのであつた。恋愛ではなく、しかも相手は生身の人間ではない。それでもこれはロマンスと言へばロマンスであらう。これは私の好きな作品である。普通のロマンスが好きではないからかういふのを好むといふことがあるかもしれない。しかし、それ以上に「アンドロイドの詩人」の機械さ加減、いや奇怪さ加減と、それに対するエミリーの反応、態度が楽しい。ある意味、これも恋は盲目である。そして、これが古めのSFであるからこそかういふ味が出せたのである。最新の知見をもとにしたSFであつたらとてもこんな雰囲気は出なかつたはずである。「第一次火星ミッション」はたぶん火星探検ものである。物語はかう始まる。「宇宙船はラリーの家の裏庭で建造された。」(204頁)そして、その「最後にコントロールパネルを取り付けた」(205 頁)。それは「一九五七年型フォードのダッシュボードである。」(同前)そんな宇宙船で火星に行つた少年は〈火星の女王〉(210頁)に会ひ、ナイフを忘 れてきてしまつた。それがかうなるのである。「地球管制官『リード中佐、いましがたかがんで、なにか拾いあげていたが、ひょっとして科学的に興味を引きそうなものでもあったか?』」(218頁)さう、「真実をいったとしても、誰が信じてくれるだろう?」(同前)これはSFといふよりファンタジーであらう。 少年が会つたのは〈火星の女王〉であつたが、成人した中佐は何を見るのか。錆びたナイフだけなのか。科学的でないSFであるからこんな雰囲気が出るのであ る。表題作「たんぽぽ娘」はおもしろい。正統的なボーイ・ミーツ・ガールもののSFである。しかし、私はこれらの相当に崩れた変奏の方により惹かれたのであつた。 -
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ミルンが推理小説を書いているんだ、と手に取る。
オリジナルはThe red house mystery, 1921
筋立はシンプル、登場人物もはじめはたくさん居るものの、すぐに退場し、残りの時間はほぼ3人だけ。
いまから百年以上も前のミステリーで、現代の読者ならトリックはだいたい読めてしまうとは思うが、駆け引きやヒントの出し方など、もろもろの運びも上手で、ストレスなく楽しく読んだ。
なにより、解説にもあるとおり、探偵役やワトスン役の人格が上品で素敵なので、そこを楽しんで読んだ。
ウッドハウスのような、お金のある田舎のお屋敷の人間関係や生活様式が楽しい。
ミステリー大好きだった亡き父のために書いたと言うミルン。
息子のためにプーさんを書いたひとが。優しいねえ。 -
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本作品を知ったきっかけはビブリア古書堂事件手帖。
同名タイトルの栞子さんの本棚で『たんぽぽ娘』一度読んでいるがロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいと思い手に取った。
『たんぽぽ娘』が面白かったので他の作品もきっと素晴らしいものが多いだろうと期待を胸に宝箱を開けるような気持ちで本を開いたのだが思っていたのと少し違っていた。
というのも『たんぽぽ娘』の持つ物語の雰囲気と他の作品がちょっと違う感じだからかな。
『たんぽぽ娘』は甘くて切なく余韻が残る読後感があり、情景描写やあの有名な「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という詩のような世界観が他の作品からは感じられなかった。というより世界観や設定が複雑な作品がいくつかみられた。(あくまでも私見です)
おそらく、そういった作風が日本人の琴線に触れたのかな。
『たんぽぽ娘』以外で良かった作品は
『河を下る旅』『神風』『ジャンヌの弓』『エミリーと不滅の詩人たち』『荒涼の地より』
なかでも『ジャンヌの弓』が面白かった。
タイトルからも分かるようにジャンヌダルクをモチーフにしたSFロマンス。
不思議な声に導かれたり、不思議な力を使えたりとファンタジー要素もあってSF盤ジャンヌダルクとでもいったような内容。
史実と違いハッピーエンドで終わるのがいい。
最後の矢はキューピットの矢?
あとがきにR・F・ヤングが戦後駐留軍として日本に来ていたのには驚いた。『神風』はその時に着想した作品なのかな。
これはフォロワーさんから教えて貰ったんだけど『たんぽぽ娘』ずーっと絶版で古書価かなりやばかったみたい。
ビブリア古書堂効果で復刊になったらしいよ。
こうやって手軽に読めるのも栞子さんのおかげかな?本の力は凄いなと改めて思った。
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Posted by ブクログ
『クマのプーさん』は子どもの時に読んだけど、同じ作者が推理小説を書いてるなんて知らなかった。
しかもその作品は、乱歩ベスト10の堂々8位。
裏表紙からあらすじ少し。
赤い館で銃声が轟いた。死んだのは15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄だった…。
推理小説なのにずっと優しい。
クマのプーさんがいつ登場しても違和感ないんじゃないか?ってくらい全部ほんわかしてる。
A・A・ミルンさんという人は、上品で優しい紳士なんだろうなと読んでてずっと感じた。
この作品は、ホームズのような超人的な名探偵とへっぽこワトソンではない。
素人探偵のギリンガムは、性格が良くて優しくて、ワトソン役を褒めて伸ばすタイプ。
ワトソン役のベヴァリーは、よく気が付くし、役に立つし、こちらも性格がすこぶる良い。
とにかく2人の仲が良くて楽しそう♪
古典なのでトリックが古いなどは考えないようにしてるけど、さすがに素直でストレートに感じる。そこが良さかもしれないけど。
これ以上優しさ溢れるほんわかした推理小説は他にはないじゃないかと思う。
私は絵本や児童文学はほんわか系が好きだけど、推理小説はクセ強めが好きというワガママな好み(^_^;)
推理小説ではもう少しブラックなミルンさんを期待してしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きだなというお話と意味がわからないお話が顕著すぎた。読み終えることが目的になってしまいよくわからない作品がたくさんあった…。
・特別急行がおくれた日
あまりよく分からなかった。列車を動かしている人たちは実は列車のパーツ、擬人化みたいな話?
・河を下る旅
各々自殺した男女が、(夢の中?意識朦朧としてしいる中)河を下る中で出会い、恋に落ち、やっぱり生きたいと思うお話し。幻想的で好きだった。
・エミリーと不滅の詩人たち
アンドロイドの詩人家たちを愛する博物館勤務の女性のお話。これも好きだった。
・神風
ちょっとこれもよく分からなかったけど、昔の「お国のために死ぬ」みたいなお話し。自国の男性と敵国の女性がそれぞれ捨て身で突っ込むが、その中で出会うお話。
・たんぽぽ娘
表題のお話。他の女性には見向きもしないくらいの愛妻家の男性が、山で出会った未来から来たという女性と恋に落ちるが、それは現在の妻の若い頃であったというお話し。ちょっと違うけど、「今会いに行きます」に似ているところがあってとても好きなお話しだった。
・荒廖の地より
このお話も温かくて好きなお話だった
放浪者のローンを、裕福とは言えない心優しい家族が、寝るところを貸してあげたり食事を出してあげたり手を貸してあげる。そのお礼にとローンは働き、お金を入れたり暖炉を買い換えたり、家族とローンは次第にかげかえのない存在になっていく。仕事をクビになったタイミングで、ローンは出ていくという。家族としては、いてもらいたかったが。
ここまで書いたけどあらすじ書くの難しかったので単語で思い出せるように記録。
タイムトラベラー ある地点で忽然と消える 数年後家を建てた 地面から出土品 ちょうどローンが消えたあたり 手紙や靴下や洋服が中に入っている
・主従問題
町単位で売りに出された物件の積算にいく主人公。そこで出会った女性と犬。家から繋がる異世界。
・第一次火星ミッション
よく分からなかった。
・最後の地球人、愛を求めて彷徨す
よく分からなかった。
・11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス
よく分からなかった。
・スターファインダー
二つの神経をもつくじらを助ける話
・ジャンヌの弓
冒頭が死ぬほど読みづらい。
2人の声が聞こえる女性。潜入捜査に向かわされる男性。復讐。ハッピーエンド?