大塚英志のレビュー一覧

  • 柳田国男 山人論集成

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    『幽冥談』『怪談の研究』(版は違うが)『山の人生』は先に読んだことかあるが、こうして各段階ごとに編集されているとまた思想の変遷がわかって面白かった。
    日本も多民族国家だったという視点はアイヌ以外では今の日本では感じにくい。各地の風土記で中央に反抗する勢力も「異民族」というより「現地勢力」または「地元民の先祖」のような感じにとられる。そういう視点を知ると当時の情勢はもちろん、想像・ロオマンスのなかの幻にもとれる。
    ロオマンスをしつこいほど繰り返す田山花袋の目にうつる柳田国男はこんな感じかと、生暖かい目で見守る?観察する?ような気持ちになった。

    また機会を見て細かに読んでいくつもりだけれど、ひと

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    2023年12月24日
  • 神隠し・隠れ里 柳田国男傑作選

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    自然主義と子供の頃の体験、国家公務員としての立場、ロマン主義などの柳田国男の背景は難しい。ここは長く研究している・読み込んでいる人むけかと思う。
    なので、編者の意図とは違う視点での読書になったが、印象深いところを書き出すと、

    不安定な子供の立場…共同体からの承認を得てはじめて生存を許される、心身が定まらないがゆえに神隠しにあう・依坐となる、親子心中の犠牲者となる。そのなかで神隠しにあった柳田の恐怖心なども見え隠れする。
    母衣については先に読んでいた山本ひろ子『大荒神頌』で花祭の論考でそれの答えになるような事例があった。
    隠れ里への憧憬と畏れ…隠れ里の伝承とともに、現実に見つかった・外界に開か

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    2023年10月09日
  • シン・論 おたくとアヴァンギャルド

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    書名と副題に惹かれて手に取ったが、そういううっかりした読者をぷいっと拒絶する本だった・・><
    これは「シン・・の考察本」ではないそうである。
    というわけで全然さっぱりわからなかったが、ひたすらローアングルの鉄塔について書き続けられてたり、著者は手塚治虫研究者だけあって引用されている手塚の言葉に興味深い部分あった。

    P185・193 ビルドゥングするジャングル大帝レオ ビルドゥングするゴジラ(最初は蛭子ヒルコだったシン・ゴジラ)
    ビルドゥング=ここでは成長・成熟・形成・変形・・・・

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    2022年08月09日
  • 神隠し・隠れ里 柳田国男傑作選

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    神隠しと隠れ里をテーマにしたアンソロジー。
    「神隠しにあいやすき気質」では柳田國男の幼い時の体験が記される。狐の穴の話が興味深かったです。

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    2022年02月12日
  • 八雲百怪(5)

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    4巻発売が2017年なので、4年ぶりの5巻です。そして最終巻。

    南方熊楠に連れて行かれた岩の扉を通って出会ったアンネッタとの日々?が悲しい。
    足りないものを埋めるための日常を旅してきたのだとしたら、八雲の人生は悲しいなぁ。
    明治という旧い日本を放り投げて、新しい日本へと急速に変容していった時代に、自分の足りないものを重ねていたのかなぁ、と思います。

    「北神伝綺」「木島日記」に連なる物語の「八雲百怪」。
    通読すると、新たな物語が生まれて来るのかな。民俗学を下敷きに己の心の中の何かを探し続けた人間の物語、ということなのかな。

    何度も読むことだね。

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    2022年01月20日
  • 「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた

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    ネタバレ

    朝日新聞の書評欄で知って、面白そうだなと思って読んでみた。

    コロナ禍の「新しい生活様式」が、1940年第二次近衛内閣における新体制下の「生活」と類似していることに対する危惧を記した書。

    正直、そんなことは思ってもみなかった。

    花森安治、太宰治、長谷川町子、林芙美子。そんな人達が翼賛体制に協力していた。著者は花森安治に特に厳しい。

    生活の中の、自発的なファシズムへの協力を生み出したのは「女文字」で書かれたプロパガンダ。一見そうとは見えない柔らかな表現、生活に根ざした対象も戦時体制を支える礎となる。

    組体操など、体育の授業や体育教師への嫌悪感は、僕なりの正鵠を得た認識だった。

    こんまり

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    2022年01月03日
  • 恋する民俗学者2 田山花袋編

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    ネタバレ

    漱石や芥川などと比べれば知名度が高いとは言えない田山花袋に焦点を当て、柳田國男と絡ませる漫画なんて色んな意味で凄い、と思い手に取りました。
    結論から言えば目の付け所は良かったけれど表現しきれていないのでは、という感想になってしまいます。
    何だかイメージビデオを見せられているような、強めの曇り硝子一枚隔ててぼんやり眺めているような印象で、面白いとか心を動かされるという作品には感じられませんでした。
    共感を拒むような登場人物たちに加え歴史と文壇の流れを一通り把握していないと理解が難しいであろう物語で説明はほとんど削ぎ落されているため、こういうのが好きな人にははまるかもしれませんがこれを商業誌で2年

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    2021年06月15日
  • まんが訳 酒呑童子絵巻

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    絵巻物をマンガ形式で現代語訳するとは、斬新です。3つの物語が収められていますが、昔の人たちはこんな読み物を楽しんでいたのかと思うと、とても興味深いです。なかなか残忍な描写もあるのですが、こういった挿絵やイラストが当時は当然のものだったということでしょう。日本人の芸術レベルの高さに驚きます。

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    2020年10月23日
  • まんが訳 酒呑童子絵巻

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    絵巻をコマ割りして漫画のように見せるって面白い!絵巻をちゃんと見たことないが、なんとなくどこを見ればいいのか読み取れ無さそうなので、その場面にあったカットがアップになってわかりやすかった。と、同時にグロい絵が多くて気持ち悪くもあった。頼光たち、あれ食べたってマジか…。神仏の力とかで食べたと見せかけただけであってほしかった。他に道明寺縁起と土蜘蛛草子。土蜘蛛の尼の顔が夢に出そう…。

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    2020年08月14日
  • まんが訳 酒呑童子絵巻

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    絵巻をまんがで読み解くという斬新な取組みにより、絵巻の面白さを十分感得できた。また、付された解説、特に、絵巻との対比によりまんがの文法について知ることができたのは参考になった。

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    2020年05月08日
  • 木島日記 上

    購入済み

    絵が個性的

    民俗学が好きなのでネットで調べ、漫画の方がサクサク読めるかなとこちらを購入しました。
    森美夏さんという方がコミカライズされていますが、私には絵の癖がちょっと強すぎて、苦手というよりは見づらかったので、続きは小説を読んだ方が良いのかな?と思いました(試し読みの時点で判断するべきでした。反省です)
    けれどこの独特の雰囲気と不穏な物語が絡み合い、きっとハマる方はとことんハマるんだろうなと思います!

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    2020年03月17日
  • 愚民社会

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    子どもたちに憲法前文を書かせるなど、「近代」を根づかせるための実践をおこなっている大塚英志と、あえて「天皇」について語り「亜細亜主義」を標榜する宮台真司が、共通の問題意識をもちながら、東日本大震災以降におたがいの立場を入れ替えるようになったことをめぐって対話をおこなっています。

    おおむね大塚が宮台にインタヴューをおこなうというかたちで議論が進められています。表面的には両者の立場は対極的にも見えますが、本人たちも認めているように、じつは極めて近い問題関心にもとづいてそれぞれの立場を選択したということがうかがわれます。

    ただ、東浩紀シンパのわたくしとしては、両者のある意味で「啓蒙的」なスタンス

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    2020年01月04日
  • リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか

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    2019.9.9
    今更ながら読むが、現在でも有用な話なんじゃないかしら。僕自身が会社勤めをしつつも社会から隔絶して生きているので(消費者としては繋がっているが)、この10年の両氏の仕事ぶりなどはわからないが、十年前の現実も現状とさほど変わりない。むしろ体感としては問題は尖鋭化してるんじゃないのかなー。
    2人の会話が噛み合わないのはお互い倫理について話ているからだろう。

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    2019年09月10日
  • 木島日記

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    最初の死者の書の話が面白かった。

    シリーズものとは知らずに読んだが、独特の雰囲気がよかった。登場人物が変人ばかり。
    ミステリ的ではあるが、ホラー要素もあり。
    民俗学的な要素も絡み、土着的な雰囲気と、昭和の暗さや、インテリの癖の強さがよくでていた。

    折口が、奇怪な出来事に巻き込まれるというパターンにだんだんと飽きてしまったが、他にはない雰囲気は楽しめた。

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    2018年12月01日
  • 愚民社会

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    書名が「愚民社会」と挑発的ですが、内容は「土人社会」ともっと挑発しています。BREXITやトランプなどのポピュリズムが吹き荒れる世界の流れに刺激を受けて、二人の論者と書名に惹かれて開いた本ですが、3・11きっかけでまとめられた日本論でした。西郷隆盛や福沢諭吉まで遡り、日本の近代化が可能なのかどうか、という、かなり日本ローカルの特殊な事情を語り合っています。なのですが、経済と国土だけじゃないもの、とか論理だけでは溢れ落ちちゃうもの、としての文化への向き合い、という意味では普遍性も感じました。タイミング的には最終章の憲法改正を巡る議論が大迫力。土人憲法の行方は、どうなるのでしょう。脚注満載なので、

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    2018年11月24日
  • 黒鷺死体宅配便(23)

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    ネタバレ

    第1便 ふるさとのない女
    第2便 桃源春夢
    第3便 夜来香
    第4便 青い月の夜に
    第5便 夜霧の馬車
    第6便 何日君再来

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    2018年06月05日
  • 八雲百怪(3)

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    小泉八雲が遭遇する怪異の数々。
    今回は、のっぺらぼうの狢&西行法師の反魂&フランケンシュタインのメアリー・シェリー。洋の東西混ぜ合わせて人間の欲深さと絡めて、怪異が引き起こした事件は落着した様子ですが、あくまで一つの出来事が終わっただけ。
    書物の「門」が存在し、人の我執が存在し続ける以上、怪異は発生するのでしょう。

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    2017年11月19日
  • 零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い

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    ホラーや零シリーズだと思わなければ中々素敵な百合小説だと思う。ただ途中から現れるキャラで色々台無しな気が…。

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    2017年06月21日
  • 「捨て子」たちの民俗学 小泉八雲と柳田國男

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    父は自分が父親から捨てられたことをいまでもひきずっている。捨てられた、というよりは、存在を歯牙にもかけられなかった、の方が正確かな。だから同じ家で暮らす子供たちを見捨て続けた。なぜそんなことになったのだろう?

    小泉八雲も柳田圀男も興味深い人ではあるけれど、私の知りたいことを知るには、明治以降の家制度や婚外子差別、団塊の世代についての本の方がいいかも。

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    2018年05月19日
  • 感情化する社会

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    大塚英志さんの『感情化する社会』を読んだ。post-truthの時代情況を読み解く上でも、人々の交感がいかなる力学で行われているのかを知る意味で有効な一冊。AIによって編集者の審美眼にメスが入るという指摘は、とりわけ書籍の編集者には当てはまるかも。

    「感情化」とはあらゆる人々の自己表出が「感情」という形で外化することを互いに欲求しあうことを意味する。理性や合理でなく、感情の交換が社会を動かす唯一のエンジンとなり、何よりも人は「感情」以外のコミュニ

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    2017年02月17日