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「天皇」も
「文豪」も
「お気持ち」化する
天皇の「お気持ち」、スクールカースト、多崎つくる、腐女子AIりんな、LINE文学…。
私たちはあらゆるものを「感情」として表出し、「感情」として消費して生きている。余りに感情的すぎる日本の現在を不愉快に「批評」する試み。
「感情化」とはあらゆる人々の自己表出が「感情」という形で外化することを互いに欲求しあう関係のことを意味する。理性や合理でなく、感情の交換が社会を動かす唯一のエンジンとなり、何よりも人は「感情」以外のコミュニケーションを忌避する。(略)その結果、私たちは「感情」に対して理性的でありえることばを政治からジャーナリズム、文学にいたるまでことごとく葬っている。私たちは私たちに心地良い感情を提供することばしか、政治にもジャーナリズムにも文学にも求めず、その要求にそれらはいとも簡単に屈した。だからぼくは本書で敢えて不快なことばを連ねる。(「第一章 感情天皇制論」より)
Posted by ブクログ 2020年12月22日
久しぶりに著者の批評を読んだ。話題にされるのはネット上、SNSの承認欲求、俯瞰ポジショニング、共感レースについてが主だが、なろう小説や大統領の演説への反応といったあらゆる文芸ネタを横断して共通テーマを見出す手法は相変わらず錬金術じみて面白い。
しかし全体的に悲観的だった。ポストモダニスト故に自ら書い...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年02月17日
大塚英志さんの『感情化する社会』を読んだ。post-truthの時代情況を読み解く上でも、人々の交感がいかなる力学で行われているのかを知る意味で有効な一冊。AIによって編集者の審美眼にメスが入るという指摘は、とりわけ書籍の編集者には当てはまるかも。
「感情化」とはあらゆる人々の自己表出が「感情」と...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年12月18日
社会編と文学編の2部構成で論点盛りだくさん。まず天皇の「お気持ち」から始めて、理性や合理ではなく「感情」による「共感」が社会システムとして機能する事態=「感情化」を概観する。そして、「感情」の外に立つ機能=「批評」の必要性を再確認。続けて、Web上の「自己表出」を無償労働の問題として批評する件まで一...続きを読む
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