白河三兎のレビュー一覧
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ネタバレ中学生としてはその過去から常に冷めた客観的な思考を持つ主人公が転入した中学で出会う、キヨコとの奇妙な関係。
向日葵、うさぎ、里親制度、通り魔事件、年金不正受給など多くの伏線が張られており最後まで読者を楽しませてくれるし、何より中学生の心の襞をとても的確に、納得性を帯びながら提示してくれる。
第13章大当たりでの表彰シーン、第14章高貴での父子のラーメン屋でのシーン、第15章もっと陽のあたる場所でのキヨコとの絶頂の戯れ、第16章道化師での滑り台下での告白で、冷めた主人公の感情が開放され躍動し、盛り上がります。
主人公にとっては少々残念なラストではある。高野家がキヨコを養子にする展開を読みたかった。
作者の他の作品も気になりました。機会があれば手に取りたいです。
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Posted by ブクログ
白河三兎さんの長編を初めて読む。
小説新潮に載っていた「子の心、サンタ知らず」がよくてずっと気になっていた。
でも、この前読んだ「白紙」が残念で、恐る恐る。
結論、白川三兎さん好きになれそう。
白河さんが描く人物たちにはがむしゃら感があって人間くさい。
共感できるところが多くて、友達になれそうな人たちなのだ。
「今の私では二人を幸せにできないけど、こんな私でも認めてくれた二人の気持ちは無下にできない」と非合理的な選択をする加奈子。
それに対して、「なんて我がままな女なんだ」と思いつつ、加奈子への愛情が爆発してしまうノブとか。
この物語のテーマの一つは、「人それぞれの幸せ」というところにあると思う。
人は、考え方も背景も違う。
誰もが幸せになるということは難しい。
たとえ家族や恋人同士であってもだ。
それを目指すなら、とにかく相手のことを考えて、がむしゃらでも行動してみるしかない。
結末には驚かされた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエピローグに、わかるんだけど、わからなくもないんだけど、わかる気もするんだけど(段々弱まっている)、でもフィクションなんだからもう一歩踏み出しちゃっても良いのに!となった。
素直に勘違いをしていた(むしろそのまんまなそれを望んでいた)為に兎人間と彼女が上手く重ならなくて、坂井が彼女を好いている気持ちは正直ピンと来ないのだけれども、でも好きなんだろう?!意気地なしめっ……と思ってしまう。
そもそもふたりとも自己完結型で、なんだか最後までそうで。
大事に取っておきたいという気持ちはとても初恋らしくてわかるけれども!となる。勝手に。坂井サイドとして。
ちゃんと向かい合う荒っぽい口調の峰がすき。
うっかり「本当は坂井も(あの時点ではああでもなんかこう)そうなんじゃないのう」とか疑うくらいすき。(再読必須)
さらっと流れるけれどラブレターの件の先生はふつうにひどい。
西本くんにはなんかへんな誤解をしそうになりがちだった。何故だ……。 -
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「私はここにいる。それは私がわかっている。私が存在しないことには何も存在しない。私の存在が全ての始まりだ。元凶であり、希望の源なんだ」
「みんな本音を心にしまいがちだけど、外へ吐き出すべきなんだ。相手の心を踏み躙ったり、人間関係がぎくしゃくしたりしても、長い目で見れば真実しか残らない。上っ面のことは淘汰されちゃうんだよ」
『本音を隠せば隠すほどにやましさが大きくなる。嘘をついても得られるのは真っ黒な感情だけだ。このままだと俺は嘘の塊になる。そして数多の嘘と一緒に俺自身も淘汰されるのだろう。』
「中途半端にできる人よりも全然できない人の方が愛される。そして未熟だった人が進歩した時は、甚だしく過大評価される。だから最初の一週間の拙さは故意だったの」
『瞬く間に人生の可能性が広がった。数時間後に何が起こるかなんて誰にもわからない。自分がどこにいても不思議じゃない。どこへでも行けるし、なんでもできる。不自由を存分に楽しめばいい。もうやたらめったらに怖がらない。恐れるな。立ち向かわなくちゃ何も始まらない。自分の人生を切り開けるのは自分だけなんだ。』
『一生忘れない。死ぬまで大切にする。久々に混じりっけのない愛を感じた。心に血が通ったような感覚。ちょっとだけ本物の涙が出ちゃったよ。』
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「自分の力で運命を切り開くには、先ず一度運命を受け入れなくちゃならねーってことを知らない奴が多すぎるんだ」
『久米先生が無言でハンカチを渡そうとする。でも私はその手を払った。やめて! そんなことしたら本当に慎次が死んだことになっちゃう。泣いたら泣いた分だけ慎次が死んじゃう。』
『慎次となら何時間でも一緒にいられた。苦痛を感じずに同じ時を過ごせる唯一の存在だった。慎次は『夏休みに溺れ死ぬ』というベタな死に方をし、私は『失って初めてその大切さに気付く』というベタな認識をした。どっちもどっちの馬鹿な姉弟だ。』
「自分の気持ちに嘘をつくことが癖付くと、人生で何も手に入れられなくなるぞ。素直になれよ。当たって砕けた方が利口だ。砕けた分だけ強くなる。次に砕けても粉々にならないで済む」