白河三兎のレビュー一覧
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ネタバレ「神様は勝たせない」でも思ったけれども、白河三兎さんはスポーツがテーマの作品はその競技についてとても詳しく描写するだけではなく、プレーヤーの心理描写もすごくリアルで読む方もつい手に汗握ってしまう。あれ、自分もゲートボールやってみたいかもという気になってしまった。
モン美だのピン子だのなかなかなあだ名を付けられても孤高を貫きつつ、ちょっと不思議な愛情と共に過ごした話は彼女らの親よりも年上であろう自分でもいいなと思った。
モン美のお祖父ちゃんが余命わずかなのかと思わせつつ実はモン美が病を抱えていたというのは読んでいるうちに予想がつくのだけれども、それも作者は織り込み済みなのだろうな。それで結局 -
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ネタバレ「みんなに感謝してほしい。食事の前後に。服を買う時も。寝る前も。死ぬ直前にも手を合わせて声に出して感謝してほしい。そう感謝するべきなのよ」
「僕、生まれて初めてあの言葉を使うよ。あれを言うのは今しかないって感じだ」
「のび太、心の友よ!」
「僕はのび太じゃねぇ」
「俺はジャイアンでもねぇし」
僕たちはインターホン越しに笑い合う。
一人の方がラクだと言うのは簡単だ。自主的に一人になるのもそれほど難しくない。でも周囲の意図により一人にされるとかなり堪えるのだ。予想の何十倍も効いた。無視いうのは見ないことじゃなかった。その反対だ。常に監視されている。正しく無視するためには僕と一定の距離を保たねば -
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この小説に書かれているのは何か?
家族か、恋愛か、青春?
成長、共感、嫉妬、孤独、愛情、友情、希望、絶望?
全部だ。
20の章に細かく分けられた物語は、その一つ一つが起承転結の立ったエピソードで成っており、メッセージ性もある。
エピソード同士は深くかかわって、ある出来事の伏線になって、読者に先を読ませない展開を生む。
これは白川三兎の作品に共通する構成力だ。
しかし構成力ばかりほめても仕方がない。
ストーリーが面白い。
クラスから無視されているキヨコと、転校生のシンペーの交流。
こういうあらすじで端的に伝えるのが難しいほどいろいろ起こる。
キヨコの抱える秘密には途中で気づいてしまうかもし -
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ネタバレやっぱオモロい白河三兎。この本もまたグイグイひきつけられて読んでしまったなぁ。
中学3年生で家の歯科医を継ぐ運命にある男の子が主人公。彼女は学校で一番の容姿端麗かつ才媛かつ運動抜群の人気者。学校を締めてた裏番が姉。親友もいてライバルもいて…と、キャラクターが整ったところにやってくる教育実習生、主人公は彼女を知ってるような気がして…
あぁ、これ学園物のジュブナイルな、なんて早とちりしてはいけない。前半確かにそういうところもあるが、ティーンに読ませるだけでは勿体ない展開が後半待っている。
風俗やら人間のドロドロやら、ちょっとキツい(俺は10代の子が読んでも全然いいと思うが、咀嚼しきれるかは不 -
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久々に当たりの青春小説だった。
読み終わった時、何が良かったんだろうと思い返すと、田嶋春本人は主役ではないという点にあるのでは。
空気読めずに思ったことをストレートに物申すタジーこと田嶋春はサークルどころか大学の厄介者だ。
その代わり、裏がなく嘘をつかず、人嫌いをしない。
本人は至って真面目に突っ走っているのだ。
話の中心にいるようでいて、実は話の外側から内側をかき回している立ち回りだ。
タジーうぜぇと思っている一人称の俺・ワタシたちが隠しているダサい善意を引き出し、いつの間にかタジーを見直している。
隣にいると鬱陶しいことこの上ないが、思ったことをストレートにぶつけてく -
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ネタバレ期待を裏切らない白河小説。
自殺ほう助サイト「小人の巣」
ポリシーは,どうせ自殺するなら無駄死にせず、病魔と闘いつつ生きたいと思ってる人に臓器提供をしなさい。ドナーカードを作ってきたら安楽死の薬をあげます、ってもの。このサイトの狙いとは?
…ってこんな舞台で短編5編も、それもそれぞれに個性的なきっちりオチつけた物語をかけるなぁ、と感心した。特に「アリとキリギリス」の自殺したい理由がかなり変化球でオモロい。この1冊の中で一番気に入った短編。
オーラスの仕掛けにはびっくり。Zガンダム戦闘シーンのごとき哲学的言い争いの果てに見えた地平は生者のものか死者のものか…。作者のことだから、なんか仕掛けて -
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「ぶっちゃけ、総理大臣を暗殺しようと思っているんだけど」
『世間は子供や老人に『なのに』を付けて持て囃したがる。成人に『なのに』を付ける時は大抵悪い意味だ。』
『少なくとも私には命の重さがわからない。私は父の死に間近で触れたけれど、『こんな簡単に死んじゃうんだ。なんか軽いな』としか感じられなかった。』
「俺が悪かったよ。体重計に乗るから。だからボタンを留めろ」
「私をがっかりさせないで。声高に平等を訴えたものだから、柏木くんは男女の身体的特徴の差異など気にしない懐の深い人なんだな、と感服したばかりだった」
「どんだけ自分の体に自信があるか知らねーけど、男でも女でも自分から脱ぎたがる奴な