白河三兎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第42回メフィスト賞受賞作。
ミステリーなのか青春なのか恋愛なのか、分類しきれないところがメフィスト賞らしいな。メフィスト賞は当たりが多くて好き。
白川三兎は二冊目。「私を知らないで」が良かったので、デビュー作である本作を読んでみたけれど、何となく既視感が…。温かい気持ちになれるラストシーンは良いなと思った。
辻村深月のような構成で、辻村深月の登場人物より厨二秒っぽい感じの登場人物で、残酷さを排除して軽くした感じ。ライトノベルっぽい。
*以下引用*
*人間を深く愛せる者は、自分にも他人にも非情になることができるんだよ。それは仕事でも実生活においても、一番大事なことなのだ。 (p30 -
Posted by ブクログ
「私を知らないで」や「プールの底に眠る」などの作品で、個人的に注目している白河三兎の作品。今回も、ところどころに秀逸な設定や心理描写がみられるけれど、全体的には技巧に凝りすぎている印象。透明人間モノは、光学的な観点や、ヒトの認知能力に関わる難しい問題を避けて通れないし、何らかの設定を導入したとして、物語がその設定と矛盾せずに進行しているのかどうかを読者がチェックしなくてはならないので、負担が大きい。それでも、最後の最後まで結末が分からない白熱した展開には満足したし、まさかのラストシーンには驚かされた。今後もしばらくは白河三兎を追いかけねばなるまい。
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Posted by ブクログ
白河さん初読み。
表紙もタイトルも観覧車に憑いた幽霊という設定も、どれも魅力的でわくわくしながら読み始めたのだけど……。
うーん。
登場人物の誰も好きになれず、ゆえに話も楽しみ切れず。
銀杏の猪突猛進さは若さゆえと羨ましく思うより、もう少し落ち着けーと思っちゃうし、柴崎の飄々さとヘンな一途さはカッコイイと思うより、こういう男子ってズルイよなぁと思ってしまう。
だめんずの銀杏の元彼やコメのほうがまだ理解できるし、好感も持てる。
ああ、うん。誰も好きになれずと書いたけれど、コメは割と好きかも。
裏返せばそれは、やっぱり銀杏と柴崎が好きになれないということと同義になるのだけど。
(ネタバレになるの -
Posted by ブクログ
ネタバレ白河三兎は『私を知らないで』に続いて二作目。
粗いけど、「砂漠」という設定も最後まで読めば意味があって、面白い。
しかし何より、『私を知らないで』同様、タイトルが秀逸。
「私はひた向きに愛し続けた。割に合わないこともたくさんあったけど、見返りなんて求めていなかった。ただ心の赴くままに愛したい人を愛しただけ。」
「自分で真実を見つけろ。真実は自分の中にしかないんだから。あるジャングルの奥地で暮らしている原住民たちは市h急が平らだと信じている。でも彼らは丸い地球の上で穏やかに暮らしている。彼らには『地球は平らだ』っていうのが真実であって、それに満足して過不足なく暮らしている。
彼らの真実 -
Posted by ブクログ
”ケシゴムは嘘を消せない”白河三兎著 講談社文庫(2014/01発売)
(2011/01発売 講談社ノベルス”角のないケシゴムは嘘を消せない”の改稿文庫版。解説:大原まり子)
・・・離婚が成立して一人やけ酒を呷る男の部屋に、女性の透明人間が侵入する。体が見えない上、何でも消してしまえる特殊能力を持つ女は、謎の「組合」に自分が追われていると男に助けを求めた。奇妙で不思議な同棲生活の行方と「見えない」恋の結末は?
・・・とありますが離婚した前妻やその子供との関わりを見ると”透明人間いらないんじゃないか”と思いましたし、
透明人間中心に見ると”前妻と子供の話いらないんじゃないか?”とも思いました -
Posted by ブクログ
率直な感想は「んー何とも。」という曖昧なもの。とんでもない背景シチュエーションでどう話が広がるのかと思って読み進めれば、タイムパラドックスもの。過去と現在?の二パターンで話が進んでいく作品。途中に「親殺しのパラドックス」が出てきて、これがバックボーンなんだろうなと気付され、パラドックス作品は難しいよ、と主人公が仄めかしているにも関わず、この作品はパラドックス作品としてはしっかりできていたと思います。
伏線はほとんど後半で回収されると書いてあったけれど、結局あの空間は何なのか?砂漠の車の会話は?9歳と18歳の時は生き返っているけれど、今回は・・・となんだか腑に落ちないところもありました。