白河三兎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ事故でなくなり観覧車の中で自縛霊となった少女千穂と、その親友銀杏の2つの視点を交互に配置して進んでいく構成が面白い。そういう二視点から語られるのはよくあるパターンなんだろうけど、この小説ではその手法が見事に機能している。
人物と生き方を読む物語だと思う。二人の主人公はじめ、主要な登場人物たちの人生、葛藤、趣味趣向の個性的なこと。そして登場人物たちが交差することで伏線が張られ、回収されていく様の絶妙さ、二視点が落ち着きなく移り変わることすら心地よく感じる。
それだけに、片側の視点だけとなってしまった、オーラスは非常に残念。着地点そこでエエんか?っていうか着地してないんとちゃうか?
ああいう風 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリー要素もSF(というかファンタジー?)要素もふんだんにあるんだが、俺はこの本を父親の小説として読んだ。物語の冒頭、ダメ亭主として(おそらく意図的に)描写された主人公ノブが話が進むごとに変わっていく変遷の味わいがよい。
そう、男ってのはこういうダメなところが、多かれ少なかれ何がしかあるもんだ、こじらすとアル中になったりDV走ったりするんでアカンねんけど、パーフェクトを目指す女性から見たら「なんと情けない」と思われてしまう要素を持ってしまってる性なんやと。
その「なんと情けない」を背負いつつ、子供との関係や恋人とか配偶者との付き合いを進めて行くうちに光ってくる何かがある。背負ってるもん -
Posted by ブクログ
離婚が成立し、自宅でひとりやけ酒をあおる男の元に姿の見えない女が現れた。
男は「暇なら飲まないか」と誘い二人は意気投合する。
女は大きな「組合」に追われていると言い、男は彼女を匿い、守ることにした。
奇妙で不思議な同棲生活の行方は・・・。
白河作品はどの作品も、なんだか地に足がついていないようなふわふわとした読み心地がします。
たぶんそれは、終盤に明かされる真実を隠すために、わざと登場人物達の心の動きが読めないようにしているせいなんだと思います。
それが、登場人物たちのつかみどころのないちぐはぐな言動に現れ、独特のフェイク感を醸し出してるんですよね。
面白くないこともないのですが、他の作品も