白河三兎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレクラスで爪弾き者のお話という点が「私を知らないで」を想起させられ、あれが個人的にはとても良い作品という記憶がある(読んだのは6年も前で、かなりおぼろげですが……)ので、本作にもちょっと期待を抱いて読んでいました。
「私を〜」と違って本作は群像劇になっており、特に第二章の舞妓の話は主人公の一途さに共感と同情させられ、かなり引き込まれました。ただ第一章の設定と齟齬があり、どうも時系列的にトリッキーな作りになっているのではと感じ始め、以降は登場人物の心情などより、どのような仕掛けがあるのかが気になってしまいました。
その点に関しては、最終章で納得のできる種明かし(ちょっと強引なところもありますが)があり、なかなかに面白い作りの小説のように感じました。
ただ、登場人物への共感という点では、二章の舞妓以外では宮下と志村の話くらいで、他は可もなく不可もなく。タロットに至ってはただ腹立たしいキャラでしかなかったため、トータルでプラマイゼロな印象となりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自殺願望がある人たちを呼び寄せる、自殺幇助のサイト、小人の巣。
いじめを苦に自殺しようと思い、小人の巣の管理人「シャーマン」に会いに行った女子中学生の沙菜。
シャーマンは臓器移植をしないと治る見込みのない難病患者の10歳の女の子だった。
彼女がくれた死の薬は、ただのビタミン剤で、シャーマンこと明は、自殺幇助ではなく自殺願望者たちを救う活動をしていた。
一度は人生に絶望して、それから命の大切さを知る人たち。
大切な人とずっと一緒にいたくて死のうとする人。
就活がうまくいかなくて死のうとする人。
恋人に振り向いて欲しくて死のうとする人。
病気を抱えた明の父の思い。
ツイッターで自殺願望者探して9人殺害した事件思い出すわ。
現実はこんなに簡単じゃないとは思うけどな。。。。
今日だけでも、とりあえず頑張って生きてみよう、明日のことはそれから、の積み重ねで、いつしか死にたいっていう気持ちも薄れていくのかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ事故でなくなり観覧車の中で自縛霊となった少女千穂と、その親友銀杏の2つの視点を交互に配置して進んでいく構成が面白い。そういう二視点から語られるのはよくあるパターンなんだろうけど、この小説ではその手法が見事に機能している。
人物と生き方を読む物語だと思う。二人の主人公はじめ、主要な登場人物たちの人生、葛藤、趣味趣向の個性的なこと。そして登場人物たちが交差することで伏線が張られ、回収されていく様の絶妙さ、二視点が落ち着きなく移り変わることすら心地よく感じる。
それだけに、片側の視点だけとなってしまった、オーラスは非常に残念。着地点そこでエエんか?っていうか着地してないんとちゃうか?
ああいう風なモヤモヤしたまま終わってしまうのは勿体ないと思うぞ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリー要素もSF(というかファンタジー?)要素もふんだんにあるんだが、俺はこの本を父親の小説として読んだ。物語の冒頭、ダメ亭主として(おそらく意図的に)描写された主人公ノブが話が進むごとに変わっていく変遷の味わいがよい。
そう、男ってのはこういうダメなところが、多かれ少なかれ何がしかあるもんだ、こじらすとアル中になったりDV走ったりするんでアカンねんけど、パーフェクトを目指す女性から見たら「なんと情けない」と思われてしまう要素を持ってしまってる性なんやと。
その「なんと情けない」を背負いつつ、子供との関係や恋人とか配偶者との付き合いを進めて行くうちに光ってくる何かがある。背負ってるもんのしんどさがイヤになったり、逃げ出したくなったり、呆れてみたり…
白河さん、少々荒さが目につくものの、さすがの人間描写。透明人間と組合のゴタゴタ劇に家族小説の味わいをぶっ込んでくるあたり、器用さだけじゃない強引さも感じる。そういうのキラいじゃないけど、細部をもうちょいやすりがけしてなめらかにしてくれたらもっと良かったかな。