あらすじ
わたしが観覧車の幽霊になって随分時間が経ちました。この観覧車には変わった人がいっぱい乗ってきます。盗聴魔、超能力を持つ占い師、自信喪失した女記者、ゴンドラでお見合いをする美人医師……みんな必死にくるくる生きてる。だから今、わたしは人を思う力を信じてる。そうしたらいつかもう一度、あなたに逢えるかな?これはすれ違う人々の人生と運命を乗せて、回り続ける観覧車の物語――。
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Posted by ブクログ
「切なさの魔術師」の異名は今作でも健在!白河節炸裂!
主人公が天体望遠鏡を使う場面では望遠鏡のレンズ越しよりも涙に濡れた肉眼のほうが真実を見極めることができたのでしょうね。
個人的には「闘牛」の例えや「パクリ」についての考察の言い回しがツボにはまりましたw
Fantastic!
Eternal!
Noble!
Dramatic!
Integrity!
すべてが詰まった1冊ですね!
Posted by ブクログ
湊作品や辻村作品の雰囲気で進みつつ最後は希望を持てる読後感の良い作品でした。小説新潮で観覧車の話出てきてたのでそれとの繋がりもにやっとしました。
Posted by ブクログ
白河三兎は凄い。ぐいぐい進む展開に全身で惹き込まれてしまう。
実際にはあり得ない設定やシーンの連続なのだが、妙なリアリティがあり、バラバラのことと思っていたエピソードや人物がストーリーが進むに連れてどんどん結び付いて収斂していく。その思いがけなさに、ハッとして、ますます惹かれてしまう。相当緻密に構想を練って書かれたのだろう。
こんな白河三兎は、もっともっと注目されていいと思う。純文学というよりエンタメ小説という位置付けだから評価されないのだろうか。エンタメっぽい突拍子のなさもあるが、登場人物の語る言葉の中には、物事の本質を突くような哲学的な鋭い知見が含まれていて、人生とか世界とかを語らせても十分世の中に通じると思うのだが。
とにかく、多くの人に読んでみてもらいたいと思う。ただ、本書は、ラストがちょっと分かりにくかった。作者は余韻を残したかったのかもしれないが、それまで主人公の感情の一つ一つまで言葉で表されていたのが、最後だけ、それが省かれていて戸惑った。そこが少し残念。
Posted by ブクログ
事故でなくなり観覧車の中で自縛霊となった少女千穂と、その親友銀杏の2つの視点を交互に配置して進んでいく構成が面白い。そういう二視点から語られるのはよくあるパターンなんだろうけど、この小説ではその手法が見事に機能している。
人物と生き方を読む物語だと思う。二人の主人公はじめ、主要な登場人物たちの人生、葛藤、趣味趣向の個性的なこと。そして登場人物たちが交差することで伏線が張られ、回収されていく様の絶妙さ、二視点が落ち着きなく移り変わることすら心地よく感じる。
それだけに、片側の視点だけとなってしまった、オーラスは非常に残念。着地点そこでエエんか?っていうか着地してないんとちゃうか?
ああいう風なモヤモヤしたまま終わってしまうのは勿体ないと思うぞ。
Posted by ブクログ
観覧車に住み着いた、幽霊の物語。
著者らしい価値観や雰囲気を散りばめた、ライトな青春ファンタジー。
思っていたよりやや甘ったるく、そのまま終わってしまった。
他作のように、キレや魅力、捻りがもうひとつあってよかった。
3-
Posted by ブクログ
びっくりするくらいバラバラで、バラバラだけど繋がってて、みんなぶきっちょで。
誰にも共感できなくてなんだかなーと思いつつ、最後はやられる。
言葉の何気ない使い方、ニュアンスが好き。
Posted by ブクログ
観覧車の地縛霊となった千穂は、そこで幼馴染の銀杏を待ち続ける。そこには、盗聴魔、超能力を持つ占い師、自信喪失の記者、ゴンドラでお見合いする美人といった様々な人たちが訪れて・・・
一見、バラバラな登場人物たちがだんだんつながっていくところに惹かれていきました!
伏線もちらほらあって楽しかった!!
だけど、ラストがちょっと・・・結局銀杏の恋はどうなったのかちょっとわかんなかったなぁ・・・((+_+))
Posted by ブクログ
白河さん初読み。
表紙もタイトルも観覧車に憑いた幽霊という設定も、どれも魅力的でわくわくしながら読み始めたのだけど……。
うーん。
登場人物の誰も好きになれず、ゆえに話も楽しみ切れず。
銀杏の猪突猛進さは若さゆえと羨ましく思うより、もう少し落ち着けーと思っちゃうし、柴崎の飄々さとヘンな一途さはカッコイイと思うより、こういう男子ってズルイよなぁと思ってしまう。
だめんずの銀杏の元彼やコメのほうがまだ理解できるし、好感も持てる。
ああ、うん。誰も好きになれずと書いたけれど、コメは割と好きかも。
裏返せばそれは、やっぱり銀杏と柴崎が好きになれないということと同義になるのだけど。
(ネタバレになるので理由が書けないのがもどかしいっ)
時折こつんと心に響く言葉や表現があり、また、観覧車に憑いた千穂の設定や、かぐや姫をはじめ周りの人物たちとエピソードが観覧車に集束されていくところは面白かったしうまいなと思う。
この1作だけで合わないと判断せずにもう1~2作は読んでみたい。
Posted by ブクログ
最近注目している作家、白河三兎さん。今回は観覧車の地縛霊となった女の子が出てくるファンタジー小説。1週15分の閉鎖的な空間である観覧車を舞台に観覧車で占いをするオジサン、盗聴癖のある観覧車の係員の男、観覧車でお見合いをするかぐや姫のような美女……さまざまな人の思惑が絡み合ってみえてくる真実とは。果たして彼女は成仏できるのか?多少人を選ぶかも知れないけれど、魅力的な書き手だと思う。2013/391
Posted by ブクログ
なんだか不思議なお話でした。
観覧車のゴンドラの地縛霊になってしまった千穂と、猪突猛進型の銀杏。
二人の視点が交錯しながら紡がれていく物語。
周りを取り巻く人々も随分と癖のあるタイプで、象徴的に用いられる観覧車に乗せて、それぞれの思惑がくるくると回っている。
バラバラに見えたそれぞれの欠片が、運命の歯車が噛み合っていくかのようにいつの間にやら収まっていったという感じ。
雰囲気は嫌いじゃ無いです。
ただ、感想を聞かれると"なんだか変わったお話"というのが正直なところ。
Posted by ブクログ
前作が余りに素晴らしい作品だった故に
今作の期待値はかなり高い...というハードルを
やんわり...といなした様な印象の残る作品だった。
上手いと思うし、登場人物たちのどこか
浮き世離れしたキャラは愛すべきもので
読んでいて惹き付けられます。
コンプレックスを抱えながらも自分に
正直に強く活きる主人公「銀杏」。その元カレで
盗聴魔の「エッチ」。さらに未来を視る事の出来る
占い師、男を言葉で攻撃する美人の「かくや姫」...
そして観覧車のゴンドラから出られない幽霊の「千穂」。
様々な人物達が巨大な観覧車にそれぞれの思いや
人生を託し、ゴンドラは回る。そう、君のために。
そんな群像劇で恋愛ストーリー。
メフィスト賞出身に固執してミステリ要素を
求めると今作は肩透かし感が強いかもしれません。
自分も多少はそのクチだったので、今作に関しては
少々物足りなさを...感じてしまいます。
あまりに強く真っ直ぐな「銀杏」という女性が
自分的には怖い...のかもしれません。これがリアルな
恋愛小説だとは思えず、かといってファンタジー...かと
というと少し切なく、残酷だったり...。
やはり期待値が高過ぎて、読む側の自分が多少
空回りしてしまった...のかも。