白河三兎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人が死にたくなる瞬間って結構そこらへんに転がっているものかもしれない。
いじめ、就職活動、将来への不安、恋愛、身近な人の死……。
実際日本の自殺者数は多く、作中では年間3万人以上、WHOの基準にならって変死者数の半分を含めると(遺書がないと変死扱い)10万人以上になると書かれている。
3分に1人が死を選んでいることになる。
本書は2015年10月発行なので、現在の自殺者数だけを見てみるとやや減少傾向にあり、2016年には2万1千人となっている。
しかし、これでも多い。
連作となる5つの短編の主人公たちも自殺を考えていて、「小人の巣」という自殺サイトにたどり着く。
サイトを運営するシャーマ -
Posted by ブクログ
登場人物たちの抱えているものがちょっと重たくて、なかなか共感するところまで至らなかった。
これまで白川三兎の作品は短編2作と長編は本作含めて2作しか読んでいないが、暗い背景を抱えている登場人物が多い。
それでも最後には希望を見せてくれる展開が多いので、素直に爽やかな青春小説とかも読んでみたいのだが、どうだろう。
本作はメフィスト賞を受賞したデビュー作(文庫はその改稿版)だが、いつもの構成のうまさは当初からあったようで、個々のエピソードから小さな小物に至るまで、ほかの事象とかかわりあっている。
登場人物のキャラクターも、「あの事件が彼を形作った」みたいな簡単な話ではなくて、「あの事件でこうなっ -
Posted by ブクログ
ネタバレクラスで爪弾き者のお話という点が「私を知らないで」を想起させられ、あれが個人的にはとても良い作品という記憶がある(読んだのは6年も前で、かなりおぼろげですが……)ので、本作にもちょっと期待を抱いて読んでいました。
「私を〜」と違って本作は群像劇になっており、特に第二章の舞妓の話は主人公の一途さに共感と同情させられ、かなり引き込まれました。ただ第一章の設定と齟齬があり、どうも時系列的にトリッキーな作りになっているのではと感じ始め、以降は登場人物の心情などより、どのような仕掛けがあるのかが気になってしまいました。
その点に関しては、最終章で納得のできる種明かし(ちょっと強引なところもありますが -
Posted by ブクログ
ネタバレ自殺願望がある人たちを呼び寄せる、自殺幇助のサイト、小人の巣。
いじめを苦に自殺しようと思い、小人の巣の管理人「シャーマン」に会いに行った女子中学生の沙菜。
シャーマンは臓器移植をしないと治る見込みのない難病患者の10歳の女の子だった。
彼女がくれた死の薬は、ただのビタミン剤で、シャーマンこと明は、自殺幇助ではなく自殺願望者たちを救う活動をしていた。
一度は人生に絶望して、それから命の大切さを知る人たち。
大切な人とずっと一緒にいたくて死のうとする人。
就活がうまくいかなくて死のうとする人。
恋人に振り向いて欲しくて死のうとする人。
病気を抱えた明の父の思い。
ツイッターで自殺願望