感情タグBEST3
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さすが白川三兎、デビュー作でこのレベルの小説書くかぁ、スゲーわ。メフィスト賞受賞もなるほどなぁと思わせる。
小道具描写なんかが荒削りだったり、文庫化に伴う再編集後も時系列が分かりにくい部分があったりするが、その瑕疵を帳消しにして余りある、登場人物たちの心理描写・行動描写が素晴らしい。
ここんとこ「青春時代の真ん中は道に迷っているばかり」的な小説に出会うことが多いが、この作品もそのテーマの秀作。エエ歳こいてから厨二病っぽい小説を読んで楽しむってのは、あまり品の良くない趣味かも知れないが…オモロい小説が揃ってるテーマやもん、しゃーない。
最後のハッピーエンドは手本通りとも思えるし、出来すぎとも思えるし、エーっそっち選んだの?とも思えるし、解釈が色々できてそれも楽しい。ドラマ化したら「原作とは違うエンディングを用意しました」をしやすいヤツやな。
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優しさと痛々しさを抱えながら生きている
若さに溢れた一時にしか描くことが出来ない
雰囲気を持った作品で、荒削りなところはあるものの
読み手の心を捉える力がある本だと感じた。
感受性の強い子供が成長して書くタイプの
ある種の痛い感じのところだったり
願望がいり混じったようなお話的なところも含めて
「雰囲気」があって、読ませる本だった。
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青春/恋愛/ミステリー
タイトルと表紙に惹かれて購入。
ミステリー要素はかなり薄め。
"不思議な雰囲気の青春小説"だと思う。
達観した主人公と、瑞々しい会話に、序章から引き込まれた。
個人的には、本多孝好さんの短編『瑠璃』とイメージがぴったり一致。
ちなみに『瑠璃』は最も好きな短編作品。
評価は甘めに★5。会話が好きすぎる。
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たくさんのしかけがちりばめられている本。
ごく普通の高校生と心のない少女の物語、その二人の7日間のストーリーが本の半分ぐらいを占めている。
文章がとてもきれいで本の中に引き込まれてしまいます。
一回目は複雑にいりくんだ物が一気に解ける爽快感に圧倒されました。
二回目に読んだときは仕掛けを知っているからこそ楽しめる部分があったと思います。
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『僕は一人じゃない。今までも、これからも。』
『小学二年生の時に僕は鉄棒に前歯をぶつけて折ったことがある。もちろん歯の方をだ。』
「『ムーミン谷』のムーミンだって泳ぐ時は水着を着るのよ。普段は素っ裸なのに。大切なのは雰囲気よ」
「さっき、上手く笑えていたかな? 辛い時に笑えるような強い人間になりたいんだ、私」
「女の子は生理の周期によって歩くスピードが変わるから、男は女のペースに合わせなくちゃいけない。これは自然の摂理なの。」
「私はもうずっと前に死んでいるの。みんなには生きているように見えるけど、それは私が生きていた時に放っていた光を見ているだけ。私はもう終わっているの」
「わかってる。でも私は私でいたい。誰とも繋がっていたくない」
「なるほどね。パブロフ博士が犬に餌をあげる時に、ベルを鳴らしたんだ ー でもさ、思うんだけど、犬がベルの音に反応して、よだれを出しちゃうんじゃなくて、博士がベルの音を聞かないと、餌をあげた気にならなくなっちゃったんじゃない?」
「そうなの。愛って言葉を使えば、何でも許されるみたいにね。愛で地球を救おう。愛しているからセックスしよう。愛の鞭だと言って殴ったり。みんなで愛って言葉で真実を誤魔化そうとしているのよ」
「魔法の言葉よ。愛って言葉を唱えれば、人間のエゴは消えちゃうの。募金は集め易くなるし、女の子の股も開き易くなる」
「それはあなたが一番よく知っているはず。あなたが私の一番近くにいたから」
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不思議な話。
メフィスト賞受賞のデビュー作。
少女の自殺を食い止めてからの7日間を、13年後からさかのぼっていく話。
イルカとセミの関係は、素敵だけど切ない。
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作者さんの本は『私を知らないで』を始めて読んで恋愛ものとして割と好みだったんだけど、登場人物のファンタジーさがまったく同じだったので2冊目にして飽きてしまう感じでした。嫌いじゃないんだけどな〜残念...
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メフィスト賞受賞作にして、著者のデビュー作。ちゃんと伏線回収するミステリなので、ファンだけでなく、ミステリ好きは触れていただきたい。当時はミステリエンタメの最前線と呼ばれていたようで、最近だと『冬の朝、そっと担任を突き落とす』というショッキングなタイトルの本や、『ひとすじの光を辿れ』というゲートボール×女子高生というまた一風変わった作品を出している。ミステリを基本としてこれからも様々な作品を出してほしい。
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読み終えて、なんだろうこの本はストーリーをあまり書きたくない。不穏なほうにいくのかなと思いきや揺れ動いた。読む人に委ねたいと思う本だった。
最初は違和感があったのだけど、それが独特なんだと思えてやがて没頭できた。
伏線がはりめぐらされたイルカとセミの童話。
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序盤で主人公の過去の出来事が語られ
その中の人々があとになって主人公とのつながりが
説明される
そんな展開で最後まで
そして最終章では・・・と
それなりには楽しめました
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白河三兎さんの私を知らないでと雰囲気がよく似た本です。特にヒロインのセミとキヨコは大人びていてミステリアスなところが似ているし、地味な主人公の切なさや罪悪感の残るところも似ていて、私は私を知らないでが大好きなのでこの本も気に入りました。ミステリーの要素はあまり濃くなく、ミステリーと言うよりは寧ろ青春小説です。好きな人は好きな本だと思います。
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特に高いスペックを持ってるわけでもない主人公がモテるという展開は村上春樹っぽい。しかし、性描写が全くなかったので村上春樹より爽やかな印象。
序盤から話が暗く、バットエンドを予想させる展開が続いていた。その為、最後に大人になった主人公が謎を解き、2人が迎える結末に感動した。
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ミステリーに分類していいものかどうか、悩みながらの分類。「不思議な感じ」にまとわれながら読み進む記録とリアルファンタジーという感じです。
確かこれがデビュー作だったと思います。
これも比較的若い登場人物の話なのですが、そんなことを感じさせないのは、登場人物が大人びているせいなのか。しかし、大人びた考え方、物言いであっても、リアルに年齢はこの年齢でなくてはいけなかったんだろうなと、読めば納得出来ると思います。
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13年前の夏休み最終日,僕は「裏山」でロープを首に巻いた少女を見つける.心に傷を負う青年と,不思議な少女が織りなす驚きの7日間.第42回メフィスト賞受賞作.「切なささの魔術師」というフレーズに飛びつき,買ってみた.とても面白かった.そして,あぁいう結末,好きだな.
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裏山で自殺しようとしている少女“セミ”と出逢ってしまった少年“イルカ”。
少年が、美しく闇を持った少女に恋をした7日間の記憶を30歳となり父親となる“元イルカ”が、たどり当時の気持ちに決着をつけようとする。
プールの底から、見上げた景色を描こうとした感じは、その揺らぐ少年少女達から伝わりました。
子供の頃の思い出は、プールの底から見上げたような記憶なんだろうと思った。
由利は、どうなっちゃったかは、気になるところ。
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中盤までは青春のほろ苦さを思い出しつつ面白く読めたんだけど終盤の失速感が残念だった。
由利が結構いいキャラだったんだけどセミとイルカの物語を描きたかったのなら由利を出す必要はあったのかな?
デビュー作だから色々欲張りすぎちゃったのかなって気がした。
特に最後の終章が説明的でご都合主義過ぎたかなぁ。
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たった一週間の美しくも儚いイルカとセミの物語、あの頃に戻れる幻想的なミステリー #プールの底に眠る
■レビュー
全編通して綺麗で儚い世界観で、それでいて悲哀あふれる作品です。
文章の芸術性が高く、純文学のソレを思わせる書きぶりで心にしみるセリフも多い。
ただ結局どこに着地するのかもわからず、テーマである愛情についても、軽いのか重いのか良く分からないという不思議ワールドを体験できます。
なにより登場人物たちのやりとりが素晴らしい。
現実的な出来事や会話は全くなく、まるでおとぎ話のように夢心地。そして辛い思いを水の底でじっと息をひそめるような彼らですが、お互いを思いやる気持ちは、じっくりと読者に伝わってくるんです。
ミステリーとしても、これまた他の作品には存在しない感触を味合わせてくれます。
緻密な推理を積み重ねてロジカルに解き明かす作品ではなく、エンタメ感で引き付けるわけでもない。ただじわじわ出される事実に読む手が止まらなくなってくる。
たぶん初めて読むときは、変に真相を追うよりも純粋に物語を楽しむのがよさそうでした。
自身のいつかの青春時代を思い出すような、幻想的で美しい作品でした。
■推しポイント
小学生の頃に、友人を傷つけてしまったことがあります。
私にとってはたわいもないことだったのですが、ひょっとすると友人は今でも恨んでいるかもしれません。なんとなくずっと罪の意識が消えず、時に思い出してしまうことがあるんです。
人間は知識や経験が浅いと、失敗したり挫折したりします。しかしその間違いがあってこそ、今の自分であり、二度と同じことをしない教訓になっていく。
失敗も成功も、すべて現実なんです。
しかしそれが生きるということであり、明日からも胸をはって進む理由なんですよね。
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登場人物たちの抱えているものがちょっと重たくて、なかなか共感するところまで至らなかった。
これまで白川三兎の作品は短編2作と長編は本作含めて2作しか読んでいないが、暗い背景を抱えている登場人物が多い。
それでも最後には希望を見せてくれる展開が多いので、素直に爽やかな青春小説とかも読んでみたいのだが、どうだろう。
本作はメフィスト賞を受賞したデビュー作(文庫はその改稿版)だが、いつもの構成のうまさは当初からあったようで、個々のエピソードから小さな小物に至るまで、ほかの事象とかかわりあっている。
登場人物のキャラクターも、「あの事件が彼を形作った」みたいな簡単な話ではなくて、「あの事件でこうなって、それがこう影響して……」という複雑な連なりを見せる。
そのおかげでストーリーもやや複雑になっているが、その展開にも結末にも不満はない。
一つだけ希望を述べさせてもらえば、由利の現在が気になる。
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青春、恋愛、って感じですかね。
(ミー的にはミステリでは無いナリ)
現実感アリアリな生活を送っている大人が読むと、たぶん主人公たちの"若い"感じとか、主人公の何故かモテてる所とか、あまり"しっくり"来ないと思うナリ。
最後の方の展開、流れは、ミーにはチョット理解出来にくかったナリ。
他の方の感想などを読んで、"そうか"と思ったナリ。
ミステリでは無いかもしれませんが、ミステリを書く作家さんらしい、チョイ謎や伏線やらが少しあるので、ふんわり読んでると、意外とわかりにくいかも。。
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洒脱な文章と透明な雰囲気の魅力は処女作から変わらず。が、全体が多量の小技でできているというか、クライマックスが細々とわかりづらく、印象が薄いうらみも。
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第42回メフィスト賞受賞作。
ミステリーなのか青春なのか恋愛なのか、分類しきれないところがメフィスト賞らしいな。メフィスト賞は当たりが多くて好き。
白川三兎は二冊目。「私を知らないで」が良かったので、デビュー作である本作を読んでみたけれど、何となく既視感が…。温かい気持ちになれるラストシーンは良いなと思った。
辻村深月のような構成で、辻村深月の登場人物より厨二秒っぽい感じの登場人物で、残酷さを排除して軽くした感じ。ライトノベルっぽい。
*以下引用*
*人間を深く愛せる者は、自分にも他人にも非情になることができるんだよ。それは仕事でも実生活においても、一番大事なことなのだ。 (p304)
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冒頭の一文で総毛立つ。
わたしも眠れない夜は「イルカ」になり、蕩々と泳ぐのだから。心を覗かれたようで少し焦る。
なんとも言えない言葉の選び方、使い方。若気の痛々しさが刺々しくも愛おしい。
特別なことは何もないけど、その瞬間は二度と手に入れられない「特別」なことなんだ。
Posted by ブクログ
もしこれを読んだのが学生時代だったなら、
もっと共感できるものがあったかもしれませんね…
雰囲気は辻村深月さんに似ていますが、もう少し救いのある感じ。
セミとイルカとお互いを呼び合う、ある少年と少女の物語。
年齢の割には二人とも妙に達観していて、そのアンバランスさが好き。
ただあまりにも淡々とした調子で進むうえに、
登場人物二人に感情移入がしづらいため、少し退屈してしまいました…
でも【終章】は好きだったな。
Posted by ブクログ
良くも悪くも「またか」といった感じ。一見平凡のようで悲しい過去を持つ少年と訳あり美少女のボーイミーツガール。
歳の割りにはやけに大人びている性格(少し中二病くさい)の登場人物達。「私を知らないで」と大まかな流れが同じでオチが読めてしまう。こっちは向こうに比べると読んでいて「?」が浮かぶ箇所が多かった。もう少し分厚くなってもいいから細かく書いてほしい。