白河三兎のレビュー一覧
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久々に当たりの青春小説だった。
読み終わった時、何が良かったんだろうと思い返すと、田嶋春本人は主役ではないという点にあるのでは。
空気読めずに思ったことをストレートに物申すタジーこと田嶋春はサークルどころか大学の厄介者だ。
その代わり、裏がなく嘘をつかず、人嫌いをしない。
本人は至って真面目に突っ走っているのだ。
話の中心にいるようでいて、実は話の外側から内側をかき回している立ち回りだ。
タジーうぜぇと思っている一人称の俺・ワタシたちが隠しているダサい善意を引き出し、いつの間にかタジーを見直している。
隣にいると鬱陶しいことこの上ないが、思ったことをストレートにぶつけてくれたほうが、何考えてるか分かんないよりもずっといい。 -
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ネタバレ期待を裏切らない白河小説。
自殺ほう助サイト「小人の巣」
ポリシーは,どうせ自殺するなら無駄死にせず、病魔と闘いつつ生きたいと思ってる人に臓器提供をしなさい。ドナーカードを作ってきたら安楽死の薬をあげます、ってもの。このサイトの狙いとは?
…ってこんな舞台で短編5編も、それもそれぞれに個性的なきっちりオチつけた物語をかけるなぁ、と感心した。特に「アリとキリギリス」の自殺したい理由がかなり変化球でオモロい。この1冊の中で一番気に入った短編。
オーラスの仕掛けにはびっくり。Zガンダム戦闘シーンのごとき哲学的言い争いの果てに見えた地平は生者のものか死者のものか…。作者のことだから、なんか仕掛けてるだろうとは思ったが、伏線を同じ正方形に畳むにしてもなんとも言えない畳み方(笑 -
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「ぶっちゃけ、総理大臣を暗殺しようと思っているんだけど」
『世間は子供や老人に『なのに』を付けて持て囃したがる。成人に『なのに』を付ける時は大抵悪い意味だ。』
『少なくとも私には命の重さがわからない。私は父の死に間近で触れたけれど、『こんな簡単に死んじゃうんだ。なんか軽いな』としか感じられなかった。』
「俺が悪かったよ。体重計に乗るから。だからボタンを留めろ」
「私をがっかりさせないで。声高に平等を訴えたものだから、柏木くんは男女の身体的特徴の差異など気にしない懐の深い人なんだな、と感服したばかりだった」
「どんだけ自分の体に自信があるか知らねーけど、男でも女でも自分から脱ぎたがる奴なんて、自惚れ屋のド変態なんだからな。このナルシストがっ!」
「正確には『ナルシシスト』です。言葉を知らないのなら、口を閉じていなさい。黙っていれば、少しは利口に見えるわ」
「この世界は金がなければスタートラインに立つことすらできない。そのことを知らないのなら、おまえは恵まれているんだよ。親と神に感謝しな」
「私が預金している銀行のATMは音声であれこれ指示してくれる親切なATMです。ATMは嘘をつきませんし、言葉遣いも丁寧です。柏木くんは見習うべきところがあるのでは?」
『大人が『色々あって』を言い訳に使う時は、大抵『何もない』時だ。』
「領土問題のことはさっぱりだけど、日本は無視していればいいんじゃないか」
「勝手に占拠されても黙っているんですか? 横暴な振る舞いを見て見ぬふりしていたら、相手は付け上がるだけですよ」
「でもな、他国に横暴なことをする国は、自国にはもっと横暴なことをするもんだ。いつかは国民が怒りだして内側から崩壊する。だから日本は自滅するのを待っていればいい」
「先生は隣の国で行われている反日教育を知らないんですか? 国民の怒りの矛先を日本へ向けさせるための思想教育です。領土問題もその一環です。反日教育が存続する限り自滅することは有り得ません」
「お隣さんでは、学校に通えないために読み書きができない子供がごまんといる。そういう子たちにとって反日教育なんて夢のまた夢だ。純粋に自国の政府を憎む。国防にばっか金を注ぎ込んで、教育と福祉を疎かにしたツケはいつの日か払うことになる。すでに自滅に向かっているんだよ」
『一見、「誰が得するんだよ」と言いたくなるものでも、誰かはこっそり得をしているもので、哀れなことに「誰得?」と騒ぐ人たちは蚊帳の外なのだ。』
『時に、想像力の欠けた人間が勇敢に見えることがある。チーターは勇者なのか、愚者なのか判断つかない。』
『自分の心に浸透し易い物語を作り上げていることなど考えもしない。滑稽だ。でも私にも覚えがある。愛する人を失った時、人はその欠落を癒すために物語を描く。』
「私は頭脳明晰でもあるし、スポーツ万能で、乳首の色と形も申し分ない。欠点のない私がいちいち自分の力をひけらかす必要はないんです」
『でも不平不満を言ってもなんにもならない。自分が手にしているものが一つでもあるうちは、それに感謝していたい。神様を恨むのは、死ぬ間際でいい」
『人の気持ちはその人そのものだ。他人にはわからない。相手のことが理解できた、というのは思い込みだ。思い上がりだ。相手を理解したいと自分が思っているから、そう感じたいのだ。』
「先ずは自分の弱さを認めること。そうすれば景色が違って見える」
『人に優しさを感じさせないよう配慮して、周囲にも当人にも気付かれずにそっと優しくできる三重子が眩しかった。』
「そう。不可能じゃないよ ー 知らないことを知るのは、自分を変えることへ繋がる」
「世の中を変える初めの一歩は、自分を変えることからってこと?」
「そうよ」 -
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ネタバレさすが白川三兎、デビュー作でこのレベルの小説書くかぁ、スゲーわ。メフィスト賞受賞もなるほどなぁと思わせる。
小道具描写なんかが荒削りだったり、文庫化に伴う再編集後も時系列が分かりにくい部分があったりするが、その瑕疵を帳消しにして余りある、登場人物たちの心理描写・行動描写が素晴らしい。
ここんとこ「青春時代の真ん中は道に迷っているばかり」的な小説に出会うことが多いが、この作品もそのテーマの秀作。エエ歳こいてから厨二病っぽい小説を読んで楽しむってのは、あまり品の良くない趣味かも知れないが…オモロい小説が揃ってるテーマやもん、しゃーない。
最後のハッピーエンドは手本通りとも思えるし、出来すぎとも思えるし、エーっそっち選んだの?とも思えるし、解釈が色々できてそれも楽しい。ドラマ化したら「原作とは違うエンディングを用意しました」をしやすいヤツやな。 -
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『男と女の間にも友情はある。世界中の人間が手と手を取り合う今の時代に、男女が性別の垣根を越えて仲良くなるのは、当たり前のことだ。』
「宇田川、俺はおまえに賭けているわけじゃない。他のキッカーもそうだ。失敗してもいい。PKを任されるのはみんなから失敗することを許された限られた選手なんだ。信頼の証だ。チームから選ばれたおまえたちが失敗したのなら、他の誰が蹴っても失敗する。誰も責めたりはしない。」
「嘘をつく時のコツは、真実を半分盛り込んで話す。そうすれば真実味が増すし、罪悪感も表に出にくい」
『プレッシャーが重く圧し掛かっている。目の前にあるボールが鉛のような重さに思える。だけど、悪い気はしない。むしろ心地いい。この重さはみんなの信頼の証だから。』
「運が悪かった、とは思うな。運のせいにしたら本当の負け犬だ。人のせいにもするな。自分の力が足りなかった。相手の気持ちが上回っていた。そう思えば、前を向ける。これからも戦っていける。」 -
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「ねえ、これが何かの罰だとは考えられない?」
「あなたは何か罪を犯しているんですか?」
「生きるということは罪を作り続けることよ。違う?」
「私たちにあるのは後悔だけね。人生を限りないものと考えていて、ずるずると先延ばしにしていたことがいっぱいあった」
『僕たちは不安定な世界に住む不完全な生き物なのだ。』
『一人でも生きていける逞しさを姉貴から教わった。自分の頭で考えろ。人に依存するな。信念を持て。偏見に屈するな。』
「そのうち、忘れますよ」
「そんな中途半端な恋愛をするような子に育てた覚えはないんだけど」
「三歳の子供にどんな教育していたんですか?」
「恋愛に年齢は関係ないって一歳の頃から躾けているのよ」
「英才教育ですね」
「現世かあの世、どっちかはわからないけど必ず会おうね。もし来世で会うことになったら、私ともセックスしてね。バイバイ」
「楽しみに待っています。さようなら」
「今、こうしている間にも砂漠が広がっているのをシロは感じることができる?」
「できない」
「それと同じこと。見えた時には手遅れなのよ」
「僕はどうすればいいんだ?」
「私としっかり手を繋いでいれば平気よ」
「不安を煽るだけ煽って、役に立たない高価な物を売り付ける悪徳商法みたいだ」
「いいじゃない。これはタダなんだから。さあ、ご飯を食べに行こう」 -
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『僕は一人じゃない。今までも、これからも。』
『小学二年生の時に僕は鉄棒に前歯をぶつけて折ったことがある。もちろん歯の方をだ。』
「『ムーミン谷』のムーミンだって泳ぐ時は水着を着るのよ。普段は素っ裸なのに。大切なのは雰囲気よ」
「さっき、上手く笑えていたかな? 辛い時に笑えるような強い人間になりたいんだ、私」
「女の子は生理の周期によって歩くスピードが変わるから、男は女のペースに合わせなくちゃいけない。これは自然の摂理なの。」
「私はもうずっと前に死んでいるの。みんなには生きているように見えるけど、それは私が生きていた時に放っていた光を見ているだけ。私はもう終わっているの」
「わかってる。でも私は私でいたい。誰とも繋がっていたくない」
「なるほどね。パブロフ博士が犬に餌をあげる時に、ベルを鳴らしたんだ ー でもさ、思うんだけど、犬がベルの音に反応して、よだれを出しちゃうんじゃなくて、博士がベルの音を聞かないと、餌をあげた気にならなくなっちゃったんじゃない?」
「そうなの。愛って言葉を使えば、何でも許されるみたいにね。愛で地球を救おう。愛しているからセックスしよう。愛の鞭だと言って殴ったり。みんなで愛って言葉で真実を誤魔化そうとしているのよ」
「魔法の言葉よ。愛って言葉を唱えれば、人間のエゴは消えちゃうの。募金は集め易くなるし、女の子の股も開き易くなる」
「それはあなたが一番よく知っているはず。あなたが私の一番近くにいたから」 -
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『百の言葉を並べるよりは、素直に「別れたくない。おまえのことが好きなんだ!」と大声で訴える方が効果的だ。でも多くの男どもはそれがわかっていながら、哀れな失言を選ぶ。』
「本当のことを言っていいんだ。子供の特権だ。誰も怒ったりはしない。正直に言ったことで誰かを哀しませることになったとしても、それは正しいことなんだから」
『加奈子は自分に嘘をつけない性分だ。嘘は自分を貶め、心を曇らせる。心に一点の曇りもなければ、誰に対しても堂々としていられる。』
『何が恥ずかしいのだろう? 加奈子は懸命に生きていた。生き抜こうとしていた。子供のために必死になって未来への道を切り開こうとしていたのだ。
俺はその時の加奈子のことを想像すると、愛おしさと尊敬の念を抱かずにはいられない。愛らしく誇らしい。そんな加奈子をみっともないと笑う者がいたら、片っ端からぶん殴ってやる。』
『いつだってマイペース。加奈子はルールに縛られない大人だ。ルールは自分で作る。』
『姑息な手を使いやがる。でもそれでいい。なりふり構わずに勝とうとする意志は大事だ。それがいつか勝利へと繋がる。悟にもそう教え込んだ。』
「軽くても重くても命は一つしかない。自分の命を大事にして」
『「ずっと前に読んだ雑誌なんだけど、『彼氏と喧嘩して気まずい空気になった時は、おっぱいを触らせればすぐに仲直りできる』って載っていたの」
あながち間違いではない。』
『駄目なわけないじゃないか。子供の一途な願いを叶えるのは大人の役目だ。』
『自転車の動力は頑張りだ。力いっぱい漕げば、漕いだ分がちゃんと報われる。自転車は世の中で最も正直な乗り物なのだ。』
「自分と他人の枠を取っ払えるようになったんだ。みんな一緒だ。特別な命なんてない。どれも世界に一つしかない大事な命だ」
「加奈子さんよりも早く出会えていれば、違った人生になっていたかもね。でも有田さんとこうして暮らせたことに感謝している。ありがとう」 -
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今までに読んだことのないタイプのストーリーだった。
離婚したばかりの28歳の男の家に、いつの間にか透明人間の女が入り込んでいる。存在は感じるが見えない。透明になったり、物を透明にすることのできる人間はとある組織によってコントロール下に置かれることになっているが、彼女はそこから逃げ出してきたのだという。
ツボは、私たちが見えないと思っているから見えなくて、見えると思うと脳が何かを見せようとするってところかな。小説の設定としてだけではなく、実際に脳が認識していないものは目で見ていても見えないということを、私は知っている。いや、透明人間は見たことないけどね。 -
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ネタバレ面白かった!
学園ミステリーサスペンスミステリーはやっぱりこれぐらい学生時代のみんなの性格の悪さとか息のしづらさとかそういう空気感をきれいに出さないと面白くないんだなぁと思った。
この本ではそれがすごい伝わった。
各章から出てくる登場人物たちもこういう子、中高にいたよねって言う子がたくさん出てきてその共感のために読んでるまであるのかなって思う。
ミステリーとしても面白かった。
特に最後らへん真相がわかるターンになってくると先生ってもしかして女装が趣味なのかな、だからほんとに女性に興味がなかったのに罪を押し付けられて自殺をさせられたのかなって薄く察するけど最後まで名言をされずに終わっていくのが後味を残してて私はいいなと思った。
みきちゃんとたーじがすごい個性的でこの2人が話のメインを仕切っていくのかなと思ったら、途中でみきちゃんが消えるし、タージもメイン人物であるけど、最後の話を締めくくるのは、クラスの2軍の女の子って言うところが期待を上回ってくる感じがしてよかったし、
カップルも学生時代の恋愛でも本当の恋をしてたんだなと思うし、シブもいいやつだなぁって思う。なんか全体的によかった。