白河三兎のレビュー一覧
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ネタバレさすが白川三兎、デビュー作でこのレベルの小説書くかぁ、スゲーわ。メフィスト賞受賞もなるほどなぁと思わせる。
小道具描写なんかが荒削りだったり、文庫化に伴う再編集後も時系列が分かりにくい部分があったりするが、その瑕疵を帳消しにして余りある、登場人物たちの心理描写・行動描写が素晴らしい。
ここんとこ「青春時代の真ん中は道に迷っているばかり」的な小説に出会うことが多いが、この作品もそのテーマの秀作。エエ歳こいてから厨二病っぽい小説を読んで楽しむってのは、あまり品の良くない趣味かも知れないが…オモロい小説が揃ってるテーマやもん、しゃーない。
最後のハッピーエンドは手本通りとも思えるし、出来すぎと -
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『男と女の間にも友情はある。世界中の人間が手と手を取り合う今の時代に、男女が性別の垣根を越えて仲良くなるのは、当たり前のことだ。』
「宇田川、俺はおまえに賭けているわけじゃない。他のキッカーもそうだ。失敗してもいい。PKを任されるのはみんなから失敗することを許された限られた選手なんだ。信頼の証だ。チームから選ばれたおまえたちが失敗したのなら、他の誰が蹴っても失敗する。誰も責めたりはしない。」
「嘘をつく時のコツは、真実を半分盛り込んで話す。そうすれば真実味が増すし、罪悪感も表に出にくい」
『プレッシャーが重く圧し掛かっている。目の前にあるボールが鉛のような重さに思える。だけど、悪い気はし -
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「ねえ、これが何かの罰だとは考えられない?」
「あなたは何か罪を犯しているんですか?」
「生きるということは罪を作り続けることよ。違う?」
「私たちにあるのは後悔だけね。人生を限りないものと考えていて、ずるずると先延ばしにしていたことがいっぱいあった」
『僕たちは不安定な世界に住む不完全な生き物なのだ。』
『一人でも生きていける逞しさを姉貴から教わった。自分の頭で考えろ。人に依存するな。信念を持て。偏見に屈するな。』
「そのうち、忘れますよ」
「そんな中途半端な恋愛をするような子に育てた覚えはないんだけど」
「三歳の子供にどんな教育していたんですか?」
「恋愛に年齢は関係ないって一歳の -
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『僕は一人じゃない。今までも、これからも。』
『小学二年生の時に僕は鉄棒に前歯をぶつけて折ったことがある。もちろん歯の方をだ。』
「『ムーミン谷』のムーミンだって泳ぐ時は水着を着るのよ。普段は素っ裸なのに。大切なのは雰囲気よ」
「さっき、上手く笑えていたかな? 辛い時に笑えるような強い人間になりたいんだ、私」
「女の子は生理の周期によって歩くスピードが変わるから、男は女のペースに合わせなくちゃいけない。これは自然の摂理なの。」
「私はもうずっと前に死んでいるの。みんなには生きているように見えるけど、それは私が生きていた時に放っていた光を見ているだけ。私はもう終わっているの」
「わか -
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『百の言葉を並べるよりは、素直に「別れたくない。おまえのことが好きなんだ!」と大声で訴える方が効果的だ。でも多くの男どもはそれがわかっていながら、哀れな失言を選ぶ。』
「本当のことを言っていいんだ。子供の特権だ。誰も怒ったりはしない。正直に言ったことで誰かを哀しませることになったとしても、それは正しいことなんだから」
『加奈子は自分に嘘をつけない性分だ。嘘は自分を貶め、心を曇らせる。心に一点の曇りもなければ、誰に対しても堂々としていられる。』
『何が恥ずかしいのだろう? 加奈子は懸命に生きていた。生き抜こうとしていた。子供のために必死になって未来への道を切り開こうとしていたのだ。
俺はそ -
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ネタバレ「キヨコ」はタフで、でもそのタフは痛みを感じないんじゃなくて、痛みに耐えるタフさなんだと思う。
そのタフさで弱くて嫌いなコンプレックスだらけの醜い「進藤ひかり」を「キヨコ」は隠していたと思うと胸が痛い。
無駄に真っ直ぐな高野とどこか淡白で薄情なシンペー。
キヨコを助けようとする二人は全然違うけど両方とも間違ってなんかないと思う。
個人的に印象的だったのは
「誰かの屍の上に俺らの世界は成り立っている。だけど、謝るな。償うな。死者の恩恵を受け入れて無駄にするな。それが嫌ならとっとと死ね。(要約)」
とシンペーがある事件がきっかけで引きこもりになった高野に言いはなった場面。
みんなが受け入れたく -
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女子高生の青春ゲートボール物語
この要約した一文から受ける印象とは読後感がまったく異なるけどね
とりあえず、公式のあらすじ
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女子高生(JK)×ゲートボール(GB)! 彼女と出会うまで、僕は、青春を知らなかった――。
皆が振り返る清楚系美人の沙都美。
その中身はなんと口を開けばゲートボールのことしか話さないスポ根少女だった――。
妙なきっかけから助っ人を引き受けた僕は、競技の魅力と、彼女のひたむきな思いに惹き込まれていく。
でも、僕は未だ知らなかった、彼女の情熱の理由も、その胸に抱えた秘密も。
ゴールへ向かう一条(ひとすじ)の光の軌跡に、青春のきらめきの