白河三兎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
離婚が成立し、一人やけ酒をあおる男の前に
突如として現れた透明人間の女。
声は聞こえるし、触れると感触もある。
しかし目には見えず
おまけに何でも一瞬で消してしまう(透明にしてしまう)特殊な能力を持っている。
いい加減だが正直者の男は
彼女が大きな組合に追われていると知り、
寂しさを紛らわすため
謎の女『タマ』との
奇妙な同棲生活が始めることにするが…。
青春ミステリーの傑作『私を知らないで』でも思ったけど、
まず感じたのは
白河さん、ホンマ文章上手いわ~!
SFチックで、
サスペンスフルな設定を
歌うようにテンポ良く綴る筆致に
ページをめくる指が止まらず
ドンドン引き込まれていく( -
Posted by ブクログ
冒頭───
入学式が終わって体育館を出ると、部活動の勧誘が待ち構えていた。それぞれのコスチュームに身を包み、キャッチセールス顔負けの無駄に爽やかな声で新入生に呼びかける。
体育館から校門まで桜並木が続いている。入学式に合わせたかのように見事に満開になっているのだが、桃色の花弁が散る中でカラフルなコスプレもどきをした人たちが騒いでいるのは、あまりにも見苦しい。桜への冒涜に等しい。
新入生の双子の姉小松茂子は、妹三重子を盲目の恋から立ち直すために高校内に政治部を創設する。
メンバーは、いつでも沈着冷静な茂子。
恋に恋してしまった妹の三重子。
電波オタクのムセンこと田崎もも。
大富豪の息子、ボン -
Posted by ブクログ
中学生が主人公のサッカー小説。
といっても、技術的なことはそれほど細かくないので、サッカーをよく知らない人でも楽しめるだろう。
全国大会に出場するための予選。
前半2対0の劣勢から追いついて、勝負はPK戦へ。
そのPK戦に挑む、それぞれの選手のサッカーとの関わり、学校生活や友達、家族などへの思いを語りながら話は進む。
中学生の語りのせいか、テンポが小気味よく、すらすらと読める。
彼らの様々な心情にも共感できる部分がたくさんあり、なかなか興味深い。
ただ、最後がなあ------。
薄々は気付いていたものの、さすがにちょっと強引過ぎる。
過去の話だけに、深い掘り下げもないので、かなり無理矢理感 -
Posted by ブクログ
白河三兎は凄い。ぐいぐい進む展開に全身で惹き込まれてしまう。
実際にはあり得ない設定やシーンの連続なのだが、妙なリアリティがあり、バラバラのことと思っていたエピソードや人物がストーリーが進むに連れてどんどん結び付いて収斂していく。その思いがけなさに、ハッとして、ますます惹かれてしまう。相当緻密に構想を練って書かれたのだろう。
こんな白河三兎は、もっともっと注目されていいと思う。純文学というよりエンタメ小説という位置付けだから評価されないのだろうか。エンタメっぽい突拍子のなさもあるが、登場人物の語る言葉の中には、物事の本質を突くような哲学的な鋭い知見が含まれていて、人生とか世界とかを語らせても十