篠田真由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今回は重要なキャラ「蒼」の過去がわかります。
前作「灰色の砦」の3ヵ月後の設定で、
自分を責めるあまり、病んだ状態にあった京介が
復活するきっかけになった3年前の薬師寺一家惨殺事件。
温室で惨殺死体と一緒に発見された7歳の香澄。
現場の状況から犯人と疑われるが彼は言葉を失い、闇に囚われていた。
香澄を犯人と仮定した上で事件の取材をしたがる女ルポライター。
なついた香澄を母親のように見守り世話をする京介。
犯人や、他の登場人物についてはある程度想像つくんだけど
あんな事をした理由がわからなかった。
それは京介の口から語られる事になるのだけど、泣きます。
著者あとがきで「読む順番が変わると感想や楽しみ方が
変化するという現象が起こっている」とある。
だから、順番に読むことをお勧めします。
深春とふざけあっている明るい蒼や
必死に乗り越えようとしている蒼を知らなければ
感情的なものは半減するし、
謎が解ける瞬間の感動は、味わえないと思います。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第4作。
いつもなら蒼君目線で語られるけど、今回の語り手は深春です。
1995年の大晦日。
京介の涙を見た事があるという深春は、蒼にせがまれ記憶の扉を開く。
19歳だった7年前の12月。
深春が慌しく引っ越した「輝額荘(きがくそう)」で
初めて京介と出会うのだが、クセのある住人はいるものの、
居心地は悪くはなかった。
しかし、住人の1人であるカツが裏庭で変死。
その時から輝額荘は居心地の良い場所ではなくなった。
事件直後に輝額荘に入ってきた建築評論家の飯村。
今度はその秘書が、他殺死体で発見される。
そして意外な依頼人によって、探偵桜井京介が起動し、
相棒に選ばれたのは深春だった。
天才建築家フランク・ロイド・ライトの人生と
飯村の人生を重ね合わせるかのように誘導され
そして京介が紐解いた真実は悲劇的で
結末はあまりにも悲惨だった。
本当なら青春小説バリの内容ではあるけれど
結末があまりにも重過ぎて、ゲッソリ疲れてしまった。
京介の涙は謎として残るけど、後からわかりそうな気配。
それでも出会ったばかりの京介と深春のぎこちなさが
もの凄く新鮮で、「桜井」「栗山君」ってのがコソバユイ。
けれどお互いを細かく観察して理解し信用する過程がもの凄くいい!
前作「翡翠の城」に登場した悲運の建築家・下田菊太郎の話しが
今回も出てきたので、建築好きな人は繋げて読むと面白いかもしれない。
ライトの人生ってのも、興味深い。
今まで読んだ4冊の中では、これが一番好きかも・・・
でも人気の巻は、次の「原罪の庭」らしい・・・
次を読まなくちゃ。 -
Posted by ブクログ
『建築探偵 桜井京介の事件簿』第5作目!
ガラスの柩を思わせる巨大な温室の中で惨殺された病院長一家。
その血塗られた密室に置かれたチェストで、天使のようにまどろむ7歳の少年。ただ1人生き残った彼は、しかし言葉を失っていた。
闇に閉ざされた魂を救うため、最大の謎「薬師寺家事件」に挑む桜井京介。
建築探偵シリーズ第1部の掉尾を飾る傑作。
<京介と蒼の出会いの物語>
人は人によって傷付けられるけど、人は人にしか救われない、癒されない。
人と人との絆の大切さ。それがすごく胸にしみました。
全てを「守る」のは難しいけど、自分の大切な人は「絶対に守る」。
その姿は幼いながらも、かっこよく、勇ましく思えました。
人は色んなことを抱えながら、それを己の糧としながら、時には捨てて、真っ直ぐに生きていくものなんだと改めて思いました。
暗闇に差し込んだ一筋の光。
ラストはその光に包まれます。(泣きました…)
蒼の過去が明らかにされます。
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Posted by ブクログ
これまで読んできた篠田先生の「桜井京介」シリーズの中では異色で、私にとって今の所一番の作品になりました。
とにかく、印象的で心掴まれる言葉が散りばめられていて最後までどんな結末が待っているのか分からなかった。
文字通り、本に吸い込まれました。
★「僕は、自分と同じものを他人に要求したことはありません」
「身勝手に一方的に思い込んで他人に期待して、相手がそれから外れたといって裏切られたと騒ぐような、甘ったれた真似だけはしたくないんです。そんな醜態を晒すくらいなら、傲慢だと非難される方がはるかにましです」
★あまりにも無力なもの、無垢のもの、無防備な存在はそれ自体で人を引き付け誘惑するのだ。
自分の全てを投げ打っても守ってやりたいという思いと、同時に奪いたい、傷つけたい、蹂躙したいという暗い欲望で。
★確かに人間というものは、時代によって変化しながらも、奥底の部分では安易に変われぬものだ、と思う。
そうでなくてなぜ古代奴隷制社会に機嫌を持つ一つの宗教が、二千年後の現在も地球人類の三分の一を信徒に持ち得るだろう。
キリスト教が現代まで命脈を保っている事も、人の心が良くも悪しくも変わらないこと、変われないことの証としか思えないのだ。
きっと、ただの推理小説じゃないことでずっとずっと引き込まれる度数(なんじゃそりゃ)が私の中でググッと高いのではないかな〜って思う。
そのほかにも、この「原罪の庭」には、自閉症と、自閉状態の違い。そういう深い考えも沢山詰まっている。
是非ッ是非多くの人に読んでもらいたいなって。そう思います。