篠田真由美のレビュー一覧
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~10月2日
4年前、父親の反対を押し切ってヴェトナムに嫁いだ四条彰子が、京介と深春に助けを求めてきた。一家の長老、レ老人との軋轢がその理由だ。なぜか日本人を嫌うレ老人。その原因は90年前の事件にあるらしい。当時、レ家に寄宿していた日本人青年が謎の死を遂げ、直後に令嬢が出奔。令嬢の弟で8歳だった少年は、愛する二人を同時に失い、心に深い傷を負ったのだ。歴史の波に翻弄されながら、レ家は命脈を保ってきたが、レ老人の心から悲劇の記憶が離れることはなかった。京介らはハノイに飛び、90年前の事件を解き明かそうとするが、その目前で再び事件が起きた。 建築探偵桜井京介の事件簿、第3部開幕! -
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建築探偵桜井京介シリーズ(長編の)7作目です。
舞台となった建築はルネッサンス期のヴィラ、
ラグーナに浮かぶ小島の1つに建つ15世紀の建築です。
今回京介と神代教授はヴェネツィアにやって来ます。
ヴェネツィアの小島を購入したい企業からの依頼ですが、
鑑定の為所有者に会ってみればまったく知らないと言われます。
すわトラブルだという矢先、
蒼や深春や神代教授の隠し子(笑)まで乱入してきます。
さらにトラブルを持ち込む輩まで出てきて、
どんどんややこしくなっていく内にとうとう殺人事件まで。
最初から怪しい人がいたので、
トリックはともかく犯人については意外性は無かったです。
それよりも関係者の心情 -
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建築探偵桜井京介シリーズの6作目、第二部開始です。
今回舞台となった建築は伊豆のオテル・エルミタージュ。
東京都庭園美術館を模したアール・デコスタイルの邸宅建築です。
もしくは隣接するオーナーの私邸である純和風建築になるのかな。
隠れ家的な会員制高級ホテルなんて泊まってみたいです。
もちろん事件は無しでですが。
ミステリーの部分では半分位分かったと思いますが、
残り半分は予想外という感じでした。
最初に3通の手紙が出てくるんですが、
途中まで思い違いをしていてミスリーディングされてしまいました。
トリックや動機で一部納得しきれない部分が無きにしも非ずですが、
やはりスピード感のある展開に一気 -
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建築探偵桜井京介シリーズの5作目です。
今回はいろいろ謎だった蒼の話。
桜井京介と蒼が出会った事件です。
建築探偵シリーズということですから、
今度の建築は・・・敢えて言うなら温室でしょうか。
事件の舞台となった薬師寺家は大邸宅のようですが、
モチーフとして「エデンの園」が何度もでてきますし、
もっと言うなら温室を含む薬師寺家の敷地(庭)ですね。
禁断の園、禁忌の園という感じでしょうか。
凄惨な殺人現場にもの言えぬ子供。
この小説がとりわけ珍しいという訳ではありませんが、
蒼の心情が明かされるとき胸にくるものがあります。
このシリーズはこれで第一部が終了だそうですが、
今のところ小説の雰囲気 -
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建築探偵桜井京介シリーズの4作目です。
このシリーズでは登場人物たちがちゃんと年を重ねるのですが、
今回は過去にさかのぼって京介と深春が出会ったときの事件です。
舞台は「輝額荘」、1988年当時でも既に古い学生アパートです。
今回の建築に関するうんちくは、
事件の舞台ではなくかの有名な建築家フランク・ロイド・ライトでした。
登場人物たちの事情と重ね合わせるように、
その生涯や作品について書かれています。
事件の舞台となった輝額荘もあるものにちなんで命名されてます。
輝額荘での生活は、風呂なし、トイレ・洗面・台所共用。
その他に茶の間や図書室、宴会用の広間もあって、
外出するときだけ自室の引 -
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建築探偵桜井京介シリーズの3作目です。
今回の舞台は「碧水閣」。
老舗ホテルの創業者が建てた館で一族の暗い歴史を象徴する存在。
洋風の壁に和風の屋根を載せた帝冠様式の建築です。
それにしても・・・。
創業者の娘を筆頭に生きている人間だけでも4世代、
過去の事件も絡むので創業者も入れれば5世代。
加えて妾腹の血族やら姻族やら「一族」というのに相応しいややこしさ。
巻頭の家系図を確かめてやっと頭に入りました。
一般人には馴染みの薄い旧家ならでは(?)のドロドロは、
ある意味昭和の匂い漂う推理小説という感じでした。
私個人のイメージですけど、こういう設定よくありませんか?
別に悪い意味ではなくて私 -
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建築探偵桜井京介シリーズの2作目です。
今回舞台になるのは「恒河館」、明治の別荘建築です。
ただし、オーナーの趣味でインド風味となってます。
事の発端として10年前のインドでの殺人事件があって、
オーナーの招きで当時の関係者が一同に集まって、さて・・・。
という話です。
これだけだとある種ミステリーの王道なんですが、
ミステリアスなオーナー狩野都が、
服装や料理や踊りといい、インド人の養子といい、
ふんだんにインド風味をばらまいてくれるのと、
10年前の事件当時の話の内容とから、
日本人には異質で猥雑なインドの宗教観やら生活やらがブレンドされて、
独特の雰囲気が出てました。
最初は、殺人事 -
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建築探偵桜井京介シリーズの1作目です。
以前からこのシリーズの存在は知っていたのですが、
建築探偵というタイトルから何となく敬遠してました。
でも予想に反して専門用語による長々としたウンチクも無く、
楽しく読むことができました。
タイトルから予想されるとおり、
事件の中心は「黎明荘」といういわく付きの建物です。
そして、みんな何かを抱えていて犯人たり得る。
後ろ暗い雰囲気と徐々に明らかになるそれぞれの事情。
明るいユーモアミステリーよりこちらの方が好みです。
京介の設定はなんだか少女漫画チックですが、
(詳しくは実際に読んで確かめてみてください。)
探偵役には癖があったほうが好みなのでこれ -
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今までは、ほとんどが蒼目線で語られていたので、京介がヤバいのはわかっていたものの
最小限に抑えられていた?
本作はほぼ京介目線だったので、危なっかしい事この上ない。
やはりヤバそうな時は蒼に尻を叩かれて深春が出動するんだけど
さすがに霊感少女と京介の対面には面食らいました。
おりしも皆既月食の時に読んでいたのでリアル感増大。
建築の蘊蓄はほとんどありませんでしたが
家というか昔の家制度から生まれた悲劇というのでしょうか・・・
本作の犯人が一番いけすかない奴だったけど
犯人と京介が似てる発言を京介が認めるところはショックだったわぁ
全然違うけど・・・
この事件の最中、蒼は「センティメンタル・ブル -
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今回は重要なキャラ「蒼」の過去がわかります。
前作「灰色の砦」の3ヵ月後の設定で、
自分を責めるあまり、病んだ状態にあった京介が
復活するきっかけになった3年前の薬師寺一家惨殺事件。
温室で惨殺死体と一緒に発見された7歳の香澄。
現場の状況から犯人と疑われるが彼は言葉を失い、闇に囚われていた。
香澄を犯人と仮定した上で事件の取材をしたがる女ルポライター。
なついた香澄を母親のように見守り世話をする京介。
犯人や、他の登場人物についてはある程度想像つくんだけど
あんな事をした理由がわからなかった。
それは京介の口から語られる事になるのだけど、泣きます。
著者あとがきで「読む順番が変わると感想 -
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シリーズ第4作。
いつもなら蒼君目線で語られるけど、今回の語り手は深春です。
1995年の大晦日。
京介の涙を見た事があるという深春は、蒼にせがまれ記憶の扉を開く。
19歳だった7年前の12月。
深春が慌しく引っ越した「輝額荘(きがくそう)」で
初めて京介と出会うのだが、クセのある住人はいるものの、
居心地は悪くはなかった。
しかし、住人の1人であるカツが裏庭で変死。
その時から輝額荘は居心地の良い場所ではなくなった。
事件直後に輝額荘に入ってきた建築評論家の飯村。
今度はその秘書が、他殺死体で発見される。
そして意外な依頼人によって、探偵桜井京介が起動し、
相棒に選ばれたのは深春だった。