中島義道のレビュー一覧
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実家にあり、タイトルに惹かれて読み始めた。幸せと一般にみなされることを含め、人生の全ては、どうせ死ぬという真実を直視したとき、絶望的に虚しくなる。ならばなぜ生きるのか。自殺するべきではないのか。
まず、周りの人が自分が自殺すると悲しむから、自殺は悪であるという考え方が示される。しかし、より筆者が強調するのは、哲学者として生きるということである。「なぜ生きるのか」という問いへの答えを出せないままに自殺することは、哲学における至上の命題を考える機会を放棄するということであり、知を愛する哲学者として言語道断である。また、答えが出なくとも、真実の虚しさを偽って世間で生活するよりも、せめて虚しい -
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学力が低くなるほど言葉への信頼を失っている。学歴差別を口にしてはいけない。(今は逆差別が起こっている気もするが)--勉強ができるが故に肩身がせまい思いをしなければならない、排除されぬよう気をつけなければならない低レベル環境。
大学教師は学生から言葉を奪っている。
ルール違反者に対して寛大で温情的な我が国民は他人の苦境を見て見ぬふりをする国民でもあり、個人と個人のコミュニケーションをほぼゼロに留めておく国民でもある。
日本人がルール違反するのはみんながそうしている時。ルールは個人が決めるでなく、集団的にひとりでに決まっていく。個人はよいルールをみずからの決断で選べない。
性急な近代化、無批 -
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・哲学者のエッセー集。本書は、カントの研究者が半生を振り返る前半、自身が主催する哲学塾を通じて若者と触れ合う中で出会った数々の「生きにくい」若者の特徴を紹介する後半で構成されている。
・正直、物凄く為になるとか面白いという訳ではなかった(なので★3つの評価にした)けれども、若者の生きにくさについて真摯に(これはいい意味でも悪い意味でもそうで、同じレベルで喧嘩しているという言い方もできるかもしれない)向き合う著者の姿勢に、やや大人気ないと思う反面、分かったようなことを言って誤魔化したりしない几帳面さを感じた。
・人間関係の悩みは一生続くものだし、誰しも直面する課題。人間関係が上手くいかない「生き -
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著者の怒りの経験などもコミカルに描かれていて所々笑ってしまう箇所も多かった。
口論になった際、相手に無条件の辛抱強さを求めることまではできないのならばこちらが受け止めればいい。相手の語る内容を承認しなくてもいいけれど、相手が「語ること」それ自体を承認しなければならない。いかに相手の主張が一方的で、偏見に満ちており、傲慢至極であろうと、語ることそのものの対等の権利を尊重すべきである。
自分がいくら正しくて相手が間違ってると思っていても、別の人から見ればその逆、あるいは両方とも間違ってる、両方とも正しいということもあるわけだし、「語ること自体の対等の権利を尊重すべき」という意見には、新しい視点だ -
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ニーチェの批判した「蓄群」を、著者が批判し続ける鈍感な「善人」に重ねあわせるとともに、「蓄群」批判をくり返すニーチェその人の心性を、自尊心を肥大させた現代の若者たちのそれと二重写しにしています。
いわばニーチェの人と思想を、現代の状況に引き寄せているわけで、そうした解釈がどの程度妥当なのか、わたくし自身には判断がつきませんが、ニーチェの批判する「善人」について具体的なイメージをもつことができるようになったのは収穫でした。
また、執拗なまでに「蓄群」批判をつづけるニーチェそのひとの「弱さ」を言い当てているところには、著者特有の鋭さが発揮されています。いつものことながら、著者が自分自身と読者の