中島義道のレビュー一覧
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ネタバレ哲学の大きな特徴は、時間や自我、物体、因果律などについて徹底的な懐疑を遂行することであり、この点で、これらに拘泥せずに前提とした上で論じられる思想や文学、芸術、人生論、宗教とは異なっているのである(なお、哲学でないことがこれらの価値を下げることはない)。また、物理学、社会学、心理学などの諸科学では、私固有の意味付けや印象は排除され、客観性が求められるが、哲学は、自分固有の人生に対する実感を忠実に、しかもあたかもそこに普遍性が成り立ちうるかのように言語化する営みである点で異なっている。ゆえに、科学には客観的な答えはあるが、哲学は、人類の歴史が終わるまで終わりはなく、問い続ける運命にあるのである
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実家にあり、タイトルに惹かれて読み始めた。幸せと一般にみなされることを含め、人生の全ては、どうせ死ぬという真実を直視したとき、絶望的に虚しくなる。ならばなぜ生きるのか。自殺するべきではないのか。
まず、周りの人が自分が自殺すると悲しむから、自殺は悪であるという考え方が示される。しかし、より筆者が強調するのは、哲学者として生きるということである。「なぜ生きるのか」という問いへの答えを出せないままに自殺することは、哲学における至上の命題を考える機会を放棄するということであり、知を愛する哲学者として言語道断である。また、答えが出なくとも、真実の虚しさを偽って世間で生活するよりも、せめて虚しい -
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学力が低くなるほど言葉への信頼を失っている。学歴差別を口にしてはいけない。(今は逆差別が起こっている気もするが)--勉強ができるが故に肩身がせまい思いをしなければならない、排除されぬよう気をつけなければならない低レベル環境。
大学教師は学生から言葉を奪っている。
ルール違反者に対して寛大で温情的な我が国民は他人の苦境を見て見ぬふりをする国民でもあり、個人と個人のコミュニケーションをほぼゼロに留めておく国民でもある。
日本人がルール違反するのはみんながそうしている時。ルールは個人が決めるでなく、集団的にひとりでに決まっていく。個人はよいルールをみずからの決断で選べない。
性急な近代化、無批 -
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・哲学者のエッセー集。本書は、カントの研究者が半生を振り返る前半、自身が主催する哲学塾を通じて若者と触れ合う中で出会った数々の「生きにくい」若者の特徴を紹介する後半で構成されている。
・正直、物凄く為になるとか面白いという訳ではなかった(なので★3つの評価にした)けれども、若者の生きにくさについて真摯に(これはいい意味でも悪い意味でもそうで、同じレベルで喧嘩しているという言い方もできるかもしれない)向き合う著者の姿勢に、やや大人気ないと思う反面、分かったようなことを言って誤魔化したりしない几帳面さを感じた。
・人間関係の悩みは一生続くものだし、誰しも直面する課題。人間関係が上手くいかない「生き -
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著者の怒りの経験などもコミカルに描かれていて所々笑ってしまう箇所も多かった。
口論になった際、相手に無条件の辛抱強さを求めることまではできないのならばこちらが受け止めればいい。相手の語る内容を承認しなくてもいいけれど、相手が「語ること」それ自体を承認しなければならない。いかに相手の主張が一方的で、偏見に満ちており、傲慢至極であろうと、語ることそのものの対等の権利を尊重すべきである。
自分がいくら正しくて相手が間違ってると思っていても、別の人から見ればその逆、あるいは両方とも間違ってる、両方とも正しいということもあるわけだし、「語ること自体の対等の権利を尊重すべき」という意見には、新しい視点だ