酒見賢一のレビュー一覧

  • 陋巷に在り6―劇の巻―

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    この第6巻では前回のやきもきした展開が怒涛のように進展します。まず、妤と五六が顔回が登場することにより助け出されます。顔回の登場はやっぱり待ってました!と期待するところです。危機に際しての彼のスタンスは勇者といえるものです。力まず向かい合い、それを自覚して恐れをなすといった心がまえは礼を学ぶものにとって当然のことのようですが、普段になかなかできるものではありません。妤を操っていた子蓉との対決場面では、子蓉の微妙な女ごころが哀しさを誘います。顔回に負けた子蓉のパワーがそのため、深手を負って療養中の少正卯に向かうところは何やら小気味よいのですが・・
    一方、孔子側と反勢力側との戦いは、その動向が注目

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    2012年06月24日
  • 陋巷に在り2―呪の巻―

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    13巻シリーズの2巻目です。この巻から主人公顔回の生得の能力、巫儒の一族としての呪力発揮の場面が盛んに登場します。俄然物語は面白くなります。そして、このシリーズでは欠かせない悪役たち(少正卯、悪悦 )の正体、そして謎の美女、子蓉がとうとう顔回の前に姿を現します。念の入った唐変木であるという巷の評価のある顔回が、彼女に心を動かされた様子なので、これもこの先の展開が楽しみになります。
    本の扉に巻のタイトル文字を白川静の「字統」から引用した解説が載っています。今回は呪という文字ですが、これはもとの文字が祝(しゅう)ということです。呪と祝は正反対の意味を持つものと捉えていたのですが、これによると、・

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    2012年05月05日
  • 陋巷に在り5―妨の巻―

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    ネタバレ

    ますます面白い!!鏡蠱の術におちた妤。五六は気が付かない顔回を頼らず一人で妤を守ることにする。あの活発だった娘、妤の面影は鏡の魔力で見る影もない・・・一方 三都毀壊を進める孔子は費城を占拠する公山不ちゅうと悪傑の奸計で不和を生じる。あのお転婆な妤がこんな事になってしまうなんて、顔回、何やってるんだ・・・・・それに孔子と小正卯・悪傑・子蓉の決着はまだまだ遠い感じ・・・孔子の弟子たちは百人百様で面白い。自分も弟子になりたい??

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    2012年04月17日
  • 陋巷に在り4―徒の巻―

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    ネタバレ

    今回、子蓉の標的になったのは妤。少女が鏡に魅せらるのは、今も昔も変わらないけれど、古代は鏡そのものが希少だし、とても高価。こんなものを貰って誰にも言うなと言われたら、その通りにしてまうのだろうな。妤の変容に顔回はいつ気が付くのだろう。顔穆を失った太長老は小正卯に仕掛ける。その内容が凄い。相変わらず面白い!呪の起こりとかとても興味深い。孔子の時代をもっと知りたくなりました。

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    2012年04月15日
  • 陋巷に在り3―媚の巻―

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    ネタバレ

    面白いです。こんなに面白いなんて・・・なんで絶版なんだ?!!
    泣ける!!!顔儒として太長老の守り役としてまっとうした顔穆(がんぼく)。ああ、孔丘(孔子)の屋敷まで這う姿が・・・・子蓉の媚術の凄さは慄然とする。
    顔回、妤、孔子、小正卯、悪悦・・役者が揃ってますます白熱。そして、日本にも今に伝わる節分の由来、豆には鬼を払うちからがあるとか竈神の意味とか、ほんとに面白い。面白い。古本でまだ集めきってないのですがこれはどうしても探さねば・・・・

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    2012年04月08日
  • 陋巷に在り2―呪の巻―

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    ネタバレ

    面白い・・・陽虎との対決、怪物、饕餮(とうてつ)とのやり取りはもう面白すぎ。だけどこの巻の一番は八佾(はちいつ)の事だったりします。
    これは天子のまえで礼のために八人八列で踊る舞の事。天子にしかゆるされません。八X八は易の八卦にもつうじ、64の卦で世界を表します。なので世界(宇宙)を統べるのは世界に一人(天子)しか許されない。なんて凄いんだ。こういったことが色々とでてきてもう、凄すぎて面白い。陽虎が失墜して謎の巫士、小正卯(しょうせいぼう)が登場、その弟子、白顔子、悪悦と魔女の様な美女、悪子蓉。呪術のやりとりが面白いです。顔回と妤も頑張れ~

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    2012年04月07日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    ネタバレ

    面白かった!顔回、孔子、陽虎・・・諸星大二郎さんの表紙絵もあって「孔子暗黒伝」を思わずにはいられない。妤が可愛くて、顔回とどんな関係を築くのかすごく楽しみ。孔子が活躍したのは紀元前なんですね。改めて凄い!実はこの本、出たときにも手に取ったんですがその時は読んでませんでした。だけどずっと気になっていました。あの時読んでいたらと後悔。古本でしか手にはいりません。呪とか礼とか儒の事始め、今に続くお葬式のいみとか、とても興味深い。もちろん孔子vs陽虎の呪術対決も面白い!全巻そろえるの大変だけど今はネットがあるので最後はネット古本ですね^^

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    2012年04月01日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    歴史が苦手な人でも割と気軽に読める…はず。だが、電車やカフェなど公共の場所で読むのはお勧めしない。絶対吹き出す。

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    2012年03月23日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    いじめられた相手に「火計だ!」と称して火をつけたり、やりたい放題の孔明さんが、とにかく面白い。早く三巻読みたいのに何時まで経っても出ない。

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    2011年12月15日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    三国志はその昔、横山光輝が描いた漫画の三国志から知識を得た程度です。それとしばらく前に漫才の島田伸介と竜介が解説をやっていた「NHKの人形劇の三国志」が私の知識の源であるからいささか心もとありません。最近では映画でレッドクリフ(観てはいませんが・・)が公開されたりして一般的ともいえるのかもしれませんが、有名な桃園の誓いやら、劉備玄徳が孔明を軍師として迎えるところの三顧の礼ぐらいの浅い知識でした。 しかし、その浅い知識を持ってして読んでもこの酒見版の三国志は読み進む度に、その常識?を覆す人物像がこれでもかと飛び出します。 ほとんどギャグに近い部分もあります。 例えば、孔明は怪しげでブスの新妻と散

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    2011年09月11日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    読者の三国志への愛と経験が試される一冊。
    読む側の知識に応じて、面白さの度合いが露骨に変化することでしょう。

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    2011年09月10日
  • 分解

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    『ピュタゴラスの旅』『エピクテトス』『童貞』のような古代史を下敷きにした物語から『分解』『音信不通』『この場所になにが』のように世界のあり方にせまる作品、また、『泥つきのお姫様』『ふきつ』といった心霊世界を皮肉ったコメディと幅広い作品集。
    世界を語りながらそれのみが主眼にならず、物語自体が滅法面白い。まるで、中島敦じゃないか。

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    2011年08月22日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    快作、というよりむしろ怪作の範疇?!「陋巷に在り」からの流れで手にしたが、こちらの方で嵌った。「後宮小説」以来、ほとんど読んでなかったので、しばらくは酒見賢一祭りが楽しめそう。

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    2011年08月20日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    孔子の弟子である顔回を主人公として、論語が書かれた時代の中国の物語が展開されていきます。よく知られている論語の言葉もこの物語の文脈で語られると全く違った意味合いになってくるところが面白い。文庫本で13巻という長い物語ですが、呪術の応酬あり、政治的な駆け引きあり、黄泉の国への旅ありと、飽きさせません。この長い物語を通して、顔回、孔子、子容、五六、徴在、祝融、顔穆、?、子路、医睨、太長老というような魅力的なキャラクターたちが、あるときは融和し、あるときは呪術の限りを尽くして戦うという物語に引き込まれてしまいます。

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    2011年07月28日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部

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    絶好調の酒見節に、時に声をあげて笑いながら楽しませてもらった。
    これまで、三国志は吉川英治版しか読んだことがないが、それと比べると各キャラクターが全くの別人のよう!
    特に劉備は、「これでよく三国のうちの一国を担えたものだ」と不思議に思えるほど、将の器でないダメダメな男に描かれている。
    でも、それが面白い。
    異端に見えて、実はこれこそ、冷静に史実(とされている事柄)を見つめた上の正統のような気がする。
    いずれにせよ、まだ単行本すら出ていない第参部を、首を長くして待ちたいと思う。
    あ〜あ、また「陋巷」並に待たされるのかな(ため息)。

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    2011年03月21日
  • 後宮小説

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    中国のような架空の国の宮廷が舞台のファンタジー。
    なんだかファンタジーとは思えないぐらいリアルで最初から最後まで一気に読みました。
    銀河の無邪気で元気な様子にこちらも元気付けられます。

    アニメになっているそうなので機会があったら見てみようかなと思います。

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    2019年01月16日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    もう何か、色々通り越してみんながみんな可愛い(笑)
    私はこうゆうの、すんごい好きなので酒見さんありがとう!って感じでした☆
    わたしの中の劉備もだいぶ壊れたところで(笑)、これから第二部突入ですが文庫化してないんですねえ。重たい本を持ち歩く日々になりそうですが、孔明がちゃんとやってけるか心配なので張り切って読みます!ああ楽しい〜(*^O^*)!

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    2010年11月08日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    不思議な三国志です。
    お馴染みの英雄たちにこんな一面が⁉
    みんな人格的に欠点だらけなんですが、それがかえって魅力的。
    物語も何処かおちょくった感じで進んでいきます。
    第一巻では三顧の礼あたりまで話が進みますが、天才軍師を迎えるために一国の主が最大級の礼を尽くしたというあのエピソードもこの作者の手に掛かると変人と変人の意地の張り合いみたいなことに…
    どうなっていく事やら。
    ああ愉しみ。

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    2010年09月25日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    古代中国史の知識の薄さと、何巻にも渡って物語が続くことから、酒見さんの作品の中では唯一敬遠していたもの。けれどそんな心配はやっぱり杞憂だったよ、ほんと。
    言わずと知れた孔子、およびその弟子たちの当時の動向を、作者が丹念に丹念に資料を追って書き紡いだユーモアに満ち溢れた作品。ユーモアというのは、現代日本人的な感覚で古代中国の歴史書を笑うという感覚。苦笑とか冷笑とかそういう笑いではなくて、もっと単純な「笑」。百聞は一見に如かず、酒見さんの作品を手に取るべし。

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    2010年05月29日
  • 墨攻 4

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    これで梁城の話は決着がつくんですね。
    映画はここまで。映画と違って主人公が追い出された恨みつらみをくどく描いたりせず洪水で片をつける。情にからめないとこがスッキリしていていい。
    投人器といった武器、兵の闘争心(連絡ができないので自分を死体として出して傷跡を残すなど)など一味違った展開を見せて読み応えがある。
    皮一枚でつながった首ナシ(ではないけど)死体なんて図もスゴイなぁ。

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    2010年05月04日