【感想・ネタバレ】後宮小説のレビュー

あらすじ

時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに……。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。

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購入済み

奇想天外

とても綿密に作り込まれた世界観、複雑なのに無理のないストーリーが読みやすい文体で構築されています。
宮女候補の銀河と一緒に素乾王朝の歴史を辿りましょう。

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2017年03月27日

Posted by ブクログ

 最初読んだ時は、読む前に想像していたほどのすごさはないような気がしたけど、再読してみてなんでそう思ったかわかった。この作者の語り口はうますぎる。うますぎるし、なめらかすぎて読んでいるとき盛り上がりに欠けると思っちゃたらしい。
 銀河のとぼけた会話がなかなか笑える。

  「もし本気であるなら、お前様は馬鹿じゃと言われよう」
  「だれに?」
  「わしに」

 ハハハ、いいっすねえ。
 後宮教育の場面とか、少女漫画の学園ものの雰囲気ありかな。

 追記… 作者が亡くなっていたことを知る。大ベストセラーを書くような作家ではなかったけど、作者のSFとか、あとがきでのエロゲーへの言及とか物語へのこだわりに共感していたからめっちゃ残念。冥福をお祈りします。

 この小説が「薬屋のひとりごと」に引き継がれたと思えば…。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

スタジオぴえろ45th記念期間限定で、こちらの映画が、YouTubeで放映中です。
作家の酒見さんは、23年に、まだお若くして亡くなられてしまったと聞きました。
中高生くらいに、映画の雲のように風のようにに出会って、こちらの原作も読んで、その世界観に惚れ込んでしまい、ビデオテープまで買ったほどでした
私の中華ファンタジー好きが始まったのも、この作品がきっかけでした。素敵な出会いをありがとうございました。
鬼籍に入られたこと、本当に残念です。ご冥福をお祈りします。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

初めて出会ったのはアニメ。数年後、この本面白そうだなと手に取ったら「これ、見たことある!」という出会い。
銀河の生き様が清々しい。純粋で乱暴で一直線。
ファンタジーなのに歴史物読んでる気分になれる。

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2024年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好奇心が服を着て歩いているような素直な平民少女の銀河が後宮へ召し上げられ、前代未聞の活躍を遂げる話。

銀河がいかに真っ直ぐで破天荒な人間であるか、彼女が成した偉業がどのようなものであったか、ということが歴史小説風に記されている。
サッパリした性格の銀河が、彼女の周りのくせのあるルームメイトや女大学の師範といった魅力的な人物との丁々発止なやり取りや不思議な魅力のある双槐樹との関わりで少しずつ変わっていくところがじわじわ面白かった。銀河の偉業を語る上で欠かせない男、ここぞというときに命を張る博奕に勝ち続ける渾沌に関しても少なからぬ分量が割かれているが、一貫して気分屋であるという彼の在り方もなかなか面白かった。

これ、たぶん今似たようなものが世に出るとしたら、主人公の銀河と渾沌は絶対に転生者とか異世界人とかそういう設定が生えてるんだと思う。本作はそんなことはなくて、純然としたファンタジー(作者はあとがきで否定しているが)だと思った。歴史家という少しばかりメタっぽい視点こそあるけれど、「自分の時代の自分の国で自分の物語を生き抜いた、ちょっと変わった人たちの話」という点ではかなり筋が通っているなぁと感動してしまった。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さすがファンタジーノベル大賞
ずっとど真面目にシモの話してるから人に勧められるかって言われたら違うけど個人的にはめちゃくちゃ好き
何よりそれぞれのキャラクターが良くて一切モヤモヤしなかったスッキリ読めて気持ちよかった
これは物語の為に書かれた物語

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2022年07月24日

Posted by ブクログ

ファンタジーノベル大賞を受賞した際に書名は知っていたのだが、読んだのは初めてだった。泣き虫弱虫諸葛孔明が結構面白いので、改めて読んでみたら、非常に面白かった。司馬遼太郎に通ずるような小説として登場人物が活写されるパートと、作者が説明的に挿入する叙実的なパートが絶妙なバランスで配分されている。しかも、過去の事実を述べているような記述部分も全くの虚構というあたりが面白い。非常によく構想された作品だという印象を得た。

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

 先帝は腹上死 であったと一応の「正史」にある記述を引用し、正史がどう言ふ風に書かれるかを描き、そんでもって、金瓶梅な世界へ行ったシンデレラな娘さんが三国志的なアレをバックにラストエンペラーと添ひ遂げるが、と言ふすごい世界が展開する。
 うんうん。
 宦官の人が(作中ではひらがなの)、宮女候補の人の、宮中用語を覚えるために奮闘する(女性っぽい体の娘さんを脱がせて体へ直接書く)と言ふのをメモすると言ふ設定は、なんか来る。

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2019年05月10日

購入済み

何度読んでも面白い

私がこの小説に出会ったのは2・30年前です。
歴史小説にハマりだしたキッカケになった本です。
そもそも、テレビでアニメ化されていたものを先に観て、その当時だったか観て何年か経ってからだったのか中学校の図書館でこの本を見つけて喜んで借りて読み、好きすぎて購入し、それ以降何度も何度も読み返し、数年前に電子書籍化しようとして失敗し、また再購入した程のファンです。
本当にあった事なのか?と思わせられ、当時の私は中国の歴史をめちゃくちゃ勉強しました。
ちなみに、DVDも購入しました。

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2018年07月31日

Posted by ブクログ

中国のような架空の国の宮廷が舞台のファンタジー。
なんだかファンタジーとは思えないぐらいリアルで最初から最後まで一気に読みました。
銀河の無邪気で元気な様子にこちらも元気付けられます。

アニメになっているそうなので機会があったら見てみようかなと思います。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

20年程前の作品です。当時『雲のように風のように』というタイトルでアニメ化されたものを見て、原作も読みたいと思いつつ今に至っていた訳です。
中国を思わせる架空の国の架空の歴史を作り上げ、その中で繰り広げられる物語。史書まで作り引用文という形で「後世の目」を取り入れて歴史小説としての面白みを膨らませています。
その中でも後宮にスポットを当てているのが、また面白いんですな。しかも新たに後宮を構築する為の女大学での話がメインなので、内容も房事に関することなんです。その解釈や哲学も面白く楽しめました。
あ、房事って言葉は一般的ではないでしょうが、ここでは説明せんときますかね。いやはや。

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2020年08月11日

Posted by ブクログ

年明けに、アニメ「雲のように風のように」を視聴し、とても面白かったので原作も読んでみた。
後半の展開などアニメとはけっこう違っており、びっくりしつつも最後まで楽しめた。
とにもかくにも好奇心旺盛で物怖じしない銀河が魅力的。
イリューダと混沌の人となりは小説のほうが複雑で面白かった(一方でアニメで簡略化された理由もよくわかった)。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平成元年に刊行された本で、著者逝去により本作の存在を知る。後宮ファンタジーの祖と云われる本作は田舎の少女銀河が後宮でのしあがり、破天荒な性格そのままに自由に生きていく物語。皆さんのレビューでは「面白い」というものが多かったから期待値は爆上がり笑。実際には良い意味でドタバタ劇が繰り広げられ、なかなか面白かった!作者が読者に直接語りかけてくる事もしばしばあり、終始物語を俯瞰して読む事ができた。それにしても本当にフィクションか?と思わせる内容でおもわず「素乾通監」って調べちゃった笑。素晴らしい物語に感謝。合掌

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

小田雅久仁さんのインタビューで載っていて気になって読んだ本。
なるほど、こうやって本は脈々と繋がって行くんだなあと思いました。
ユーモアでありながら、哲学も描き、軽やかな悲しみも小田雅久仁さんの筆致に受け継がれています。
渾沌が一つのテーマになっているのも面白かった。

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2023年01月20日

Posted by ブクログ

「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」を紐解いて明かされる、後に素乾国の正妃となる少女銀河の物語。

正史二点と無官の歴史家の歴史通釈の書一点を丁寧に比較・考察し、時には新発表の論文にも触れ、時には異なる説を併記して想像力を掻き立て、描かれる銀河のいた素乾国が架空の国だとは…
その丁寧な引用の仕方ときたら、読者を誑かすとんだ狸である。……楽しかった!

歴史書から引用考察するかたちで書かれるということは、キャラクターを客観的に遠くから眺めることになると思いきや、それぞれの人物のなんと面白いこと!愛おしいこと!
歴史の中で見るからこそ、人の子のか弱さが悲しく、懸命さが胸を熱くする。
これも作中で我々に語る"筆者"の巧妙さだろう。実に軽妙で、しかし傍観者としての抑制も効いていて、作中の人物を真っ直ぐに見つめる。
読み終わると、全てが夢の跡である。
素乾朝も素乾後宮も数々伝説を残した銀河もない。
でも不思議と充足している。大乱の中で躍動した彼女らの愛と友情とブッ飛び武勇伝が"歴史を前にした人の儚さ"なんて吹っ飛ばすほど、あまりにパワフルなのである。

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2020年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アニメの方を見てから読んだが、あまりに内容が振り切れているのでびっくり。よくこれを大賞に据えてアニメにしたな、と思う。玉遥樹の最後や「道女」になるシーン、馬小屋の二人は子供に分からないように映像を作っているのがなんとなく分かったが、相当苦心されたろうな、というのが伝わってくる。
歴史資料をもとに作者が想像交じりで小説風に語るという形式を取っており、普通の小説で見せ場になるような部分はあえて簡素にして切っている。もっと会話を聞きたくなるような魅力的な人物ばかりなのに、世界観にどっぷり浸るということはさせてくれない。その分読んでいる方はああでもない、こうでもない、と想像が膨らんで、そこに作者の飄々とした語りがだんだんはまってくる。不思議な感じ。

角先生の哲学、アニメでは「女とは子宮があること。子をはぐくむこと」というだけで終わっていたが、小説を読み進めていくと、先生の言う真理とは森羅万象(おそらくいのち)、という部分があり、国の真理とはすなわち皇帝、後宮とは子宮である、女の腹はすべての真理を生む、とつながっていき、ようやく全貌がわかるようになっている。
哲学の大先生がなぜ壮大な後宮の教育に生涯をかけたか、後宮とは何なのか、そこまで来てはっきり分かる仕組み。面白い。それなのに、終盤に渾沌がこの作品の屋台骨のような後宮哲学をくだらない(美しいけど)と一言で切ってしまうのがまた一層面白い。

渾沌の頭がいいのにその場の気分と思い付きでしか行動しない感じ、私の昔の親友に非常に似ており、なんだか懐かしくなってしまった。いつも信じられないほど突拍子もないことばかりしていて、10年近く親友だったのにどうでもいいことで喧嘩別れしてそれっきり、それも渾沌風に言えば縁というところか。他人と思えなくて、妙に彼の言うこともしみじみと心にしみた。

「人の心は太古は生命力の渾沌とした沼であった。生の欲求が時々ぼこっと浮かんできて泡になる。その泡が弾けて、泡の中に詰まっていた気を吸うことによって人は生命の欲求を知るのである。」
ここの部分がかなり好きだ。沼の上に建てられた人々の社会、その揺らぎ。そして建物を持たない危険人物が、渾沌であったということ。

江葉がクールで聡明でとてもかわいいので、後宮生活と戦いを経て銀河と親友になったらしいのは嬉しかった。故郷に連れ帰るほどだったとは!もっと二人の話を読みたかったな。この説は信用しないが、なんて言いながら最後に二人が欧州に渡った説をちらりと書くあたり、本当に分かってやってるんだなあ、と思いつつ作者の手のひらで踊り狂ってしまいそうだった。

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2020年07月28日

Posted by ブクログ

タイトルは後宮がついてるが、中身は爽やか。
悲しい話でもあるんだけど、主人公の銀河が軽やかに生きていくので、悲壮感はなく、むしろ切ないジュブナイルとしても読める。

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2019年05月07日

Posted by ブクログ

二十年以上前に読んでいるが、古本屋で再会し、再読。
今でも覚えているフレーズを見つけたりして、何とも懐かしかった。
それと同時に、ああ、デビュー作の頃から、酒見さんは酒見さんなんだなあ、とも思う。
架空の「素乾書」なのか、実在する「三国志」の違いはあれど、それにツッコミをいれながら、自在に物語を紡いでいく手法なんて、そのままだ。

一方で、昔はひたすら天衣無縫の銀河ばかり追っかけて、わくわくしながら読んでいたのが、今は混沌がとても気になったりする。
世沙明のことは覚えていたのに、玉遥樹のことは全く覚えていなかった。
あれ、この辺りあの事件を踏まえているのかなあ、なんて思うようになったのも、年をとったせいか?
こちらの読みの変化にも気づかされた。

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2018年01月27日

Posted by ブクログ

「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」の研究報告のように始まり、最初は歴史小説と思い込まされましたが、見事に架空の(そういう意味では立派なファンタジー)物語でした。
銀河のような元気のいい少女がどうも好きでして。。。その上に江葉などというニヒルで屈折した少女が相方で、更には気高い王遥樹なんて美女も出てきて。。。良いですね。
それで居て、歴史小説と間違えるくらいリアリティをい感じさせるのですから、著者の力量はたいしたものです。
面白く一気に読ませてもらえました
あとで考えれば、多少キャラが漫画チックかと思ったら、ちゃんとアニメ化されていました。

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2017年11月08日

ネタバレ

雲のように風のように

中学生の頃にアニメで見てからずっと忘れられなくて、原作が後宮小説と知り購入。
原作はアニメには無い大人な表現と、軽快なストーリー展開が良い。アニメはどちらかと言えばお子様向けな、本当に夢見がちな物語だけど、小説はまさに歴史小説。
比べてみると面白いです。

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2017年09月10日

Posted by ブクログ

あまりにも当たり前のごとく書かれていて、実際に歴史書から引用したごとき記載もあったりで、最初、史実に則った小説かと思いました。読み進めているうち、良い意味で胡散臭い部分とかも目に付くようになってきて、だんだん気付かされてくるんだけど、そうなると逆に、多少あざとく思える言い回しとかが気になってくるんで、騙されたまま読み続けた方が、良い感触が残ったものと思われます。それにしてもよくここまで妄想を膨らませたものだとか、感嘆させられることしきりでしたが。歴史小説としてもSFとしても、面白く読める作品だったことは間違いないです。

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2016年10月18日

Posted by ブクログ

「雲のように風のように」
年末年始、期間限定無料配信されていたものを観た。なぜか心に引っ掛かる、不思議な作品だった。原作を知り読んでみた。当時放送枠や演出の都合、またいちいち説明されないことから「名もなき人」だったキャラクターにも名前がともっていって、良い感覚でした。
2023年、酒見賢一さんが亡くなっていることも併せて知りました。この作品をうんでくださってありがとうございました。

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2025年01月23日

Posted by ブクログ

時間ができたら酒見賢一はじっくりゆっくり読もうと思っていた。昨今の再販のかからなさにそんな悠長なこと考えていたら、手に入る書籍も手に入らなくなると思うところがあったが、こんな形で手に入れたくはなかった。とはいえ、後宮小説はよい。アニメ「雲のように風のように」もよいけれど原作ももっとよい。できればアニメを見てから読む方が世界観や人となりが把握しやすいかもしれない。アニメとは違う硬さとユーモアととっつきにくさがあって、それが癖になる。ファンタジーで、戦記もので、哲学書。何度でも読み返したくなる。

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

追悼 酒見賢一さん
訃報ニュースから改めて手に取りました。
1989年受賞作品だったんですね。当時、アニメを見てから原作を手に取って、アニメで描かれていなかった部分を読んでびっくりした記憶があります。「17世紀初頭の中国を思わせる架空の国の王朝」という設定にすごく新鮮な感じがしました。
ご冥福をお祈りします。

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2023年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

BSでアニメが放送されていたので懐かしくなり数十年ぶりに再読。こんなに読みづらかったかな。
後世の人間が歴史資料を読み解きながら書くという体裁なのだが、書き手の存在が頻繁に入り込むので物語に集中できない。
前半は後宮での房中術の勉強が続くのでちょっと飽きてくる。
けれど後半、銀河が正妃になったあたりから物語が一気に動き出すので面白い。
あの混乱期だからこそ銀河のキャラクターが生きてくる。

貴族の出であるセシャーミンは何故後宮を出た後に妓楼のおかみになったのだろう。
実家が没落していたのか、自分の力を発揮できる場所だと思ったのか。
銀河に初潮が訪れたのを本人が言うまでコリューンは知らなかったが、そういうのは周りの者が皇帝に伝えるのではないだろうか。

いろいろとひっかかるところはあるものの、勢いで読み切ることができた。
もっと銀河や他のキャラクターの活躍が見たかった。
あとアニメ版もやはり良い。

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2020年11月07日

Posted by ブクログ

なかなか面白いが、ちょっと乗り切れないかな。思わず史実かと思ってしまったが、違うみたい。しかし、よくこれをアニメにしたな。

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2020年08月12日

Posted by ブクログ

中国史と思わせるような後宮をテーマにしたファンタジー小説。
史実だと思って読んでいたが、著者の創作だった。
田舎娘が正妃になり軍隊を組織するという突拍子もない話だが面白く読めた。

真理は子宮から生まれる。

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2019年07月23日

Posted by ブクログ

素乾国の後宮に入ることとなった銀河の人生と国が滅ぶまでを、後世の筆者が資料を見ながら語るという設定で描く。はじめはファンタジーなのかよくわからなかったと作家さん自身もいっていたが、ファンタジーノベル大賞なので、一応ファンタジーか。
後世の人が書いたという設定なので、はしょれるところは堂々とはしょってあり、面白いやり方。架空の話であるのに、妙なリアリティ。銀河、江葉、玉遥樹、世沙明と後宮メンバーが個性的で面白い。

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2019年03月16日

Posted by ブクログ

日本ファンタジーノベル大賞、第1回大賞受賞作。
であるが、思わず中国史の辞書を引きそうになった。何から何まで、世界すべてが創作フィクションで、著者の構想力の凄さを知った。

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2019年02月16日

Posted by ブクログ

壮大な作り話。
まさにファンタジー。

終始エロに振り回されているような、、、
でも不快ではない。
下世話な猥談に走るでもなく、
恋だ愛だに囚われるでもなく、
人の営みとしての性を根底に
描こうとしているように思えるからかな。

語り口がやや回りくどく感じられるが、
登場人物たちそれぞれに個性があり
生き生きと活字の世界で暴れ回っています。

いいぞ渾沌、もっとやれ。

アニメも昔々に観た気もするが、
もっと清々しい展開だったような。
ちょっと観返してみたくなったな。

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2017年01月21日

Posted by ブクログ

軽妙な語り口にノせられてついつい読み進めてしまう。ただ常に伝聞調(こうであったようである、とか、こう言っていたようであるがわからない、とか)で、誰かに感情移入するということはないし、なんだか読み疲れてしまう感じはある。

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2017年01月03日

Posted by ブクログ

アニメ化もされた、中国が舞台と思われる王朝ファンタジー。主人公は銀河という女の子です。

1989年の第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。
調べてみると、翌年の1990年3月21日に、確か金曜ロードショーの枠で、
『雲のように風のように』というタイトルでアニメ化されていました。
ということは、小学6年生の終わりに観ていたんだなぁ。
内容はさして覚えていないのに、何故か心にきゅんとしたものが残った作品。
原作が『後宮小説』という名前のものだということを知って、
いつか読んでやろうと思い20年…、
ついに、そのオリジナルの世界に心を投じることに相なった次第であります。

予想以上にえっち。
というか、性に関する記述が多いのです。
そりゃ、「後宮」が舞台ですからね、当然といえば当然なのですが、
ほら、アニメ化されていたでしょう、だから、もっと軽いファンタジー
なんじゃないかと高をくくってイメージしていました。
いやいや、ちゃんとした小説でしたねぇ。

中国を思わせる架空の国が舞台。
よって、漢文の書き下し文っていうのかな、
もう漢文は忘れてしまいましたが、
そういうのが出てきたり、
また語彙も豊富で、調べなきゃわからない言葉もけっこう出てきます。

じゃあ、イメージしていたのとは正反対に、堅い小説だったのかといえば、
そういうことでもなくて、主人公の銀河たちの話しっぷりは砕けているし、
やっていることもその記述も難しくはないです。

つまりは、硬軟織り交ぜたバランスの良い文体といえるでしょうか。
どうしてバランスが良くなるかわかりませんが、
読んでいてくどくないし、かといって質感が希薄なわけでもない。
ということは、現代的だということなのかな。
語り手の洒脱さも感じられます。

内容、とくに登場人物に関していえば、
記憶にある全てのキャラクターに、それが悪役だったとしても
過剰ないやらしさって無かったです。
良い意味で人間臭すぎないのでしょう。
悪く言えば、ちょっとみんな一面的すぎるきらいがあったかもしれません。

そうだとしても、だからこそ、主人公の銀河や脇役達に魅力を
感じるのでしょう。ときめきをもたらす魅力を持っています。
人間臭かったらこうはいくまい。
その場合は、徒労感や疲労感に付随する、ちょっとしたときめきっていう
ものにとどまるんじゃないかなぁって想像しますがどうでしょう。
恋愛でもそうですよね。中学生とか高校生とか、女子に幻想を持っていたり、
持たせらるような人のほうがときめきますよねぇ。
いや、そうでもないかな。何をしても、女子っていうものには、
男子をときめかせるポテンシャルが備わっているような気もします。
どうなんだろ、ごく浅い私見ですが、時代は、ポテンシャル勝負の時期と、
幻想をまとうことでの勝負の時期とを交互に繰り返しませんか。
みんながみんなそうなるってわけじゃないですよ。
そういう強弱がついたりしていないかなぁという気がしただけです。

と、話が脱線気味になってきたので、このへんで。
面白い小説でした。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

井上ひさしが「シンデレラと三国志と金瓶梅とラストエンペラー」と賞したチャイニーズ・ファンタジー。個人的には、一部の煽情的な記述が著者の妄想のあらわれとしか思えず、『家畜人ヤプー』を想起した。

この手のファンタジー作品は、作者がどれだけ異世界に没頭しているか、また、いかにして読者をその作者と同じ境地に引き擦り込むかが魅力だ。本当に優れたファンタジーは(例えばトールキンのように)情景の描写だけで、世界を形作る。突然、異世界に放り込まれた主人公の一人称で物語ることで、主人公の経験を通して世界を構築していく手法もある(『十二国記』とか)。本書は、(架空の)史書からの起こし書きという設定であるため、この「世界の構築」に苦労しており、ところどころ説明口調で世界観の記述が入るのはやむを得ない。というか、やっぱり家畜人ヤプーだ……。

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2021年06月26日

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