Posted by ブクログ
2012年05月05日
13巻シリーズの2巻目です。この巻から主人公顔回の生得の能力、巫儒の一族としての呪力発揮の場面が盛んに登場します。俄然物語は面白くなります。そして、このシリーズでは欠かせない悪役たち(少正卯、悪悦 )の正体、そして謎の美女、子蓉がとうとう顔回の前に姿を現します。念の入った唐変木であるという巷の評価の...続きを読むある顔回が、彼女に心を動かされた様子なので、これもこの先の展開が楽しみになります。
本の扉に巻のタイトル文字を白川静の「字統」から引用した解説が載っています。今回は呪という文字ですが、これはもとの文字が祝(しゅう)ということです。呪と祝は正反対の意味を持つものと捉えていたのですが、これによると、・・呪は必ずしも呪詛のことのみではなく、禁忌全般のことにわたるもので、古くは祝の字を用いた。とありますから、現代では単純に祝い事とされていることも古くは、祭り事としての意義が大きかったのだろうと想像できます。それにしても、この本は中国史を語るので当然ですが、見たこともないような画数の多い漢字が頻繁に登場します。今回登場した妖怪の饕餮(とうてつ)はその代表的なもので、作者も感想を述べていますが漢字を見ただけでその凄まじさが分かります。・・というわけでこの本はいろいろな楽しみ方ができます。