酒見賢一のレビュー一覧

  • 陋巷に在り5―妨の巻―

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    この巻では主人公の顔回は気配だけで表舞台にほとんど登場しません。それだけに孔子側と敵対する悪役たちが、隙をねらって孔子の門下生たちや顔回と馴染みの深い人物に深く入り込んでいく様に顔回は一体いつになったら出てくるのかと気が急きます。
    事態はどんどん深刻になっていきます。顔回の許嫁的存在の妤は、子蓉からもらった鏡から媚術を仕掛けられ、病的な妖女に変容してしまうのでした。さらに、顔回の守り役だったはずの五六までが妤のとりこになってしまいます。一方孔子は魯国の法務大臣として既得権を持つ家臣一族を制圧する政策を密かに進めているのでした。その過程で少正卯の弟子、悪悦の気まぐれな陰謀により、味方となるべき人

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    2012年06月21日
  • 陋巷に在り4―徒の巻―

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    この巻では3巻までの主な登場人物がいよいよ本領を発揮していきます。といってもそれは決して良い意味ではなく、主人公の顔回と敵対する悪役たちが彼の周囲の人物たちを侵食していく様が描かれています。
    その中でも歴史上で孔子の敵役とされている少正卯は、その名前そのものが悪を体現している字面であるため、偽造された人物という説もあるくらい薄気味悪く徹底的に悪役です。孔子の故郷である顔氏の一族の住む尼丘まで訪ねて行き、その一族の太長老と面会する場面はこの巻の山場です。本来は土地の神の祀る場所である社を守ってきた”徒”はそこから逃げてしまい歩き行く者になりました。その土地に踏みとどまり礼の一端を伝承してきた儒で

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    2012年06月07日
  • 陋巷に在り4―徒の巻―

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    読んでると、しみじみ「言葉」は「呪」だって思うのね。
    これは現代でも変わらない。
    「視線」も、歌も、ダンスも、そして道具も。
    古代の中国にさかのぼらなくたって、人は簡単にとらわれるじゃないか。

    人の言葉に、他人の視線に自分の言動を左右され、ある時は饒舌になりある時は沈黙する。歌やダンスで心を落ち着かせもするし、昂ぶらせもする。サポーターの応援が、選手のプレーを左右する。携帯電話だのネットだのに依存していく。

    現代にも「呪」は存在するんだよとしみじみ思う。

    で、どーするんだよ顔回!やばいぞ顔回!

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    2012年05月17日
  • 陋巷に在り5―妨の巻―

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    ばか、ばか、五六のばかやろうっ!
    辛気臭い男ばかりの中で、光のような妤(字が出るかなヨちゃんだよ!)の大ピンチだ!気づけ顔回のうすらとんかち!

    東里では、悪悦兄妹が勝手に暴走してるもんだから、少正卯も孔子も振り回されっぱなし。そして鳥と話せる公治長も窮地に陥るって事態。
    なんというか孔子の気づかなさ加減に呆れてものも言えない第五巻です。ばかばか、孔子もばかたれだー!!という気分になる第五巻です。うい。

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    2012年05月17日
  • 陋巷に在り2―呪の巻―

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    漢字に慣れてきたら、大分読みやすくなりペースがあがってきました。
    孔子の弟子では子貢登場。(瑛太をイメージしてよんでいるワタシ)
    そして、美貌の媚女登場。妖しい!動きがいちいちエロティック!

    傍らに、登場人物相関図を書きながら読んでおります。
    なんとなく年表も書き足しながら読んでおります。これが楽しい。

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    2012年05月09日
  • 陋巷に在り6―劇の巻―

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    魯城に庶民の騒乱、費人の攻撃、あり得ざる騒乱が続きました。子蓉がしくんだ鏡蠱の術におちた妤が扇動した騒乱。やっと顔回の登場でした!それもなんとか(妤が心配です)納まったかに・・・しかし、次は悪悦におどろされた公山不ちゅうの費軍が魯に迫る。孔子の武の部分が凄かった。 面白いですね。

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    2012年04月22日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    この小説は10年ほど前に初めて読み始めました。全13巻をすべて読破したのですが、最近になってまた読みたくなり再読しています。

    孔子の弟子の顔回子淵がこの小説の主人公。孔子に「賢なるかな回や。一簞の食、一瓢の飲、陋巷に在り。人は其の憂いに堪えず。回や其の楽しみを改めず。賢なるかや回や。」と、高く評価された人物。孔子の儒学の一番の後継者でしたが夭折してしまいました。しかし、その間特に功績があったわけではないといいます。それなのに何故?と作者自身この小説の冒頭でその疑問を語っています。
    酒見さんの小説は独特な雰囲気をもっています。ファンタジーといわれる分野がお得意のようですが、この小説も歴史物とだ

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    2012年04月19日
  • 陋巷に在り5―妨の巻―

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    頼りになる顔回不在のこの巻では、少正卯一味の魔の手が、孔子一門や妤にまで伸び、なすこと全てうまくいかずに裏目にでて、先行き不安でしかたありませんでした。

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    2012年03月12日
  • 陋巷に在り4―徒の巻―

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    卓越した性魔術の使い手・子蓉を唯一破った顔回。子蓉は顔回に執着し、再度籠絡を誓う。それは、顔儒や許嫁の妤まで巻き込み…。

    辛くも子蓉に勝ったとほっとしたのもつかの間、妤に魔の手が及んでいるのに、なすすべもない顔回や、政敵でありながら、孔子に協力を申し出る不気味な少正卯の真意を測りかね、対処できずにいる孔子にイライラしました。悪意ある小正卯をどう阻止するのか、続きがとても気になります。

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    2012年03月01日
  • 陋巷に在り3―媚の巻―

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    顔回危うし。
    三桓家である叔孫氏に取り入り、急速に勢力を拡大していく謎の人物・少正卯。その屋敷に住み、恐るべき媚術を使って、儒者である子路をはじめ、孔子の弟子を次々に籠絡する妖艶な美女・子蓉が次に狙ったのは、顔回で…。

    顔儒の秘蔵っ子であり、類稀なる呪術をもった顔回が、子蓉の掌中に落ちてしまうのか、ハラハラしながら読みました。勝負は辛くも…ですが、このままでは終わらなそうです。

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    2012年03月01日
  • 陋巷に在り2―呪の巻―

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    季孫氏を乗っ取り、魯国の政権掌握を目論む陽虎は、儒者の抵抗によって思わぬ苦戦を強いられ、南方の太古の鬼神を召喚し…。
    陽虎と顔儒との熾烈な呪術合戦にのめりこみ、媚術で孔子の弟子たちを次々に籠絡する美女の登場に、先を危ぶみハラハラしました。

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    2012年03月01日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    孔子から唯一好学の士とたたえられた愛弟子であり、聡明で強い呪術の能力を持ちながら、出世の野心なく、貧しい人々の住む陋巷に住み続けた顔回。彼は師である孔子に迫る政敵や魑魅魍魎と戦う生まれながらの巫儒でもあり…。

    はたから見たら昼行燈のごとき顔回と、そんな彼をやきもきしながらも慕うおませな町娘とのやり取りや、まだ「時」至らぬ孔子の苦悩や、政敵との息づまる呪術合戦など、見どころ満載です。同じ人物に何通りもの呼び名があったり、見慣れない漢字表記や中国史に疎くてとっつきにくいところもあるけれど、ストーリーは文句なく面白く、続きが気になります。

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    2012年02月21日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    孔明の生い立ちを追う本筋と並行して、無数に存在する「三国志」作品を照らし合わせて茶々をいれ、「三国志」を取りまとめアップデートしていく実験的小説。酒見一流のユーモアが笑いを誘う佳作だが、三顧の礼終わるまでで六百頁消化はさすがに冗長にすぎるか

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    2012年01月13日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部

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    度を越した悪ふざけ。ながら、多角的に中国史も学べてしまう歴史解釈書の第二巻。みんなしてアホの子で(特に趙雲)、愛しく思わざるを得ない。
    「うぬーん、早くお外で遊びたいぞ」て!もう!馬鹿!可愛すぎるだろ。

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    2011年12月15日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部

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    抱腹絶倒酒見三国志の第二巻。一巻のなかなか核心に迫らない独自路線っぷりも素晴らしかったけれど相変わらず予想の斜め上をゆく展開にニヤニヤ。特に劉備のどうしようもなさ、趙雲の超戦士っぷり、張飛の野獣さが際立って印象に残った(ってアレ?孔明は?)個人的には地雷を踏んじゃった感のある可哀想で人の好いヤクザ者魯粛さんが今後どうなっていくのか気になってならない。早く続きが読みたいけどいつになるのかな。

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    2011年12月02日
  • 陋巷に在り1―儒の巻―

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    論語の中でしか知らなかった孔子、顔回、子貢、子路が目の前で話し、動いている事に感激。より深く論語を理解する為に読み進もうと思います。

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    2011年10月02日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部

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    三国志では有名な三顧の礼以降、劉備の元に雇われた孔明がどんな働きをしていたかですが、この巻では孔明が登場する分量はそう多くありません。作者の解説がかなりの分量を占めています。三国志などの世に流布している出版物の中身も検証しながら場面が進行するので、史実が頭に入っていないとなかなか読みこなせず、今回は読み終えるのにちょっと時間を要しました。(三国志を読みこなした方には難なく読めるのでしょうが・・)
    しかし、前回に引き続き大半の日本人が抱いている三国志に出てくるヒーロー像を覆す人物像は今回もさらに加速しています。
    特に劉備玄徳の武将としてのダメさ加減とエンターティナーの素質がこの巻では如何なく紹介

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    2011年10月01日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部

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    特定の年代または特定の属性の人なら抱腹絶倒に違いない、三国志解体本。
    この第二部では、アニメなど、わからない人も多いと思われるネタがかなりあったため(私もよくわからなかった)、正直ちょっと引く部分もあった。しかし、決してそれだけではなく、正史や演義の記述をあえて馬鹿正直に再現して目茶苦茶な怪奇超常現象状態に成り果てたり、さまざまな傍証から鋭いツッコミを加えたりする手腕は、あいかわらず冴え渡っており、また、呉の内情の現代風(?)アレンジなど、想像力あふれる解説手法も健在。まだまだ赤壁までも達しないが、気長に、できる限り先まで続くことを願ってやまない。

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    2011年06月29日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    吃驚仰天して引っくり返ってしまうような内容の三国志トンデモ珍品新意訳解釈読本。寝食忘れて読み耽るべからず。

    諸葛亮にスポットを当てた話なのだが、
    何故か嫁や姉や師や徐庶や徐庶母の為に大幅にページが割かれている曹操も真っ青な酒見版三国志。

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    2011年03月25日
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部

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    気づくと読み終わっていた。面白いんだろうか?うーんどうだろう?と思いながら読み進める本。孔明が変人だという解釈は面白いし私もそう思う。

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    2010年12月05日