佐藤愛子のレビュー一覧
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佐藤愛子による、佐藤愛子の一族の話、「血脈」。
シナとの間に二人の娘が生まれてからも、兄弟の悪戯の後始末をし続けなければならない紅緑。自身が流行作家になりつつあっても未だ仕送りを要求する長男ハチロー、口先ばかり達者になり弁は立つが大嘘つきの節、幼い頃に人に預けられ肉親の情を知らずに育った兄弟の中では1番真面目だが無気力の弥、同じく生まれてすぐから父と離れて育ちその場凌ぎは出来るが根気や目標が皆無の久。
紅緑は自らの業や息子達の一生を怒り、その怒りや悲しみややる瀬なさを文字を連ねることで昇華していく。
文中に何度となく紅緑の日記が挟まれてくる。
結局、夫である紅緑に愛情を感じず、愛 -
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佐藤愛子による、佐藤愛子の一族の話、「血脈」。
上巻は愛子が生まれる以前、佐藤紅緑(佐藤洽六)と妻のハルが構成していた佐藤家から始まる。その後、紅緑は女優のシナに傾倒しハルとは離縁。紅緑の葛藤、そして分散していく佐藤家の兄弟を長男であるサトウハチローを中心に描かれていく。
シナに愛されていないと感じるたびに躍起になり強行の末に空回りで自滅していく紅緑と、、紅緑を愛しもせず反抗もせず、無言で観察者に徹するシナとの関係。父と母と自分との関係に折り合いが付けられぬまま其々に崩れていく兄弟の心がテンポよく綴られる。
それでいて実直で豪気な紅緑という人間に惹き付けられざるを得ない。
これは -
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2017 第1版
戦争という激動の混乱の中を生き抜いてきた、大正12年生まれの痛快エッセイ。二度の離婚を経て物書きとして生計を立てるようになり、友達、家族に呆れられようと世間の逆風を受けようと、良妻賢母の価値観よりも自らの感性を恃み言うべきと思ったことを言う、すべきと感じたことをする。
どんな人間も死ぬときは死ぬ、正直は美徳か、男女の不当な差別は嫌だが差異はあった方が豊かだ、便利なモノを得ようとして窮屈になる。
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弱っている時、どうしたらいいかわからない時、うまくいかない時、私は常識や他人の評価が気になるということに、最近やっと気づいた。病んでいると集中できてドラマティックな小説などに逃げ -
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41才を過ぎてから、体力的な衰えを感じていて、以前に比べて死というものを意識するようになりました。
そんな時に読む、ある意味、破天荒な生き方をされてきた佐藤愛子さんのメッセージ、”自分は自分の考えで生きれば良い”ということを再認識できました。
わたしも「ああ、おもしろかった」って思いながら、人生を終えたいな。
【本文より】
少なくとも私は自分の好むように生きて、そうしてここまできた。いいたいことをいい、したいようにしてきた。
人を羨望せず、妬まず、怨まず、おもねらず(その代わり損や誤解を山のように背負ったが)正直にありのままに生きてきた。
こう生きるしかないから、こう生きた。よくもまあ