佐藤愛子のレビュー一覧
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サウンド文学館・パルナス エッセイ「男友だちの部屋」佐藤愛子 朗読:中野良子
タヌキちゃんのソファ 北海道に別荘を建てたときのエピソード。ここから「私の遺言」に繋がる。
バラの話
「あのバラを伐ってしまったのは、ちょうど十年前だ。なんといっても私は元気だった。いまならば私は伐らないだろう。そして季節が来ると、咲ききった無数のローズ色のバラが、色を失いつつ、露の雨に打たれて無惨に朽ちていくのをじっと眺め、胸に湧き広がる悲哀の中に沈む事を、むしろこころよいものに思うかも知れない。」
たまに気を引く文があるけど、お年寄りが得意がってするおしゃべりを、思いやりのために聞いてあげてる気分だった。昔の -
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タイトルにもかかわらず、著者ご本人はまだ健在なのだけれど、死ぬ前にどうしても伝えておきたかったこと、という意味で書き記した本であるらしい。
北海道に家を建ててから突然身の回りに起こった、不思議な心霊現象との20年間にわたる闘いを綴った戦記といっていいような内容だ。
その闘いは本当に壮絶の一言で、映画に出てくるポルターガイストのようなレベルじゃなく、それよりも何倍も激しく家の中を掻きまわしたり、ソファーの中に電話機を隠したり、集まって宴会をしたりするという。
それが、どこの場所に行ってもついてまわって、夜毎に姿をあらわすというのだから、それは想像するだに恐ろしい、「ベルセルク」のガッツが味わ -
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教育への信念、情熱だけを生き甲斐にしてきた
元小学校校長の丈太郎。
戦後の苦しい時代に夫に黙って忍従することが
妻の務めだと思ってきた妻、信子。
民主主義社会の中で、自己の主張を抑え
優しい夫を演じる、息子の謙一と
教育熱心でキャリアウーマンな妻、美保夫婦が2世帯住宅で同居しています。
物語は、信子が戦時中に夫の為に忍んで失った青春の日々を
今から取り戻すと決意するところから始まります。
これからは自分のために、楽しい余生を送るのよという妻、
家族から時代が違うんだからとその熱血さを疎まれる、夫。
熟年夫婦の葛藤が、和やかなタッチで描かれています。
特にこ -
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にちゃんねる用語でDQNという言葉がありますが、この佐藤家はまさに全員がDQN。す、凄まじい。
この本を手に取ったきっかけは、NHKのドラマでした。この本が原作だったのですが、ドラマのほうは、「野放図で、でもどこかほっとけない悲しみを漂わせたサトウハチローと、それに振り回される家族の物語」的に描かれてて、主題歌もいかにもホロリとこさせるのを狙った曲を使ってたんですよ。
この原作本を手にとって、何度も何度も、描かれている家族模様をドラマのテイストに変換しようと、この本を最後まで読んだときに救われなさそうな自分の心を妄想の力で救おうと頑張ったんですけど、無理でした。「宿命の一族」とかそういうギリシ