【感想・ネタバレ】凪の光景(上)のレビュー

あらすじ

何の享楽も知らず、己の信念のために戦うことを生き甲斐とする元小学校校長・大庭丈太郎。謹厳実直な夫に仕えて40年。糟糠の妻・信子。庭続きには息子一家が住み、老夫婦は傍目には「幸福」そのものに写るのだが……。ある日、信子は戦中戦後の苦闘の中に埋もれた青春の日々を何とか取り戻すのだと突然、丈太郎に「シルバー革命」を宣言し、次々と企てを起こし始めた…。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

作家としての立ち位置と自己認識を示した作品。彼女が具象化した時代的テーマの数々。
長男謙一夫婦の、キャリアーウーマンと不倫。ファミコン世代の子供達。パラサイト的若者像。極め付けは熟年離婚だ。
佐藤愛子は「小説の基本は、人間について考えることです」と語っている。まさに昔気質の作家だ。遠藤周作は「学校を出て彼女は軍人の妻となり、そのご主人に死なれ、数々の苦労をしたらしいが、戦中派の女性はみんな、そんな辛い人生を味わってきたのである」と評している。
そんな彼女が書く作品は、中年女性に人気があるのかベストセラーを出し続けている。

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2019年01月07日

Posted by ブクログ

教育への信念、情熱だけを生き甲斐にしてきた
元小学校校長の丈太郎。

戦後の苦しい時代に夫に黙って忍従することが
妻の務めだと思ってきた妻、信子。

民主主義社会の中で、自己の主張を抑え
優しい夫を演じる、息子の謙一と
教育熱心でキャリアウーマンな妻、美保夫婦が2世帯住宅で同居しています

物語は、信子が戦時中に夫の為に忍んで失った青春の日々を
今から取り戻すと決意するところから始まります。

これからは自分のために、楽しい余生を送るのよという妻、
家族から時代が違うんだからとその熱血さを疎まれる、夫。

熟年夫婦の葛藤が、和やかなタッチで描かれています。


特にこれと言って読みたい本が無い人、
サスペンスとかミステリーは飽きてしまって
ちょっと心穏やかに小説をのんびり楽しみたい人にお勧めです。

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2009年10月04日

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