佐藤愛子のレビュー一覧
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Netflixで映画化された「90歳。何がめでたい」を観た。
草笛光子さん×唐沢寿明さんコンビが良くて、
ふと手にしたくなった箴言集。
劇中ではあまり描かれていなかったけれど、苦労ばかりの人生だったのですね。
箴言たちが、上からではないように読めたのは、きっとそういうこと。
漆黒も暗黒も掻いくぐった筆致が、思いのほか
軽やかで粋でした。
【本文より】
・わたしは上機嫌で憤怒する
・いまの世の中を一言で言えば「いちいちうるせえな」、これに尽きますよ
・悲しさの中に灯が灯る
・悲運がわたしを楽天的にした
・血が滲むのが当然
・むやみに傷つく方もよくない
・しっかり耐える
・便宜上失敗という言葉 -
Posted by ブクログ
2017年度のベストセラー総合一位。それで急に仕事が増え、本人いわく、こんなはずじゃなかったのに。あれ、これって、デジャブー……その50年前、『戦いすんで日が暮れて』で直木賞受賞。目の回るほど忙しくなって、愚痴った。直木賞なんかじゃなくて、ちゃんとした作品で芥川賞が欲しかったのに。
佐藤愛子といえば、やはり憤怒の私小説。『戦いすんで』『血脈』『晩鐘』と読んできて、終わった気でいたのに、そのあとに特大ホームランが来るんだもん。
怒りの勢いは昔のまま。今回は、世の中の「正論」や「正義」に怒っている。でも、もちろん、それだけではない。いたずら電話やドロボーの話で笑わせ、飼い犬の話で泣かせる。喜怒哀楽、緩急のつけ方はお手のもの。 -
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とてつもない奔流。最初のページから、わけのわからぬまま、こちらもその勢いに呑まれて、気がつくと最終ページ。娘と夕暮れの環七に架かる歩道橋の上にいる。戦いはすんだのだ。(でも次の戦いが待っている。)
夫経営の会社が倒産して、2億円の借金(1964年当時!)。夫は大会社社長の息子で、慶應育ちのロマンティスト、対処能力がまるでない。もって行き場のない憤怒のなか、妻は覚悟を決める。逃げることなく、戦火のなかを、行けるところまで行ってみよう。
著者はこの作品で直木賞を受賞。怒りに任せて自分のことを書いただけなのに。ほかのちゃんとした作品で賞をもらいたかったという。でも、勢いのある感動的な作品だ。
文庫版あとがきには、いったん本になったものは読み返すことはないとある。著者の生き方そのものだ。 -
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佐藤愛子『血脈』のいわばリファレンスブック。写真(アルバム)が40ページ、関連年表が12ページ、系図が2ページ。そのほか、出版直後の講演や対談もある。『血脈』本体2000ページに挑むには、この補助具はあったほうがいい。
北杜夫は同人誌時代からの「悪童仲間」。その北は、自分の一族(斎藤家)のことを大河小説『楡家の人びと』に書いた。これに刺激(挑発?)された結果、35年して『血脈』は書かれることになった(別タイトルをつけるなら『佐藤家の人びと』か)。
『楡家の人びと』をリスペクトしながらも、北に対しては、自分の場合は執筆に12年をかけ(北の場合は3年)、登場するのはみな変な人たちばかり、とマウントをとる。張り合い方がいかにも「悪童仲間」らしい。 -
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著者が眺望の素晴らしさに魅せられ、北海道浦河町の山の中腹の土地を買い、そこに夏の家を建てた時から超常現象に悩まされるようになる。夜中に水を撒く音。屋根裏をノッシノッシと人が歩く音。電気の点滅。荷物が消えるなど様々な怪現象が起こり、それは長じて、東京の自宅でも、旅先でも起こるようになる。霊能者によると、昔ここはアイヌの人たちの祀り事を行う場所であり、住処だった。その大切な山を家を建てる為に切り崩してしまった事で、アイヌの霊の怒りを買ってしまったのだそうだ。「苦難は逃げずに立ち向かう!」が信条の著者。真っ向勝負とばかりに、次々起こる不可思議な出来事に対峙していく。様々な霊に翻弄されながら、著者はここからどの様にして「遺言」という思いに至っていくのか…
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人生の師匠、佐藤愛子さんのエッセイ。
50年前からの作品を改めて発行されたもの。新刊ではありません、まえがきのようなものにそう綴られています。その経緯がまた腑に落ちる、発行がそんなに前だから読んだ人だって覚えていないだろうから発行しましょうと出版社は言うとある。
そうだよ、私なんて佐藤愛子の遅咲きのファンだから、この本を読んでより佐藤愛子さんと言う人を知ったもの。
晩鐘のあの凄さのその根本がこの本に散りばめられてあり、もう一度晩鐘を読もうと思っている今。
佐藤愛子の素晴らしいところは、とてもチャーミングなところとユーモアのセンスがいい。またその伝え方も私のツボに入る。
抜歯の時には出血するからティッシュを用意する様に言われたけど全然出血しなくて90過ぎると血も涙もないんだ…そんなこと言いますか普通笑。
巻末の対談で、橋田壽賀子さん、五木寛之さんとの会話も大変貴重なんじゃないかと思う。その会話に出てくるのも結構マニアックな人達だから、その人たちの話でスッと入ってくるのは私も結構毒されているなと思う。ただ、こうした人達が出てくる会話は、その時代を生きたい物書きが減りわかってくれる人も減ってるから嬉しくなってしまう。
佐藤愛子さんの生き方考え方。私もそのお歳になった時に思い出して比べてみたいわ。 -
購入済み
九十歳。何がめでたい
佐藤愛子先生は私の母より一歳年下(母は10年前に他界しました)。性格は違いますが(佐藤先生の性格はよく存じませんが)、大正生まれの気骨というか頑固さを持っていました(延命治療はするな、戒名はいらない、散骨しろと生前ことあるごとに申しており、散骨以外はその通りにしました)。
閑話休題、全編必ず1か所か数か所抱腹絶倒ではなくシニカルな笑いの場面があり飽きずに読ませていただきました。
ただ、「グチャグチャ飯」と「思い出のドロボー」は佐藤先生の別の一面を見るような文章で印象に残りました。
筆をおくなどとおっしゃらずこれからも思いのたけを書いてください。楽しみにしています。
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ネタバレなんか最近、佐藤愛子さんの本がやたら並んでますね。映画が公開されたから?100歳になられたから?どっちも?
講談社文庫フェアで、1冊買ったらよむーくのお出かけポーチがもらえたので購入。←すぐノベルティにつられる私。
短編が8つ入っています。表題作は50年も前の直木賞受賞作。いやー、すごいな。50年たってもみずみずしく、社会背景は50年前のままなのに、面白く読める。あとがきに書いてあったけど、実体験をもとにした小説らしい。そのあと更に2編、同じように「夫の会社が倒産した」っていうネタで別の短編が続く。どの主人公の女性も気が強くユーモアがあり、豪快で魅力的な女性だ。
私は最後の3編が好きだった。女を口説こうとする男たちの話。女風呂をのぞいたり、業界のプロデューサーだかなんだか、力を持っている男が女優をモノにしたり、逆に美容室経営の辣腕女性が若い男性を自分のモノにしたくて圧力をかけたり、現代なら「セクハラ」「パワハラ」いやいや「犯罪」ってなるようなことだけど、その時代はそんなものなんだろう。男ってこんなもの、年増オンナはこんなもの、っていうのを面白く描き、なぜか誰も不快にしない感じが良い。現在100歳の佐藤愛子さんが、当時から、男におもねるわけでもなく、かと言って極端なフェミニストでもなく、ただ自分の考えをしっかりともち、自分の足で歩いてきた自立した女性である所以かと思う。←えらそう。