山内義雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
海外文学に触れた経験といえば、ガキの頃のモモとハリーポッターくらいというズブの素人なもので、正直なところ読み始めてしばらくは独特な表現に慣れず、「もっと簡潔に話せよ!町田康か!」とか「こいつら顔赤くなったり青くなったりしすぎで病気だろ!」とか、違和感と共に読んでいた。
しかし、主人公が監獄にブチ込まれるくらいからはコッテリ文章にどんどんのめり込んでいき、獄中でスーパーご都合主義チートジジイに出会うことを事前に知っていながらも、緊迫した展開と迫真の心理描写でドキドキすることになった。
そこからは熱が冷めることなく、残り2000ページくらいを駆け抜けた(まあ正直言うと、ローマにいた間だけは「この下り長くねえか?今なにやってる時間なのこれ!?」と思ったが…)。
感想としては、単純にエンタメとして面白いし、「ヒュ~!やってやったぜ!ざまーみろ!」という復讐劇の楽しみも格別だったが、なんというか、いやー人間だなー!人間味だなー!!という感じだった(は?)。
復讐対象のどうしようもない連中だけでなく、その周辺の人物も含め、迷い、後悔、欺瞞、自己保身、激情、嫉妬といった、ネガティブな人間味が濃厚に描かれる。そうすると読んでいくにつれ復讐対象のやつらにも魅力を感じてきたりする。「みんなそういう嫌な側面ってあるよな、人間って誰しも弱いよな…」みたいな。そもそもそいつらにしても、純粋な悪意と明確な意志でもって主人公を投獄に追いやったかというと、そうでもないわけで。そして、そんなネガティブな情動が渦巻く中だからこそ、一筋の高潔さをもった何人かの人物が一層輝く。
言うまでもなく、主人公は大変魅力的。復讐鬼に変貌した後の、神の代行者かのような超然とした言動は格好いいし、そんな中でも「あれ、これでいいんだっけ…?」とか「やべっ、やりすぎた!」とか迷ったり焦ったりと人間味も出してきて、でもしっかり無双して爽快感を提供してくれるダークヒーロー優等生だ。
主人公以外では、ノワルティエが個人的に好きになった。初登場時は「なんか厄介そうなおっさんがチラッと出てきたな」くらいにしか思わなかったが、終盤には「うおー!ジジイいいぞ!ジジイがんばれ!!」とファンになっていた。
とまあ、めちゃ長いが、情熱的で修辞的な表現に慣れてくればスルスル読み進められて、夢中になっているうちに読み終わると思う。 -
ネタバレ
ダルタニヤンのちダンテス
三銃士は、アトス、ポルトス、アラミスに加えて主人公のダルタニヤン。
本作はダンテス、エドモントダンテスが主人公。
安定のオヤジデュマ品質、伏線回収でこうくるかでしたね。
お好みで。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ数年前に1巻だけ読んで放置してたのを再読。
びっくりするほど面白くて一気に全巻読んだ。「待て、しかして希望せよ」を見たくて…(なんでこの時期にまた読み始めたのかは察してください)
好きなキャラクターは主人公とユージェニー嬢だな。当時の価値観ではユージェニーのような思考の女性は変人扱いされたんじゃないかなぁと思うけど、それでも自由を選んだのはすごい。
メルセデスはあの時代であの選択をしたのは仕方ないよなと思う一方で、嫌な女だなぁと思わせる何かを感じた。正直ダンテスが最後にメルセデスを選ばなくて良かった…
1巻の辛い展開を乗り越えてからが最高に楽しかった。嫌な奴は徹底的に嫌な奴として描かれていて最高。そこに見える嫌な奴らしい矜持の高さ(ヴィルフォールとか)は結構好き。
恐らく人生で一番楽しいはずの青年時代を奪われ、恋人も奪われ、それでも救われた(と自分は思ってる)のは復讐譚としてはとても良い終わり方だったと思う。復讐なんて虚しいだけだ!みたいなクソみたいな綺麗事を言うキャラクターがいなくて良かった。
キリスト教への信仰が色濃く描かれていて、今の時代の日本人の自分には理解しにくいところもあったけど、それだけ絶大なものであったことはよくわかる。復讐を終えて自分も命を終える、みたいなキリスト教に反するようなことをしなくてほっとした。
あと、主人公の何が好きって、エデのような美女(美少女)を側に置いておきながら男としてそっちの方に流されないところ。恋人ではなく娘のように思っているところが健全で素敵すぎるんだよな…文章からでもエデの可愛らしさがこんなに滲み出てるのにその鋼の精神なんなの?
復讐の神のような振る舞いをしても微かに残るエドモン・ダンテスとしての名残があるのが苦しく感じるけど、そこがたまらなく好きだ。
てっきり3人に対する復讐は最終的に全員殺すのかと思っていた。社会的に殺すというのは相手に大ダメージを与えると今も昔も周知されてるんだな…
この人この後どうなったの?みたいな人が多すぎるけど、復讐を達成したらもう用はないもんな。番外編みたいなものないのか…
また時間をおいて読みたい。違う人の翻訳も読んでみたいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ祖母の家にあったので読んでみました。
フランス文学だけあって難しかったですが
アリサの
「死ぬってものはかえって近づけてくれるものだと思う。生きているうちに離れていたものを近づけてくれるもの」
その文章に惚れました。
この文章から彼女は心底ジェロームを愛してたのだなと感じました。
彼女は母親の不倫などで徳を積むことばかりを考え妹の幸せすら願った。けれど本心はジェロームへの恋のために徳を積もうとしてたかもしれない。
最後の日記には彼に当ててる文章が多く神ではなくジェロームを求めてることがわかり胸が痛くなりました。
彼女は狭き門ですら彼と行こうとも考えてもいました。
亡くなった彼女は離れていたものを近づけようとするものを彼に与えれたかもしれない。それはジェロームだけが知ることなのでしょう。