竹内薫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「怖い」という疑問には首を捻るが、色んな知識が軽く書いてあるので、楽しく読めた。
他の科学本と内容が被る事も多いが、「怖い」というアプローチなのでまた違った面から知る事ができます。
一番面白かったのは、宇宙の真空空間に生身でほおり出された場合の死因は、体の破裂でもと凍死でもなく窒息死だという事でした(空気が膨らむので肺は損傷するが、皮膚は意外と丈夫なので破裂には時間がかかる。-273度だが、熱を伝導する空気が無いので体温を奪われない。結果、窒息するまでの2分間は宇宙空間で生身でいられる)
ただし、太陽からの有害な紫外線は半端無いので、目と皮膚は太陽光線からしっかりガードしないといけないそうです(笑)
そして、やはり昔の科学実験は人権侵害何のそのでムチャです。
一番怖い、というより恐ろしいのは、本文の通り、世間知らずの科学者ですね。
そういえば、ちょっと引っかかった事。
「飛行機事故より車の事故の方が統計的に断然多いのに、人は飛行機事故を怖がる。同じく原子力発電の事故で死んだ人より火力・風力発電事故で死んだ人の方が統計的に端然多いのに、人は原子力事故を怖がる→人が一度に沢山死ぬ事故になる方を怖がる→だから原発を怖がるのは論理的じゃない」といった事も書いてあったのだが、それはどうだろう。
車より飛行機の方が怖いのは、いざ起こる時、防ぐ事も、逃げる事も、自分ではどうにもできないからじゃないだろうか。
火力・風力より原子力が怖いのは、そういうことじゃないのだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ科学に興味のある人はもちろん、科学嫌いの方にも是非読んでもらいたい一冊です。難しい数式はなく、平易な文章で書かれていますので、読みやすかったです。
本書は世界を代表する2大科学雑誌「ネイチャー」と「サイエンス」の比較を通じて、科学を正しく、わかりやすく伝えるということの重要性を問いかけているように思えます。特に東北大震災後の原発事故の報道や、トンデモさんのデマを見ると強く感じます。
トンデモさんといえば、本書でも疑似科学の話題にも触れています。筆者は「人類の科学レベルでは解明できないことは無数にある。超能力や超常現象だって、100年後には反証可能となり、ふつうの能力や現象として、学校で科学の時間に教わるようになるかもしれない。」と述べています。確かに科学で解明できないことはありますが、疑似科学の多くは、ちゃんとした論理の組立もなく、ずさんな実験方法が多いので、100年後に反証可能となることはないでしょう。
疑似科学は論文として掲載されるだけならまだいいですが、多くの疑似科学は、本やネットを通じて伝わり、詐欺まがいのことや健康被害といった社会問題になりやすいのです。疑似科学ではこういう問題が起こりやすいので、私は筆者ほど寛容にはなれません。
-
Posted by ブクログ
イギリスの「ネイチャー」とアメリカの「サイエンス」。この二大科学雑誌を中心に,科学について語る。両誌の歴史,科学にまつわるスキャンダル,日本の科学の未来まで。
なぜ英米のこの二誌が抜きんでたのか,アインシュタインの人生を概観することで要領よく説明。ドイツ語の凋落はやはり戦争のせいだな。
ピアレビューの制度が20世紀の初めの方まではなかったというのは意外。南方熊楠はネイチャーに51本も論文が掲載されてるが,それは査読が始まる前。
著者の竹内氏には確か遅くできた子供がいたけど,その出産のときホメオパシーに遭遇した体験談があった。助産師が妻を産気づかせるために砂糖玉をくれて,それで陣痛が強くなったんだって。そんなホメオパシーを肯定する論文がネイチャーに掲載されたこともあるらしい。1988年。
でも著者は擬似科学にすぎないからという理由で掲載しないという態度はいけないという。有力な科学誌が掲載したおかげで,その検証が行なわれ,ホメオパシーが科学的にダメであると決着がついたんだから良いではないかと。うーむ,そんなものかな??
福一原発震災についても熱く語っている。科学不信がはびこる状況にいたたまれないらしく,悪質な危険デマを糾弾。昔から行なわれてきたイデオロギッシュな立場からのダメ批判が,反原発の声をすべていっしょくたに「狼少年」と切り捨てる風土を産んできた。そのことが,今回の惨事につながったとしてる。 -
Posted by ブクログ
私は竹内氏の書いた本はほぼすべて読んでいるが、本書は中でも政治的・社会的メッセージ性が強い本だと思う。そしてその見解は示唆に富んでいる。著者の背景に裏打ちされた提言は一読の価値あり。
・イギリスの一部の大学には、同じ講座に二人の教授がいる。一人は実力で這いあがった人、もう一方は上流階級出身のお金に余裕がある人。
・ネイチャーは商業誌で、サイエンスは学会の機関紙。
・ネイチャー編集部には変わった編集長が多い。ローラ・ガーウィンはハーバードを出てからオックスフォードに入り、ケンブリッジ大学でも博士号をとったが、いつのまにか音楽家になり、ペンタゴン・ブラスというバンドでトランペットを吹いている。
・キャリー・マリスは、酔って書いた文章がネイチャーに掲載され、真剣に考案したPCR法が論文として載せることを拒否されたゆえ、ネイチャーの権威性に大いに疑問を抱いた。
・ネイチャーには以前疑似科学に入る論文が掲載されたことがある。
●疑似科学といえども、それを声高に否定するのは寛容にもとる(同感)
・ファラデーが大蔵大臣グラッドストンに電磁誘導の実験を示したとき、「何の役に立つのか」と聞かれ、こう答えた。「なんの役にたつのかはわかりませんが、将来、これに税金をかけることができるでしょう」。 -
Posted by ブクログ
イギリスのネイチャー誌、アメリカのサイエンス誌を紹介、比較しながら科学そのものの面白さを紹介する。筆者は自身をサイエンスライターと説明するが、まさしく僕のような科学ファンには心地よい文章である。安心感がある。
最終章で東日本大震災後の非科学的な反原発ブームに極めて冷静に釘をさしながら、なんとか派とか御用なんとかといった低俗な論争に巻き込まれないように、いい意味でスマートに振る舞っているように感じた。
1992年10月23日号サイエンスに今上陛下の論文が掲載された。DNA二重らせんモデルの研究でロザリンド・フランクリンの研究が盗用され隠蔽された事件。韓国人学者のES細胞スキャンダル。などの紹介あり。
横田めぐみさんの遺骨と北が主張する灰について、個人的には拉致問題の全体像から見て遺骨は別人のものであるという日本政府の見解に賛成との感想を述べる一方で、帝京大学の鑑定に対して疑義を示したネイチャーの記事を評価する。逆に、官房長官や外務大臣のコメントを不正確であったと指摘する筆者の視点は科学的で中立と感じる。確かに当時のニュースを見ていて何かすっきりしない感を覚えた記憶がある。
内田麻理香さんに教えてもらった逸話として紹介するファラデーのコメントが面白かった。 -
Posted by ブクログ
本書は「新潮45」で連載されていたコラムを加筆修正してまとめたものである。自然科学の学術業界の全般的な話題を一般読者にわかりやすく説明している。前半では「ネイチャー」と「サイエンス」という二大科学雑誌の占める役割と性質について、後半では疑似科学や捏造の話題を通して「科学はどうあるべきか」ということを考察している。そのため、タイトルから想像するような内容ではなかったものの、それなりに興味深く読んだ。著者は非常にわかりやすく科学を解説してくれる。彼のようなサイエンスライターが日本でももっと増えてほしいと思う。そうすれば、一般の人々ももっと科学に興味を示してくれるだろう。