永井路子のレビュー一覧

  • 山霧 毛利元就の妻 上

    Posted by ブクログ

    戦国大名と言われるほどの実力のない小さな国人領主であり、家督を継いでいるわけでもない。このような小領主であった毛利元就のもとに、鬼と言われる吉川国経の娘が輿入れしてくる。
    輿入れしても、実家吉川のため、情報流したりする戦国の世。
    毛利元就と妻のおかたは、戦国の夫婦として、協力し合い、生き抜いていく。

    0
    2021年10月11日
  • 女帝の歴史を裏返す

    Posted by ブクログ

    推古天皇から始まる女帝の歴史。
    男性天皇の中継ぎではなくゴッドマザーとして君臨した女帝たちの姿が描かれる。
    中でも持統天皇と藤原不比等の攻防はすごく面白かった。
    血で血を争う覇権取りの中、不比等だけは血を流さなかったというのも興味深い。

    著者の作品はいくつか読んだことがある。
    生き生きとし逞しい女性から見た歴史が面白かった。
    その持ち味が存分に生かされたこの本は、カルチャーセンターの講座を元にしたものらしい。その講座受けてみたかった。
    歴史の定石を反対側から見てみるというのは、多感な時期に戦中・戦後を過ごし価値観を変えられた著者ならではなのかもしれない。

    0
    2021年03月07日
  • 平家物語の女性たち

    Posted by ブクログ

    全くの理系人間だった私は古文だの日本史だのに苦しんだ思い出しかない。だけど、本文を現代語に訳しては状況が伝わりにくいんだという永井路子さんの言葉を読んでから、古文解読や時代背景を知識として持ってこの本を読めてたら、もっと楽しめたかもしれないと思った。

    それでも、夫と離れて悲しいと涙する妻や、尊厳を守る為に命を断つ覚悟とか、楽ではない出家を自ら選んだり、それを耐えたり。女性の登場人数、場面が少ないとはいえ、同じ女としてお腹にドーンと響く所が多かった。

    そういえば、子どもの頃読んだ永井さんの細川ガラシャ夫人、あの感動は今も忘れられない。あの感じ、子どもだったからなのかな?

    0
    2020年10月29日
  • 美貌の女帝

    Posted by ブクログ

    元明・元正両天皇は日本史上初めて母から娘に皇位が譲られた稀有な例の証人であり、かつ元祖スーパーキャリアウーマン親子である。

    飛鳥・奈良時代に異常に女帝が多い理由を、「母系の通じて天皇家における蘇我氏の血を死守したかったから」という点から繙いた永井氏の観察眼には驚かされた。そうか、そういう見方があったか、という感じ。しかし黒岩重吾の『斑鳩王の慟哭』といい、本作といい、女帝たちは信じられないほど血統に固執する。それがいいことなのかどうかは別として、やはり自ら子を産む女性の性質がそういう風にさせる部分はあるのかもしれない。さらに、この時代に顕著な天皇家内部の複雑極まる婚姻関係が、血にしがみつくもう

    0
    2018年03月13日
  • 流星 お市の方(上)

    Posted by ブクログ

    織田信長の妹。当然だがお市の方を中心にはじまる。勝家は暑苦しい信長の家臣程度、秀吉などは殆ど登場しない。当時のお市の方の立場からすれば秀吉の存在などこの程度なのかもしれない。兄信長、義姉濃姫も尾張時代はとても近い関係だったが浅井家に嫁いでからは心の中存在になり信長の意向を考えながら浅井、織田の橋渡し役をする。無理に有名武将などを登場させずお市の方の視点から描かれているので臨場感が出て物語に引き込む文章力は素晴らしい。下巻では勝家、秀吉がどう絡んでくるか楽しみです。

    0
    2017年10月21日
  • 歴史をさわがせた女たち 日本篇

    Posted by ブクログ

    北条政子、淀君、天璋院・・・歴史上にいる魅力あふれる日本の女性たちに関する人物評伝。
    永井路子さんの軽妙で痛快な語り口が、「歴史」という言葉の重みをすっかり和らげています。多様性が認められにくい当時において、慣習に囚われない33通りの多彩な生き方が紹介されています。

    激しい嫉妬と怒りを執筆のエネルギーに変え私生活を暴露した道綱の母、次々と降りかかる火の粉をはらりと躱しながら涼やかに賢く長寿を全うした北政所、数多の非難を浴びながらも道楽者の夫のせいで逞しくならざるを得なかった日野富子など。血筋や財力や肩書では彼女たちは測れません。一人一人は普通の女性です。
    最後まで読んだとき、時代も生き方も異

    0
    2017年08月30日
  • 美貌の女帝

    Posted by ブクログ

    氷高の皇女ーのちの元正天皇の物語。
    話は、氷高の祖母である持統天皇の晩年から始まる。弟である文武、母である元明、そして自身の元正、甥の聖武の時代にかけて綴られている。

    天皇家の女性たちを中心としながらも、やはり政治の面になると欠かせないのが藤原氏。
    天皇家VS藤原氏の行く末に、歴史を知っていながらもハラハラドキドキしてしまう。

    改めて、藤原氏は狡猾というか、とても頭の良い政治家だったのだな、と思わざるを得ない。

    ところどころ、急に話が進んでしまうように感じるところもあったので、永井路子さんの文章が大好きな私にとっては少し残念。
    好きな時代だったこともあり、とても面白く、時代に引き込まれて

    0
    2016年10月05日
  • 美貌の女帝

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    のちに元正天皇となる氷高皇女が主人公である。
    著者によると、歴史的には地味な人物であるようだ。
    それでも、奈良時代に生きた彼女の壮絶な人生は小説にするに値する。
    妹吉備と長屋王の結婚、側近の裏切り、為政者であった当時の天皇の苦悩は計り知れない。
    自身の血筋を守るという大きな使命を背負い、巧妙な駆け引きが繰り広げられる。
    一人の女性として様々な思いを持ちながら、天皇という職務を全うした彼女の本当の思いはいかばかりだったのだろうか。

    当時は、腹違いの兄弟姉妹や、姉妹で伴侶が同じだったりと、家系が複雑で少し混乱してしまった。
    人物の関係性をしっかりと把握していれば、もう少し滑らかに読めて、ストーリ

    0
    2016年09月29日
  • 岩倉具視 言葉の皮を剥きながら

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    言葉の皮を剥きながら…。日本の言葉の7割は皮を被っている。だからその本質を知るためには丁寧な解釈が必要。そういうことか。


     永井路子が40年の構想の時間をかけて書いた、長期熟成歴史小説。ストーリー仕立てではなく、解説なので、硬い文章を読みたくない人にはお勧めできない。岩倉具視の概要を知った人が改めて好むべき作品。

     おもしろかった。岩倉具視のイメージが変わるし、やっぱり歴史に女の影響力があった。(堀河紀子)


    ______
    p12 馬車
     永井路子の歴史観。
     「一台の馬車に付けられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引っ張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめき合い傷つけあう

    0
    2015年08月09日
  • 美貌の女帝

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これは藤原氏が権力を獲得するようになる原点だと読める。蘇我の力が霞んでいく、そんな歴史物語。おもしろい。


     美貌の女帝:氷高の物語。持統天皇の孫で阿閉の娘である。



    ______
    p40 蘇我の血
     蘇我家の繁栄の始まりは蘇我稲目からである。欽明天皇以降約150年の天皇は蘇我の血を引く女を妃に迎えて続いてきた。今回の主人公の氷高もこの系譜である。

    p48 壬申の頃
     氷高の母:阿閉は天智天皇の娘である。斉明天皇の頃に白村江の戦で唐・新羅軍に敗退して、中大兄皇子は国内の支持を得られず、政治の中心地の飛鳥から近江大津宮に遷都して心機一転して天皇に即位した。
     天智天皇は唐風趣味を大いに取

    0
    2015年05月22日
  • ごめんあそばせ 独断日本史

    Posted by ブクログ

      めちゃくちゃ面白いです、永井路子、杉本苑子といういずれも1920年生まれの大熟女がかしましくも語る「ごめんあそばせ 独断日本史」。まるでその時代に生きて、まるでその人たちとしょっちゅう会っていたかのように語る、歴史上の人物の悪口三昧、こき下ろし。女たらしだの愚図だの、自己チューだの、デリカシーがないだの、世の中を見る目がないだの、好きだの嫌いだの・・・まあ次々と血祭りにしてしまうありさま。まな板に載せられたのは、紫式部、清少納言から始まって、平重盛、建礼門院、源義経、上西門院、後白河法皇、後醍醐天皇、楠正成・・・とまあ、きりがないほど。
      まあ女同士、とりわけ気に入らない女の話になるとそ

    0
    2014年05月13日
  • 美貌の女帝

    Posted by ブクログ

    百数年続く、天皇家の妃として名高い蘇我の女帝たちと、その皇位を奪おうとする藤原氏のお話。

    後に元正天皇となる氷高ひめみこを主人公に
    持統天皇、元明天皇、元正天皇、3人の女帝たちが活躍し、そして滅びるまでが
    壬申の乱、藤原京から平城京への遷都や、薬師寺建立などの史実とともに描かれていて大変面白かったです。

    薄紅天女の世界観がすごくよかったので、この時代のお話をもっと読みたいと思って本書に辿り着いたのですが、すごくよかった。
    貴族という華やかさの裏にある、血統を守るためだけに行われる政治。
    度重なる政略結婚、近親結婚で家系図が出てくるたび、蘇我氏の執念を見た気がしました。
    かと言って、藤原の側

    0
    2013年06月14日
  • 歴史をさわがせた女たち 外国篇

    Posted by ブクログ

    永井路子の本はほぼ読破しています。最も好きな時代作家。残念ながら手元に残っていない本を「読みたい」カテゴリ登録してるけど、かつて一度は読んだ(笑)。
    外国編は日本編よりずっと広く浅くですが、さわりとしては面白い。

    0
    2013年02月27日
  • 流星 お市の方(下)

    Posted by ブクログ

    戦国時代を生きる女性、信長の妹、お市の方の物語下巻。

    兄の手によって夫長政と息子万福丸は壮絶な最期を遂げ、三人の娘とともに織田家に戻ったお市の方。信長が本能寺の変で倒れた後、かつて毛嫌いしていた柴田勝家のもとに、織田家再興を心に期して再び嫁いでいきます。その後は歴史が語るとおりの悲劇。

    現代日本では、首をとったり串刺し磔にしたりはないけれど、残忍な争いは今も世界のどこかで続いていて、争いの裏にある政治劇は、あきれるほど変わっていません。そして、今も昔も複雑で捉えどころない人の心の動き。目の前にある事実をどう捉えるかだけでなく、目には見えない他人の心をどう読み解くか、そこから起こりうる未来を

    0
    2012年08月19日
  • 流星 お市の方(上)

    Posted by ブクログ

    夏休みの読書。このごろ実用書ばかり読んでいたけれど、たまには歴史物でも読もうかなと思って手にした一冊。物語の世界に一気に引き込まれ、久しぶりに心から読書を楽しめました。。。

    織田信長の妹としてうまれたお市の方。戦国時代を生きる女性は、戦にこそ参加しないものの、政治的な駆け引きや情報戦において重要な役割を担っていたことを改めて思い知らされます。夫浅井長政と兄信長の争いが激しくなる中で、自分自身の役割を思い、覚悟を決めていくお市の方。
    彼女が「良く見える目」をもっていたが故の苦しさが描きだされています。

    上巻は、いよいよ追い詰められた浅井長政が、援軍を待って時間を稼ぎ、信長を返り討とうとすると

    0
    2012年08月19日
  • 流星 お市の方(上)

    Posted by ブクログ

    戦国時代の各大名は、自分はこの大きさでよく、このまま安心していたくても、留まること許されなくて、成長し続け、進み続けなければ生き残れないところが、現代の上場している株式会社のようだと思いました。

    織田信長が決してスムーズに天下を取ったのではなく、とても危うい道をなんとか切り抜けてのし上がっている様子や、お市の運命も、結果は年表を見れば分かるのに、ドキドキしながら読みました。

    下巻が楽しみです。

    0
    2012年11月06日
  • 流星 お市の方(下)

    Posted by ブクログ

    兄と夫。二人の戦いに心をひきさかれるお市。やがて訪れる夫との別れの場面は必ず涙を誘われます。ひとたびは生きる道を選んだお市も、2人目の夫と運命を共にすることになります。彼女も生きることに疲れたのだと考えるのは私だけでしょうか。

    0
    2011年07月25日
  • 流星 お市の方(上)

    Posted by ブクログ

    織田信長の妹として生まれ近江の領主浅井長政に嫁いだお市。2人の間に生まれた娘たちの中には豊臣秀吉の側室淀君となったお茶々と徳川秀忠の御台所となったおごうがいます。この女性たちの系譜を思うとき、これは歴史が生んだ必然かもしれないという気がしてなりません。

    0
    2011年07月25日
  • 乱紋(上)

    Posted by ブクログ

    織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた—。おごうの生涯を描く長篇歴史小説。

    0
    2011年05月19日
  • 乱紋(上)

    Posted by ブクログ

    女のじめっとしたところがすごく書かれている。大河ドラマとは全然違うが人間ってこうかもなと思わされる。とくに女きょうだいはこうなるんじゃない。おもしろかった。

    0
    2011年04月19日