永井路子のレビュー一覧

  • 北条政子

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    大河ドラマの題材の元となった歴史小説は、年に一度読んでも良いなと思うくらい面白かった。強い女性、ファーストレディー、承久の乱前の演説のイメージしかなかったが、生々しく、嫉妬深く、ひたむきな女性としての北条政子が描かれている。『ひたむきで潔癖な大姫と頼朝はおそらく生涯平行線を辿るだろう。』

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    2022年03月08日
  • 北条政子

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    それにしてもすさまじい一生である。

    北条というと、頼朝のと血のつながる者たちが亡くなったおかげで幕府の実権を握れた一族。ただ、政子の立場からすると、長女は政略結婚の末の悲劇を嘆いて若くして亡くなり、長男は精神を病み、次男は長男の子どもに殺されるいったように、これ以上不幸なことはないというひどい目に合う。

    これらもすべて日本で初めての武士の政権の確立のために仕方が無かったといってしまえばそうなのだが、政子の中ではいかばかりの葛藤があったのか。本書では、そうした政子に思いを馳せる。

    物語は、実朝が殺されたところで終わる。自分の人生を狂わせた幕府を憎むこともあっただろうが、承久の乱では政子は幕

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    2022年03月06日
  • 寂光院残照

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    短編集。鎌倉幕府の中枢近くに位置した4人の人物を取り上げている。それぞれの人物像をうまく作り上げている。
    この時代のメインでない人物の小説はなかなかなく、読み応えある。

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    2022年03月03日
  • 源頼朝の世界

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     論考というほど難しくはないけど、ちょっとホネのある歴史エッセイ集。

     人物別に書かれています。「頼朝とその周辺の人びと」では、源頼朝、北条政子、比企尼と阿波局、頼家と実朝、北条義時。「逞しき東国武者」の部では、三浦一族、伊豆の軍団、武蔵七党。そして「西国の権謀家たち」として、後白河法皇、源通親、後鳥羽院と藤原定家。

     まず『つわものの賦』を読み、鎌倉時代の流れと永井路子さんの歴史観を知り、次に細川重男氏の『頼朝の武士団』を読んで、頼朝軍団の雰囲気とその攻防の緊張感を味わってからこの本を読んだ結果、この時代の理解が深まっていたおかげで、ラクに楽しく読めました。

     ただ本書は、雑誌などに発

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    2022年02月06日
  • 北条政子

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    大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観るにあたり、知識を補おうととっさに浮かんだ本作。政子自身の妻や母親の視点で書かれているが、鎌倉時代の大きな流れを理解するには適切な選択だった。
    『吾妻鏡』などの資料をもとに永井さんは政子像を描いている。そもそも女性は歴史資料に残っていないことが多く、「政子」と云う名も、三代将軍実朝の時代になり朝廷から官位を授かった際に、父の名から一字もらってつけられている。頼朝の時代に果たして”政子”とは呼ばれていたのだろうか。平家との争いだけでなく、乳母一族との権力争いも凄まじい。はからずも将軍の妻、そして将軍の母になってしまった政子が、子を愛したい、子に愛されたいと願いなが

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    2022年02月03日
  • 流星 お市の方(下)

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    この時代、武家に生まれた女性は、その家の女として戦国時代を生き抜いた。お市の方は、織田家の女として、信長に近い肉親として、誇り高く生き抜いた。

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    2020年12月30日
  • 流星 お市の方(上)

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    お市の方。戦国時代、お市は、織田家のお市として、またあの信長の妹として嫁ぎ、彼女なりに戦国の世で闘い抜いたのだということが、よくわかります。
    そうなんですよね、戦国時代では、今以上に、女性は、しっかりと自分の意志を持ち、強く生き抜いているんですよ。

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    2020年12月28日
  • 流星 お市の方(上)

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    お市の方の感情がすごく細かく描かれてて、ほかの本とはだいぶ違った描かれ方でした!また、解説や現代的な例えもあり、分かりやすかったです☺︎

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    2020年03月22日
  • 流星 お市の方(下)

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    浅井家が滅びるようとするなかで長政との愛憎半ばだが確かに愛し合っていた2人。浅井家に嫁いだ時も織田家に戻った時も信長とは違う方法で常に織田家を守る道を模索する。冷酷な長政、軽薄な信孝、鈍感な勝家と人物描写が素晴らしい作品でした。

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    2017年10月23日
  • 流星 お市の方(下)

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    戦国の武家の女たちが、外交要素を持ち実家と婚家のつながりを保ちつつ興隆を図る…とする筆者の主張を、主人公お市の方は全く果たしていなかった。
    連絡方法は取り上げられ、なすすべもない。特に実家から助が入ることもない。
    閨外交ですら思うままには進んでいないし、群雄割拠するあの時代の趨勢を見極めようという意思も感じられない。
    彼女より姉のお犬のほうが面白かったかもしれない。

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    2017年06月13日
  • 歴史をさわがせた女たち 日本篇

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    歴史をさわがせた女たち

    飛鳥奈良平安という私の好きな時代の歴史小説を普通の本屋で見つけるのは難しく、古本屋さんの方が魅かれるものが売ってたりします。
    なので古本屋さんを見かけるとついつい店内に入ってしまうのですが、そこで必ずと言っていいほど見かけるのが本書。
    なぜこの本だけこんなに世の中に出回っているの?しかも古本市場だけに。

    とはいえ、初心者用っぽく感じたし、古い本だから読まずにいたけど、これだけいつも見かけると気になるのでとうとう購入してしまいました。。

    歴史小説家永井路子さんの歴史エッセイです。
    どの章もさらりと読めて楽しめましたが、その中で静御前と神功皇后の章が印象に残りました。

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    2014年12月26日
  • 執念の家譜

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    「執念の家譜」…鎌倉時代・三浦光村目線による三浦氏の話
    「裾野」…曽我兄弟の話
    「信貴山落日」…松永久秀の話
    「群猿図」…長谷川等伯の話
    「裏切りしは誰ぞ」…小早川秀秋の話
    「関ヶ原別記」…宮部長煕と田中吉政の話
    「刺客」…山口重信の話

    「執念の家譜」では、三浦光村の妹・時子(という名で登場する)が、大江季光に嫁いでいるので、台詞はないものの大江季光の名前が登場する。

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    2014年05月18日
  • 女帝の歴史を裏返す

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    勉強になっておもしろかった。
    ただ江戸時代の女帝が薄かったかなぁ…。
    蘇我氏女帝説はなかなか説得的でおもしろい。

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    2013年07月07日
  • 岩倉具視 言葉の皮を剥きながら

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    読んだけど話が記憶に残らない!
    朝廷内の資料も元に怪物岩倉具視を
    丸裸に暴いてくれたんだとおもうのですが
    読みづらい!   2013.6.8

    2018.11.11 再読中
    あれ、知識が増えてるからか
    スラスラ入る!

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    2018年11月13日
  • 美貌の女帝

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    持統天皇の孫、氷高皇女のお話。
    スポットライトを当てる人物は永井路子らしく、いいところをついてるなぁ、と思います。
    生まれ、天皇となり譲位し、聖武天皇の補佐をするまでの一生。

    氷高皇女は静謐な美しく芯のある女性としてかかれています。
    個人的にはぱっとするところがあまりない気がするのですが、傍観者としての役割を果たしているのだと思えばその静かさもすんなりと受け入れられます。
    私はサイドの人物、特に藤原不比等と聖武帝がとても好きになりました。
    不比等は陰険であまり好ましくないような書かれ方をしているのですが、晩年に至るにつれて人間味のある人なんだなぁ、と思うと人の儚い悲しみを感じます。
    聖武帝も

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    2013年01月23日
  • 美貌の女帝

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    大好きな永井路子作品。
    今回の主役は氷高皇女。
    日本史上唯一の未婚の天皇。
    女性として 皇女として 天皇として
    一族の長として
    政治と戦いながらのお話しに引きづり込まれたが、後半はちょっと大雑把になったような…

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    2013年01月20日
  • 乱紋(上)

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    大きな文字の新装版、っていってるだけあって、読みやすくていい。浅井3姉妹の末妹を書いたお話で、姉妹仲がすごく悪いのがちょっと珍しい気がする。

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    2012年12月07日
  • 平家物語の女性たち

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    長らく『平家物語』を食わず嫌いしてきた。
    相変わらず『平家』そのものは読めていないが、こういう入門書?を手に取ろうと思っただけでも、進歩かもしれない(笑)。
    大河ドラマのおかげもあって、盛盛いっぱいの平家の公達も、ようやく何人かは「固体識別」ができるようになった。
    しかし、それでも、全ての人物を頭に入れるのは難しい。
    女性の人物を視点にしていることで、多少なりともとっつきやすいだろうか・・・。

    一族の滅亡に直面した人々の苦しみは、本書からも垣間見ることができた。
    筆者は、特に二位の尼(平時子)に思いいれが深いようだ。
    そして、建礼門院には、少し厳しい。
    その基準は、死に対する覚悟の深さのよう

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    2012年12月24日
  • 平家物語の女性たち

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    私にとって、平家物語はあはれの文学である。
    それは、源氏物語のあはれとは少し違う。

    自分の意思に関わらず、明らかに傾きつつある時代の、大きな渦に巻き込まれていった多くの人達の、時に栄華を、そして遂には偏に風の前の塵に同じ、、、を。

    けれど、やはり男側から見る平家物語は軍記物としての色合いの方が強い。
    その男たちの陰に隠れた、多くを語らない女達にスポットを当て、筆者独自の視点から見た平家物語がここにはある。


    とりわけ私は時子(清盛の妻)が好きだ。

    肝の据わった、覚悟ある人物は男であれ女であれ、傍から見ても気持ちが良い。

    壇ノ浦の場面の、神器と安徳帝を抱いて入水する彼女の姿には息を

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    2013年01月13日
  • 流星 お市の方(上)

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    お市の方は,織田信秀の十二男七女の中の一人,信長の異腹の妹である。自由で型破りなことが好きな信秀は,この風変わりな娘を特に愛した。当時,信秀の家格はさして高くない。そのころ尾張に勢力があった織田と言う家の家来である。もともと尾張の守護として入国してきたのは斯波氏で,織田はその被官に過ぎない。が,室町時代の末になると,斯波氏はすっかり衰え,織田がむしろ主人顔をしはじめた。その織田もその頃は分裂し,片や岩倉に城を構え本家を名乗れば,一方は清洲に拠って守護代となり,その城下に守護館を作って斯波氏を手元に引き付けておき,大義名分はこちらにあると宣伝する,といった状態である。信秀はこの清洲織田家の三奉行

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    2012年02月08日