【感想・ネタバレ】北条政子のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年02月22日

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で鎌倉時代に興味を持った。ドラマは北条義時視点だったが、本書は姉の政子視点で描かれている。
登場人物が多く、背景についての解説も少ないため、ドラマを見ていなかったら途中で脱落していたと思う。ドラマ視聴後の読書のため、登場人物の顔とキャラクターが生き生きと思い出されて楽しく...続きを読む読めた。

時系列としては、鎌楽幕府の成立が軸になっているが、小説のイベントは女の政子の視点なので、家族の出来事を軸に描かれている。そしてそれが面白い。よくある歴史小説とは異なり歴史上の人物が血のつながる家族であり、欲に振り回される人間であり、良かれと思った行動が地獄に続いている皮肉であり、渦中の人間の視野狭窄が体験できる小説だった。
物語というメディアは他者の人生を追体験するための装置なのだと思い知らされた。

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Posted by ブクログ 2022年08月15日

女性目線で描かれた北条政子伝。細かい心の動きが丁寧に描写されていて引き込まれます。
欲を言えば、実朝暗殺のところで終わってしまっているので、承久の乱まで見たかったというのはあります。

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Posted by ブクログ 2022年06月15日

歴史の授業でしか北条政子に触れてこなかった私は、鎌倉殿の13人で興味を持ち購入。

従来の冷たいイメージだった北条政子が、娘や妻、母として悩みながら生き抜く姿が生き生きを描かれていた。ちょうど鎌倉殿〜を見ながらの読書だったので、小池栄子の小気味良い政子像とも重なり、とても面白く読めた。

時代物は登...続きを読む場人物が多く、また名前も現代からすると難解に感じるので、途中から「この人どなたでしたっけ?」現象がよく起きるが、そこまで登場人物も多くなく、また大河も影響もあってすんなりと読むことができた。

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Posted by ブクログ 2022年05月20日

岩下志麻の政子役が懐かしい大河ドラマ「草燃える」の原作の一つ。永井さんの確かな史観による名作で、下手な解説書より分かり易く、読み易い。頼朝挙兵から実朝暗殺までの世の中。源氏の骨肉の争い、まるでヤクザの抗争のような血で血を洗う権力闘争の中で、妻・母・祖母、或いは一人の女としてオロオロし、葛藤する血の通...続きを読むった政子像が描かれる。考証緻密な歴史小説であると同時にドロドロの恋愛小説、残酷な家族小説でもあり、読み応えは十分。脇役の女たちの描き方もさすがで、大姫&静御前のエピソードなどは胸が締めつけられた。

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Posted by ブクログ 2022年04月26日

桜田晋也氏は政子が黒幕説をとっているが、永井路子氏は外野が黒幕で実朝が殺されたのは乳母同志の争いとのこと。
頼家、実朝が悪人のように書かれていて吾妻鏡は読む人によって歴史の流れは一緒なのに解釈が全然違ってくる。
桜田晋也氏はこれでもかと言うぐらい政子を貶め、極悪のように書いているのでこの本を読んで心...続きを読む安らぐ。大河にもなったようなのでソフトにかいてあるんだろうなぁ、

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月31日

頼朝の妻として、大姫、頼家らの母として
そして女としての政子。悪女との誉れ高き政子の生涯を永井路子先生の本で読んでみて益々2022年の大河ドラマが楽しみになった。

時代は平安末期の伊豆、あの政子にも女の子らしい悩みもときめきもあった。そして妻になり嫉妬に燃え、母としての様々な怒濤のような悩み、出来...続きを読む事。歴史上の女性であったとしても間違いなくひとりの人間、ひとりの女で、辛さも悩みも涙も私たちと何ら変わらない。辛い生涯を描くこの小説のそのまた後にも尼となり生き抜く逞しい女性に『悪女』というレッテルはまさしく似合ってしまうのか…。

永井路子先生の小説で私は日本史が好きになりました。

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Posted by ブクログ 2023年07月29日

愛する者のためにただの女で、妻で、母で、祖母でたまたま御台所だった。うまく歯車が噛み合わない。時代に翻弄されてしまったね。

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Posted by ブクログ 2023年04月02日

大河ドラマでこの時代と北条政子に興味を持って手に取った。頼朝との出会いから実朝暗殺まで、文庫本で約600頁、ボリュームのある作品だった。

昨年の大河が「マンガ日本の歴史」なら、こちらは少女漫画「北条政子」のようだったが、解説にも史実に基づいての歴史解釈がしっかりしているとあるように、改めてこの時代...続きを読むの出来事を少し理解できたように思う。

これまで北条政子は自分の子供を殺す冷酷な悪女だと思っていたが、現代とは価値観も死生観も異なる激動の時代を一生懸命生き抜いた聡明な女性というイメージも加わった。

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Posted by ブクログ 2022年12月11日

北条政子を主人公とした歴史小説。北条政子は悪女イメージが強いが、愛に生きた人と描かれる。北条政子の生き方は現代人にも刺さる。大姫の存在は現代人のメンタルヘルス問題にも通じる。

木曽義孝を殺されて心を閉ざした大姫を見て源頼朝は「大丈夫か」と尋ねる。政子は「わかりません」と答える。どう見ても大姫は大丈...続きを読む夫ではない(226頁)。「大丈夫か」は無意味な質問である。大丈夫との回答が欲しいだけである。それによって責任を回避しようとする心理である。

源頼家は蹴鞠に熱中した。若手側近達にも蹴鞠を練習させた。『吾妻鏡』は将軍家の公家文化への傾倒に批判的であった。二一世紀人は接待ゴルフや宴会、無駄な会議で仕事している感を出す人々に重ね合わせて批判できる。

「蹴鞠というしろもの、どうも現代のゴルフに似ているらしい。これをやると、何か高級なことをやっているような感じがし、しかもいったんとりつかれると熱病にかかったように凝りはじめる」

蹴鞠は当時の教養人の社交とする見方がある。接待ゴルフや宴会を肯定する昭和の感覚では、むしろ当時の人々にとって意味のある教養と頼家を支持するかもしれない。しかし、それは二一世紀の感覚ではない。ゴルフや宴会を重要なコミュニケーションの場とする昭和の感覚に反感を覚える改革志向の民間感覚を持った人々は『吾妻鏡』に共感できる。

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第二十回「家康への文」でも明智光秀は蹴鞠に興じる朝倉義景に対して、「何が蹴鞠だ」と怒る。ゴルフに興じて仕事をしない重役に腹を立てるビジネスパーソンの共感を集める。

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Posted by ブクログ 2022年04月05日

大河ドラマの影響で、北条政子その人に興味を持った。
政子の心の動きを細やかに捉え、鮮やかに描いている。
時代の波が容赦なく政子を悲しみに陥れる。
果たして本当に彼女は悪女だったろうか。
この本では政子を悪女としては書いていない。
一人の女、一人の妻、一人の母、一人の祖母として書かれている。
妬みや恨...続きを読むみ、裏切りや悲しい死に囲まれ、悪女になるなと言う方が無理である。
ただ自分のわがままや欲望のために生きた人ではなく、深い愛情を与え続けたにもかかわらず、報われなかった悲しい人生の人であった。
当然、最終的にはどのような人生として受け入れていたかは、政子本人にしか分からない。
それでも、同情したり、同苦せずにはいられなかった。
ただの歴史の波に飲み込まれてしまった人には思えなかった。
その悲しさの中でも、自分の行動に後悔しもがきながら必死で生き抜いた強い人だっただろうことが見て取れた。
少なくとも同じ人間なのだなと、どこか身近に感じてしまう。

女性が書いているので当然なのだが、文章の印象がすごく女性的であった。
ページ数は600近く気後れしそうになるが、実際は改行も多く、文章が柔らかいために長く感じなかった。
むしろ残り少なくなってくるにしたがって、どう着地させるのかと楽しみであった。
終始、一貫した政子の印象のまま着地されていて、その余韻がまた色々と想像させてくれる。

大河ドラマの予習にもなったのだが、今後どのように政子を描いていくのか、比べる楽しみが増えた。

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Posted by ブクログ 2022年03月08日

北条政子。まさに波乱万丈の生涯であった女性の物語である。夫である頼朝、大姫、三幡、頼家、実朝、そして公暁と次々と身内をなくしていく。
母であり、女である政子は、最後には尼将軍として、京の都に対抗すべく、坂東武者の世の中を支えていく。

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Posted by ブクログ 2022年01月26日

教科書に記載されてる退屈な字面以上の意識しか無かった鎌倉時代が、政子の嫉妬や愛情、後悔など生身の人間感を通して一気に立体的に色がついたイメージに変わった。

おかげで、鎌倉時代からそれ以前の時代物も興味を持てる様になった。

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Posted by ブクログ 2021年12月28日

日本3代悪女と言われた北条政子だが、本当は自分に素直で情が深い人だったんだと思いました。その情から生涯悲劇を招いたようですね。ふと思ったのが、夫の源頼朝が長生きしたら悲劇が繰り返され無かったのかも。また、頼朝の浮気癖がかわいい。

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Posted by ブクログ 2021年10月21日

学生の頃から存在は知っていたんですが、「女性が書く戦国物(鎌倉ですが)は女性寄りの恋愛絡みのものになるから読みたくない」という偏見のもと、読まないままでした。炎環を先に読んでたら、絶対に読んでた、とは思う。
とはいえ、偏見はそんなに外れてなかったかな、と。
今、自分が歳をとったから、夫との関係、子供...続きを読むとの関係も共感しながら読めるけど、学生の時に読んでたら、理解出来なかったと思う。
女の立場から見た、家族の安全のみのことしか考えてない主婦的なものではなく、自身をとりまく政治関係までちゃんと理解した御台様としての視点も描かれていたの良かった。
「女性的な見方」というのは、今までの社会の「妻はこうあるべき」という偏見から生まれたものであって、悪女というのもその視点から生まれた物なんだろうな、と反省もしました。政治に口を出して社会を惑わす悪女、というのは男の世界に口を出すな、の現れだけど、それが社会を維持するための口出しなら、それは男も女も関係ない。ただ、男がプライドのために「口出しするな」と言っているに過ぎない。
政子が深層の姫君ではなく、黎明期から共にしたからこそ、家々の立場を理解して立ち回ってるの、凄いと思う。女性であることも捨てず、社会の役割を果たす。戦後書かれた小説なのに、今の女性進出の世相をよく現しているように思う。
そしてどこの鎌倉を読んでも、「三郎兄さん…好き…♡」てなるので、ほんとに良い人は早く死んでしまうのね…とつくづく思う。
来年の大河、楽しみです!

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Posted by ブクログ 2023年07月11日

政子は女としても妻としてもまずまず幸せだったのではと思う。大恋愛の末結婚し、夫は浮気はするも夫婦仲はいい。
ただ、全ての子どもに先立たれ、母としては悲惨としか言いようがない。
しかし政子が政治の表舞台に顔を出すのは夫も子ども達も全て失ったあと。尼将軍になった後の様子を知りたかったけど、この小説は実朝...続きを読む暗殺までしか書かれていばい。残念!

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Posted by ブクログ 2022年12月20日

『鎌倉殿』ロスに供えて読み始めました。
1979年の大河ドラマ『草燃える』は、この『北条政子』(1969年刊行)と『炎環』(1964年刊行)が原作。

中学生の頃に一度読んでいるんですが、嵐の中、政子が頼朝の元へ走っていくのが冒頭と記憶していたらちょっと違いました。

そのほか、実朝が造らせた船が海...続きを読む辺で朽ちてゆき、泣き声が聞こえると人々が怯えるんですが、実は公暁と駒若がイチャつく声だったという場面が印象に残っています。
(竹宮惠子が少年愛というジャンルは確立していましたが、BLシーンはまだめずらしく、中学生だったので衝撃的でした。)

あとはほとんど覚えておらず、行き遅れの政子が「体をもてあます」とか、頼朝との逢瀬とか、あー、そうかこのへんが苦手で、その後、時代小説へと向かわなかったんだと思い出しました。
(時代小説ってなぜお色気場面がお約束なの?)

全体的に政子は気が強いけれど、悪女ではなく、時代の中で政治に巻き込まれてしまった孤独な女性として描かれています。
比企討伐が息子頼家を若狭局に取られた政子の嫉妬を契機としているように、女を強調しすぎてる感はありますが、書かれた時代的にはしょうがないのかも。

宗時兄にブラコン気味だったり、四郎義時は無口で愛想がないと書かれていたり、『鎌倉殿』とのキャラクターの違いとか、事件をどう描くのか比較しながら読むのがおもしろかったです。
実朝暗殺の黒幕が三浦義村となっているのは当時としてはわりと斬新な解釈だったのではないでしょうか。

承久の乱の政子の演説ではなく、実朝暗殺までで終わっているので、政子の孤独が際立つラストだなと思います。

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Posted by ブクログ 2022年07月22日

人の人生にはいろいろな側面がある。この「北条政子」に関しては、愛した男であり冷徹な武家政権の創始者である頼朝との夫婦の愛憎を前段として、その子達との関係について、よくある母親の娘や息子・孫への深い愛情や絶望等を、頼朝の妻でありその子であるという特殊な立場にまつわる結果として、女性作家の目から抉るよう...続きを読むにリアルに表現する。
これほどの母親の想いや悲しみは男には描けないだろう。
前半の頼朝による北条家との旗揚げや鎌倉幕府の御家人体制構築等牧歌的な創業の空気が後半になり、幕府成立後一気にシリアスな内部抗争と親子の確執へと急展開する。「明の静」から「暗の動」への転換も読む人を引き込みこの物語をより面白くする。
大姫、頼家、実朝そして孫の公暁等母親・叔母として政子の彼らへ深い愛情がその深さ故に幾重にも屈折・乱反射して繰り返しの悲劇を生む。
武家政権誕生の歴史的場面における、それを共に実現した女性の赤裸々で人間的な心の物語である。

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Posted by ブクログ 2022年03月08日

大河ドラマの題材の元となった歴史小説は、年に一度読んでも良いなと思うくらい面白かった。強い女性、ファーストレディー、承久の乱前の演説のイメージしかなかったが、生々しく、嫉妬深く、ひたむきな女性としての北条政子が描かれている。『ひたむきで潔癖な大姫と頼朝はおそらく生涯平行線を辿るだろう。』

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月06日

それにしてもすさまじい一生である。

北条というと、頼朝のと血のつながる者たちが亡くなったおかげで幕府の実権を握れた一族。ただ、政子の立場からすると、長女は政略結婚の末の悲劇を嘆いて若くして亡くなり、長男は精神を病み、次男は長男の子どもに殺されるいったように、これ以上不幸なことはないというひどい目に...続きを読む合う。

これらもすべて日本で初めての武士の政権の確立のために仕方が無かったといってしまえばそうなのだが、政子の中ではいかばかりの葛藤があったのか。本書では、そうした政子に思いを馳せる。

物語は、実朝が殺されたところで終わる。自分の人生を狂わせた幕府を憎むこともあっただろうが、承久の乱では政子は幕府を救う。本当に強いひとなんだと思う。

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Posted by ブクログ 2022年02月03日

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観るにあたり、知識を補おうととっさに浮かんだ本作。政子自身の妻や母親の視点で書かれているが、鎌倉時代の大きな流れを理解するには適切な選択だった。
『吾妻鏡』などの資料をもとに永井さんは政子像を描いている。そもそも女性は歴史資料に残っていないことが多く、「政子」と云う名も...続きを読む、三代将軍実朝の時代になり朝廷から官位を授かった際に、父の名から一字もらってつけられている。頼朝の時代に果たして”政子”とは呼ばれていたのだろうか。平家との争いだけでなく、乳母一族との権力争いも凄まじい。はからずも将軍の妻、そして将軍の母になってしまった政子が、子を愛したい、子に愛されたいと願いながらも立場上許されず、夫の頼朝や大姫ら4人の子供と孫にまで先立たれてしまった悲しみに胸が痛んだ。
小説に登場する人物たちに、ドラマで活躍する役者の顔を重ね合わせて一気に読み終えることができた。

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