永井路子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
祇王・祇女、仏御前、横笛、千手前、二后、健礼門院、二位尼……
『平家物語』に登場してくる、名脇役から主役級までの女性たちについて、小説家・永井路子が解説してくれています。
作中の女性たちの実在不在がどうなのか、また彼女たちの言動が虚実どちらなのかは問題にせず、「なぜその役割を担わされて作品に登場してきたのか」を検証していることがおもしろい。と思うのです。
横笛や千手前の物語は河村恵利さんのプリンセスコミックス「歴史ロマン」シリーズでも楽しみました。
『平家物語』のリズム感が好きで、機会があれば音読したりさせたりするのですが、物語の展開上、女性の描かれ方はあまり好きではなかったのです。地に足つ -
Posted by ブクログ
ネタバレお江を中心に話は進んでいくものの、お江が何か積極的に動いたり、苦悩したりするわけではない。ハラハラしているのはいつも侍女で、最初から最後まで傍目には「どんくさい」女性、何を考えているのかわからない人、むしろ「考えたことがあるの?」という印象が残った。
周囲の環境だけがめまぐるしく変わっていく(豊臣政権→徳川政権への時代の変化、3度に渡る婚姻)が、全てに抗うことなく受け入れることで、最終的には栄達に達したお江。
運命に抗って生きることより、運命を受け入れて、ありのままに生きていくことへの道を示したのだと思う。
(よく言えばそうなるが、悪く言えば、ただ運が良かったどんくさい人、という印象が -
Posted by ブクログ
浅井三姉妹の仲は決して良いわけではなかった。
それを前提に江姫の侍女である おちか を主人公として物語は進んでゆきます。
結果として、骨肉の争いに至らんばかりの渦巻く煩悩に振り回されるおちかのストーリーにドロドロ感を否めない内容となっていますが、逆にリアリティさはヒシヒシと伝わってきます。
この小説は江姫をメインで描いているものではありません。
が、浅井三姉妹の茶々、お初、そして江姫のそれぞれの人生のなかで、江姫を中心に彼女たちの周りで起こった出来事を深く理解することができました。
また、永井路子さんが独自の視点で展開をする、
『歴史のたられば推論』
には、思わず目を見張るもの