永井路子のレビュー一覧
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永井路子による「お江」は、華やかな歴史のヒロインとしての一般的イメージからはほど遠いかもしれない。初めて読んだときはわたしも意外に思った。がしかし、元々少ない資料しか残っていない彼女の姿が、戦国という時代背景をいちばんの手掛かりとして十分に考慮し、淡々と、それでいて生々しく描かれているのが、永井路子のお江なのである。納得しながら読み進めた。
上巻は、お江の嫁入り話から始まり、秀勝と死に別れるところまで。なかでも佐治与九郎一成との心の通じあいのエピソードが美しい。当然永井女史の創作であろうが、穏やかな海風のようにそっと寄り添うふたりの人間愛が心地よい(それもふたりの血筋と生い立ちから綿密に組み立 -
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おごうの二番目の夫・秀勝が亡くなり、岐阜城を明け渡すことになる。新城主は子供の頃、秀吉が担ぎ上げた三法師として知られた秀信。
おごうの侍女のおちかは謎の男「ちくぜん」と城下で再会する。
身重のおごうは大阪へ出向くが、やはり妊娠中の茶々からは沙汰もない。
無事に生まれた後になって呼ばれるが、前より綺麗になったおごうを見る秀吉の目が気に入らない様子。
やがて、秀忠との間に縁談が。
おごうの娘おきいはすくすくと育ち、茶々の養女に迎えられる。
秀忠は17歳。
文武の修行を毎日怠らない律儀な男。
おちかの目には平凡と映るが、並べたところが実はお似合い。
側室を持たなかったことでは有名だが、実は浮気はして -
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浅井三姉妹の末娘・江(ごう)を取り上げた小説としては、初期の物ではないでしょうか。
三姉妹は18、16、14という年齢のときに、まず江の結婚話が。
年齢設定が他と違うのは、資料によるんでしょうか?
浅井長政が籠城中に生まれたのは確かなんでしょうね。
華やかでお喋りな次姉の初が京極家へ。
これはどちらも浅井家の姫としては格が低い結婚だとか。
外堀を埋められた後で、プライドの高い茶々が秀吉の側室になっていきます。
主におごうの侍女のおちかの視点から、気を揉む様子が語られます。
侍女の感情はわりと喜怒哀楽はっきりしていて現代風なので、ちょっと下世話な詮索が多いけど~わかりやすくはなっています。
上の -
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乱紋下巻です。1日で一気に読み終わりました。上巻で感じた時と同様,今まで私が見てきたお江の方のイメージとは違った描かれ方をしていました。特に家光の乳母春日局の見方に納得がいった感じです。言い伝えとしてはお江の方が国松を寵愛したとされていますが,本書では春日局が勝手に利発な(家光は口数が少なかった)国松に敵対心を燃やす自分が悲劇のヒロインを演じることによって生きがいを得るタイプだったというように描かれています。
今まで見聞きしてきた国松は直接お江の方が育てた,というのも違うと,著者はきっぱり否定しています。歴史小説やドラマ等は史実を元に描いているフィクションであり,見方が変わればその人も変わ