永井路子のレビュー一覧
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炎環、北条政子と読み、すっかり永井路子さんの書く東国武士の世界に引き込まれている。
本書は小説ではない。頼朝の挙兵に始まり、周囲の東国武士達についての彼女なりの考察書のようなもの。
彼女も中で何度も言っているが、吾妻鏡やその他の資料を何度も読み返し、歴史学者とは違う小説家として、その時代の背景や心情を考えながら謎を紐解いていく。そのアプローチがとてもわかりやすく面白く読める。40年以上前に書かれた文章とは思えないくらい、色鮮やかに頭の中に情景が広がる。
すっかり永井路子さんの世界に入り込んでしまった。
昨今の大河ドラマを見るにあたって、自分の予備知識も広がる。
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Posted by ブクログ
鎌倉草創期、頼朝から義時までの、東国の独立と基盤づくりに伴う駆け引きや血の応酬、読んでいると古今東西、時代の変わり目に繰り返される一つの雛型のように思えました。文中で著者みずから何度も言及されているとおり、(細かな史書の読み込みを踏まえてはいるものの、)学者としてではなく小説家としての想像的視点で書かれていることや、40年以上前の著作であることは踏まえておかなければならないかもしれません。それでも、とにかく面白い。事実がどうだったかなんて所詮後世の人間には推測することしかできないとすれば、永井路子さん流の鎌倉はすごく面白いです。小説よりも面白いかも。
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ネタバレ頼朝の妻として、大姫、頼家らの母として
そして女としての政子。悪女との誉れ高き政子の生涯を永井路子先生の本で読んでみて益々2022年の大河ドラマが楽しみになった。
時代は平安末期の伊豆、あの政子にも女の子らしい悩みもときめきもあった。そして妻になり嫉妬に燃え、母としての様々な怒濤のような悩み、出来事。歴史上の女性であったとしても間違いなくひとりの人間、ひとりの女で、辛さも悩みも涙も私たちと何ら変わらない。辛い生涯を描くこの小説のそのまた後にも尼となり生き抜く逞しい女性に『悪女』というレッテルはまさしく似合ってしまうのか…。
永井路子先生の小説で私は日本史が好きになりました。 -
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「信と不信」の狭間で揺れ動くガラシャの描写がとても好きです。「信と不信」はこの物語の核でもあり、光秀、忠興、キリスト教、そして最後に自己を信じるか否か、その心理描写が内省的でありながら軽やかな筆致でつづられています。
「見つめることは傷つくこと」、「互いに愛し合っていた故に別の世界にいることを確かめあってしまう」など、何度読んでも心に刺さる文章が多いのも特徴です。
忠興との関係もどちらかが一方通行なのではなく、理解しあい、尊重したいと思うたびに相手と自分の幸せは違うのだと痛感してしまうとがとても苦しい。愛し合っていても幸せになれないところが細川夫婦の描写としてとても素晴らしいなと思います。 -
Posted by ブクログ
初めてコレ系の本を読んでみたんだけど、おもしろーい! サクサク読めてしまう。とくにヨーロッパ編は殆どみんな親戚みたいな感じで、その中で骨肉の争いをするのだけど、そこに理性的じゃないもろもろが組み合わさって! かと思えばやり手の女王がいたり。それがまたしたたかで…!
ちょっと歴史を学べて、暇つぶしにも大いになって楽しめて。
男性編なんてあってもそんな注目を浴びないんじゃないかな。というか反感もの? だってお嫁さんにしりに敷かれる男性貴族とかを読んでる方が楽しいもの。奥さんをやり込めちゃう旦那さんの話よりも、男を手玉に取る女帝的な人ってやっぱり言いようのない魅力があるな。悪女でもいいし、そうでなく -
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本棚から引っ張りだして再読。大河ドラマを見るために読み返す。
古本市で買ったので、かなりの古さ。昭和47年に書かれたもので、戦争を体験した女性たちと平家の女性たちをダブらせて書いてある。
平家物語にはあまり女性がでてこないらしいが、その少ない人たちにスポットを当てて書いてあり、かなり興味深かった。
この女性たちは大河ドラマにはほとんど出演する可能性が薄い人が多かったが、その夫とか恋のお相手が平家物語の主人公たちであり、そちらの男性たちについても書かれている。
最後に気になる、建礼門院徳子のその後であったり、二位の尼時子の話もあるし、これから大河ドラマが楽しくなりそうだ。