あらすじ
京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、またたくうちに関東の野をおおいはじめた。鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭――その裏には、彼らの死にもの狂いの情熱と野望が激しく燃えさかっていた。鎌倉武士たちの生きざまを見事に浮き彫りにした傑作歴史小説にして第52回直木賞受賞作!
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4作からなる短編集。全成から見た頼朝。梶原景時から見た頼朝。保子(鎌倉殿では実衣)から見た政子。時政から見た小四郎。ちょうど今、鎌倉殿の13人を見てるから、それぞれの人物から見た頼朝像や政子像がわかって、面白かった!
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TNさんのお勧め。
「この世をば」と同じ作者。
鎌倉幕府創世期を、4人の主人公、
頼朝の異母弟全成、御家人筆頭の梶原景時、
政子の妹保子、そして北条義時の視点から描かれていた。
現在進行形で見ている大河ドラマの先達として読んだ「この世をば」とは違って、
今回は既に見た大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を思い起こしながら読むことになった。
すでに顔が判っているというとおかしな表現だが、
俳優さんをあてはめて読んでいけるので、登場人物が把握しやすかった。
もちろん、演じていた俳優さんを思い出せずに、誰だったか気になって調べてしまう人もいた。
ドラマとこの本の人物像の違いはそのままに見た目はドラマで見た俳優さんの姿を借りながら、
それはそれ、これはこれと二重焦点で読み進めていくのは、
不快ではない不思議な感覚だった。
自分がこの時代に詳しくなく、大河ドラマで詳細を知ったための勝手な感覚だとは思うが、
この作品での人物像の描き方が自然体でかつ確固としたものだったからだろう。
面白かった。
気になったのは。途中でさらりと「独裁好きな日本人の歴史の中で」と書かれていたこと。
逆かと思っていたので、そこを詳しく解説してほしい。
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オムニバス形式。
一つの出来事でも、異なる視点から見れば異なる解釈で意義を見出すことができる。
今まで薄らとした流れしかわかっていなかった鎌倉時代の解像度が鮮明になった。
人の名前がなかなか入ってこず、大河ドラマ観ておけばよかったとちょい後悔。
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大河ドラマの鎌倉殿とちょうど重なる時期。
鎌倉幕府創世期から承久の乱まで。4人の人物の物語で紡ぐ。
あとがきの
「一台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけ合ううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく」歴史を描いた、が全て。
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鎌倉殿が始まった頃に買っていたのにずっと積読に。
基本的になんであれ映像化は好きじゃないのだけど、でもこちらはドラマ後に読んでも大変良かった!
源頼朝はともかく、その周辺人物像がいまいちわからなかったから、全て把握している今なら知識不足と理解不足に悩むことなく読み進められた。
全4章の構成は
•全成
•梶原景時
•北条政子の妹(今作中での名は保子、ドラマでは実衣)
•北条時政と義時
それぞれから見た鎌倉幕府の成り立ちや内情が描かれていて、どうしてもそこまで細かくは描ききれないドラマの脚本の隙間にある感情や事情が読み取れて面白かった。
三谷幸喜さん絶対これを参考資料にしてるよな〜、、というよりこの本が主軸よな〜と思うほどあのドラマにしっくり過ぎ(笑)
永井路子さんすごい!読ませる!
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鎌倉の十三人を観て北条一族のことをもっと知りたくなりました。
いきなりたくさんの武将の名前が出てきて困惑しました。
読む本の順番を間違えたかも。
第一章は全成、第二章は梶原景時、第三章は保子、最後は北条時政と義時。
それぞれ目線を変えていてとても面白かったです。
しかし保子ってしたたかですねー。恐ろしいわ。
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大河ドラマが面白かったので、関連書籍として読んでみた。
登場人物が多くて関係も複雑なので、ドラマを見ていなかったらきつかったと思う。ドラマのおかげで登場人物の顔とキャラクターが自然と浮かび、映像として脳内に再現できた。
小説の構成も面白い。連作短編のようでいて、そうでもない。同じ時間軸のできごとを複数視点で描いている。また、歴史上で有名な頼朝と政子は中心でないところも面白い。頼朝と政子の周辺で生きている脇役たちの内面描写が人間味があり、歴史上の立派な人物ではなく生きている人間として感じられる。
大河ドラマとは微妙に異なるキャラ設定や、事件の時の動き方なども面白かった。作家によって同じ事件から違うストーリーを見つけ出すのだなと、妙に感心させられた。
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大河の元ここから? 頼朝のことが相変わらずイマイチ分からずポックリ逝ってしまうのだけど。周囲の人たちそれぞれが主役になって描かれてる源氏と北条家のその後。ぼんやりイメージのあの人が、何気に策士だったようにも思える。
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鎌倉幕府を開いた源頼朝、それを支えた北条家ら、まさに鎌倉殿の13人の世界を描いた小説。ドラマの記憶があるから人物像も浮かびやすい。頼朝の孤独、周りから見ればつかみどころのなさ、周囲を振り回す存在なのは鎌倉殿の13人と共通するような気がする。
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1964年下半期の直木賞受賞作で大河ドラマ『草燃える』の原作のひとつになった作品だそう。鎌倉幕府創成期のお話。
『草燃える』は観てないので、やっぱり『鎌倉殿の13人』が思い浮かぶ。人物像が全然違うのかな?と思っていたけど、案外、自分の持っていたイメージと遠からずだった。
章ごとに主役が変わり、それぞれ全成、梶原景時、北条保子(阿波局)、北条義時を中心に語られる。読み始めは、拍子抜けするほどあっさり話が進む。でも同じ出来事を視点を変えて語られるごとに厚みが増していき、読み進むほどにこの小説の凄さを感じた。
ドラマ観てたから、すごく面白かった。
文章は読みやすいけど、登場人物も多いし予備知識ゼロだとちょっと難しいかなと思う。
Posted by ブクログ
1964年の直木賞受賞作品。鎌倉時代の歴史小説。物語は四つに分かれそれぞれ阿野全成、梶原景時、北条政子と保子姉妹、北条四郎義時を中心に描かれている。冷静な描写と表現は歴史小説というより、ノンフィクションを読んでいるよう。全てを読み終えると鎌倉幕府、源頼朝、北条家などが立体的に浮かび上がってきて面白い。ただ歴史に造詣が深くないと少しハードルが高くなるのだけが残念(←私だ)。
同じ直木賞受賞作品で、松井今朝子「吉原手引草」が少し似た構成で物語を魅力的に読ませていたのを思い出した。
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武士政権として誕生した鎌倉幕府ですが、これまでは源頼朝が「坂東の武士たちよ我についてこい」的につくったとものだと思っていました。
しかし、この本を読んで頼朝の辣腕以上に頼朝の取り巻きの者たちの権謀術数が幾重にもかさなり、それがつながった結果できた幕府なんだと自分には思えました。
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2022年NHK大河ドラマ、鎌倉殿の13人関連の一冊として。
好きな鎌倉時代を改めて読む。
頼朝嫌い、北条嫌いは変わらないが、歴史を身近に感じて面白かった。新たな人物発見にもなった。
やはり歴史の影に女性あり!
政子の妹の阿波局が気になる!
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読み終えると表題がしっくりきます。炎(命)の交わりと終わりなき連鎖。時には真っ赤に、時には青白く、勢いよく燃え上がったと思えば消えてゆく。其々の思いから発せられる言動が連鎖して一つの流れをつくり、それらが絡まり合って時代を作る。鎌倉の中枢で生きる人々の生き様を個々の視点で見せる物語です。
人の思いの暗部にそれとなくスポットライトをあてた様な文面はホラー小説を読んでいるかのようなゾワッとした気持ちにさせられます。
阿波局(保子)は助演女優賞級のいい味出してます。
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4つの短編のようで、独立していない感じ。
視点を変えればこうも見かたが変わるのか。
1番好きなのは「いもうと」です。政子と保子の微妙な立ち位置の変化がじっくりと描かれています。こういう人物の味わいを掘り下げられるのは、やっぱり映像ではなく小説だなと思うのです。
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大河ドラマ鎌倉殿の13人で登場人物のキャラが印象に残っているうちに読んだ。
悪禅師(阿野全成)・黒雪賦(梶原景時)・いもうと(保子=ドラマでは実衣)・覇樹(北条義時)の4編からなる直木賞受賞作。
悪禅師では亀の前騒動・義経追討・範頼殺害、黒雪賦ではまだごく初期に敗戦して隠れている頼朝見逃し・上総広常謀殺・義仲追討・義経を頼朝が嫌った原因は京好みの自分を差し置いて院に接近したことと説明・御家人66人からの弾劾状、いもうとでは婚約者義高の誅殺と大姫のやまい・比企一族殺害と頼家出家ねつ造・実朝と公暁・4代将軍三寅の世話人に保子がなったこと、覇樹では和田義盛とのいくさ・畠山重忠と稲毛重成とのいくさ・時政の追放・承久の乱「御家人の謀反ではない。上皇さまこそご謀反あそばされたのだ」、そして死亡。
改めて大河ドラマ鎌倉殿の13人がたくさんのエピソードを実に魅力的にうまくとりいれていたことを感じさせた、なんてったって直木賞の小説よりも描写が生き生きしてたのだから。しかし、あの大河ドラマがなければ、よくぞここまでコンパクトにおもしろくまとめたなあと思う。この小説を読んで、義時はほんと本音というか欲を出さずに生きてきたので、よくぞ彼を主人公にあそこまで面白いドラマが書けたものだと感嘆。あとどこにでも出てくる闇のキーパーソンが三浦義村。
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【きっかけ・目的】
令和4年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連で永井路子の著作の広告が出ていたので思わず購入してしまう。
【感想】
連作短編にとなっており、頼朝挙兵からその死、承久の乱までを主役を変えつつ時系列に物語が展開している。
今まで源平合戦の時代を注目することがなかったのであまりに大河ドラマの筋に沿っていることに驚くが、こちらが先の作品なのだ。
作者の慧眼が目を引くが、ストーリーとしても源平合戦から鎌倉初期の時代についてよく理解できる内容だ。
【終わりに】
大河ドラマも後半に移っていく。特に個人的には政子姉妹と阿野全成の最後の描かれ方が気になる。
この小説のように野心があったのか、どうなのか。楽しみだ。
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いい時期に読むことが出来ました。
「鎌倉殿の13人」で阿野全成最期が放送されたこの時期に読めて良かったです。
なるほど、阿野全成と若狭局のイメージは、これまでこのようなイメージだったのか。と思いました。
私はてっきり北条政子が主役の作品だと思っていたので、"脇役"だったのは意外でした。あと人物造形も。
「北条政子」の方でもこのキャラでいくのかな。それを楽しみに、「北条政子」も読んでみたいですね。
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鎌倉殿の13人が面白くなるための小説。違う角度で登場人物を照らしてくれるが、史実は覆せないので共通したイメージも強い。昭和40年の直木賞作品がこんなに新鮮だとは。
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今放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(三谷幸喜)はこの小説をベースにしてつくられているのではないかと思える程、史実や想像・創作の細かい微妙なところまで整合している。
しかし、頼朝・政子に最も近い全成と安子夫婦の心の動きを深く抉った「悪禅師」と「いもうと」はドラマでは決して表現できない凄みがあり、作者の思考の深さ繊細さの真骨頂をみる。
意志を面に出さない、顕揚への反感、時間をかけて熟成し、状況が熟れるのをひたすら待つ---。
簡潔なあとがき「この四編は、それぞれ長編の一章でもなく、独立した短編でもありません。一台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引っ張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆくーそうした歴史というものを描くための一つの試みとして、こんな形をとってみました。」がすべてを表している。
厳選し言葉を削いで表現し、心の底の複雑な思いを汲み取り、歴史を人それぞれの思いから丁寧に描写する、リアルで躍動感溢れる素晴らしい作品である。
Posted by ブクログ
おもしろかった!
大河ドラマはみていないが鎌倉時代当初についてをよく理解することができた。
登場人物全員が時代に翻弄されている。正解が何かが端からみてもわからない。
諸行無常の響きありとはよく言ったものである。
50年以上の前の作品だが古さを全く感じない。時代小説の魅力だなあ。
Posted by ブクログ
★3.5のおまけ。
大河に触発されての再読、全然覚えていない。でもこれからの大河進行に向けて格好でした。内容も面白いし、この作家と大河の脚本家の見方の相違がこれからもっと出てくるだろうし。
いやいや、こういうのは読書の愉しみのひとつですわ。
全成、梶原景時、阿波局、北条義時、を主人公にした短編小説です。それぞれの主人公から見た頼朝や政子が、新たな視点で描写されていて、この時代の理解が深まった感じです。
それにしても、幸せって何なのかと、頼朝や政子は幸せだったのかと・・・、思ってしまいます。権力は得ても、疑心暗鬼ばかり、身内が身内を滅ぼしてばかり、で・・・。
Posted by ブクログ
1964年の直木賞受賞作です。
大河ドラマの原作にもなっています。
おそらく史実に忠実に、でも、感情面は作者なりの解釈で描かれていると思います。
鎌倉幕府がいかにして成立したかが、よく分かりました。
Posted by ブクログ
鎌倉殿の13人に影響されて読みました。 戦国時代と違って基礎知識が少ない為登場人物が多いとその人物の貢献度がイマイチわからない。 登場人物の樹形図が欲しいところ。
Posted by ブクログ
久しぶりの永井路子さん。
苦手な時代だが、大河ドラマで少し触れたので挑戦してみた。
が…やはり前半はページが進まず苦しみました。
全成、景時、保子、などの目線での短編集のよう。
感情移入し始めたところで次の人に移ってしまうのが、長編好きとしては辛い。
ただ歴史というものは、こうやってそれぞれの人の中に、自分なりの軸があるのだなと、改めて感じることが出来た。
そして永井路子さんは、特に女性の描き方が上手くて引き込まれる。