荻原規子のレビュー一覧
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(No.14-8) 荻原規子さんの源氏物語。一~三をまとめて書きます。
源氏物語が長すぎるので、読みかけて途中脱落する人が多い。だからともかく全部読んでもらうために、荻原さんは枝葉を取っ払って幹だけにしたこの本を書いたとのことです。
長くて読みきれない人が多いらしいとは聞いていたけど、私にはそれほど長いとは思えないの。
何十年か前なら確かに長い小説と言えたかもしれないけど、今は何巻にもなる小説が当たり前にあるもの。特にファンタジー小説は長いのが多い。
私も、原作はとても全部は読めてないけど、翻訳したのなら何種類も何度も読んでいて、これが何で長いんだ?と不思議な気がしてます。
まあこの短いバ -
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作者が意図しただけあって、
展開に流れがあって、物語に惹き込まれ易い。
大胆な巻の省略が上手く機能している。
絵合わせ、香比べ、書比べと、
優美で典雅な世界に魅了されつつ、
そこに潜む人間批評のスリルにドキドキする。
しかし、自分の愛しい人が他の女の話をする。
それってどんな気持ちだろうか。
今とは持っている感覚が、常識が違うとは言え、
人が抱く想いにそう違いがあるとは思えない。
平安時代ですら、古の方が良いものがあるという考えがあったことに驚いた。
永遠に人が持ちうる感覚なのかなあ。
言葉の少ない原文に近いこの文章は、
想像する余白が多い。
文章に、物語に集中しないと読み進めない。
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荻原規子の源氏、ちょっと期待しすぎたか。
意外なほどに、古文に忠実なのではないだろうか。
読みやすいとは思うけれど、彼女らしい物語性は感じられなかった。
淡々と綴られていく物語は、多くを説明せず、語らない。
そこは読者側の読解力、想像力にかかっている。
試されている気がして、ちょっと息苦しい。
まさに古典の世界。
真摯に向き合うのも悪くはない。続きも読もうと思う。
しかし、女性が作り出した人物なのに、
光源氏の心理、行動は不可解だ。
式部は理解していたのだろうか。
なんで紫の上を思いながら、明石の君に会いに行けるのか。
そして、様々な女性にかけ続ける情け。
それは、優しさなんかじゃなく未 -
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感想を書いたらうっかり間違えて全部消えてしまった。
ので要点。
・再文庫化(出版社違い)
・表紙が微妙(女の子の人形立ちで全巻くるならちょっと嫌)(2巻は絵的にいいシーンがいっぱいあるのに…)
・腐女子(という言葉は当時はなかったよね)
・最近RDGに慣れていたのでルーンのわかりやすさにホッとする
3巻くらいまでならこの表紙(女の子が棒立ちしているだけ)でも許容範囲だけど、全巻これだったら中公版の方がよっぽどイメージ合ってんじゃん、なんで出し直したの?って感じになる気がする。絵を描いている人自体はおとぎ話っぽくて淡い色合いですごく好きなんだけど。ほんとデザインがいまいち。 -
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ネタバレ荻原規子さんが好きなので、基本的には評価を甘くしてしまいそう。けれども、好きだからこその厳しくみて、星3つ。
まだ一作目で導入部。設定やキャラクターを紹介していくだけで、話がどんどん進んでいく印象。少々鼻につくくらい個性あふれるキャラクター同士の人間関係が、これからどう描かれていくかが見物。
2018/8/22、再読。
初めてのときよりは面白く読めた。その後、続編が刊行されていったので、その1冊目ならこんなものだろうと期待せずに読めたからかもしれない。荻原さんは起承転結の結を支える登場人物の心情を描くのがうまい。本作でいえば、泉水子が和宮に舞を所望される場面がそうだ。「特別に意識する必要はな -
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本編の4、5巻の時間軸ですね。
女王候補アデイルが主役の話です。
が、どちらかと言うと、筆者も言っている通り、本作ゲストキャラの方が目立っていましたね。色々期待させてくれる人物でした。
アデイルの恋心は既に発覚しているため、この巻からロマンスへ、と言うことは無いな、とわかっていながら期待してしまう辺りが俗物ですね。でもやはり残念です。
砂漠が登場したことで、「これは王国のかぎ」を重ねずにはいられませんでした。が、全く別物です。勿論。
本筋は狩るか狩られるかの本編につながる政治的抗争が描かれているわけですが、それに伴い、日本にいるとつい鈍くなる宗教問題について作者なりの視点と見解で書いて -
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いよいよ大詰め。
ここへ来て世界の神秘に触れるわけですが、いや~、最終巻を目前にして更に謎が深まるとは思いも寄りませんでした。
しかし中間点を過ぎたわけで、あとは昇る一方と言う空気感が気持ちよく、やはり自分は“ハッピー”好きなのだと痛感。
そんなバカな!
と思えるような出逢い、再会、ハプニング・・・ファンタジー小説の醍醐味を網羅した一冊に仕上がっていると思います。
ひねくれた見方をしてしまえば“そんなバカな”で終わりですが、よくよく考えてみれば、ドラマチックだからこそ小説になったと言うわけで。
主人公ばっかりが運が良いのでは無く、嘘みたいに運が良いから主人公になれたのです。
当たり前に -
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二作目とはまた打って変わって、今回は王宮編。外伝を除けば全五巻の本作。ぐんと核心に迫ってきた感があります。
王宮ですから勿論栄華を極める描写ではありますが、いやはやしかし華やかさで言えば学園編の方が勝るやも知れません。王宮と言うところはそれだけ“現実的”な場所のようです。どこか雑然殺伐としているのですね。
公式の場と言うものはそんなものなのかも知れません。
前作までのようなついニヤニヤしてしまうような気楽なムードは薄れ、ストーリーもシリアスになってきます。荻原先生の本領発揮とも思える深み、重厚感が漂ってきました。
登場人物たちのキラキラ眩しいような大活劇は見られないにせよ、じりじりとし