桂望実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレすごく感動した作品だったので星5。
他の星5よりかはちょっと下くらいかも。
最初は、少年が、無気力な主人公との出会いを通して変わっていく話なのかなと思っていたけれど、読み進めるうちに、いつの間にか主人公の方が少年のために真剣にご飯を作り、向き合おうとしている姿に強く心を動かされた。
題名の僕は少年のことだろうけど、おじさん目線でストーリは進んでいった。
主人公はやる気がなく、面倒なことを避けながら生きている人物だけれど、決して冷たい人ではない。その力の抜けた雰囲気が、逆に人を安心させたり、本音を話しやすくさせているのだと思った。
また、子どもだけではなく、親の苦しさや葛藤も丁寧に描かれていたのが印象的だった。特に英樹のお母さんの言葉は、本当に胸が痛くなった。
「私は…・・・・あの子を産んだ責任がありますから。あの子が普通の生活を送れるようになるまでは、私の人生はあの子にすべて捧げなくてはいけないんです」
「私のせいなんです。私が五体満足に産んでいたらと、毎日毎晩自分を責めています」
「英の代わりなんて・・・・・・英が大事なんです。たとえ私が十人産んだとしたって、英の代わりになる子なんて一人もいません」
子どもを思う気持ちや、自分を責め続けてしまう苦しさが伝わってきて、すごく苦しかった。
でも、その子のせいで自分の時間が、なんてことは全く思っていなくて、それだけ子どものことを愛しているのだとも感じた。そういう親になりたい。
その後の主人公の返しも良かった。
「自分のせいだと思ったらもう最後までそれでいくしかないんですよね」
「事実はそうじゃなくても、周りが誰のせいでもないと言ってくれたとしても、なんの気休めにもならないんじゃないかと思ったものですから」
ただ「あなたのせいじゃない」と綺麗に励ますのではなく、本人の感情を否定せずに受け止めようとしている感じがして、とても印象に残った。許されたいわけではないのに周囲から簡単に慰められることで、逆に孤独になることもある、という感覚はすごくリアルだと思った。
それから、結構序盤に出てきた話で、
「幸せを目標にしたら大変、キリがないから。それより、今日三度の食事ができたら、なんていい一日だったんだと思えた方がよっぽど楽だ」
という言葉も良かった。大きな幸せを追い求め続けるより、小さな日常を大切にする方が、人は少し楽に生きられるのかもしれないと思った。
最後の終わり方もすごく良かった。
自分から死を選ぶことの悲しさについても考えさせられたし、「理解できた」なんて簡単には言えないけれど、それでもその苦しさに近づこうとしている作品なのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ専業主婦をクビになるが
1人で生きていく覚悟をしたのに夫から
戻りたいと言われる
今までの働きぶりを全否定されるが
独立してやっと軌道に乗ってきたところで
年下上司からの業務提案は却下
幼い頃から手塩にかけて水泳コーチをしていたのに
他のコーチにいくと言われてから
コーチの勉強を始めて出会った新たな生徒は
持病があるけどメキメキと
成績が伸びてついに大会で優勝
それを見ていた去っていった元教え子から
もう一度コーチを頼まれてしまう
長年続いたラジオパーソナリティを
不甲斐ない理由で辞めさせられる
その後、バイト感覚で始めた仕事が
思いの外うまくいき、ついには
話し方教室までできるようにかなり
ラジオパーソナリティにも戻れるようにまでなった
4話ともスカッとした終わり方で
一言でいうなら因果応報!! -
Posted by ブクログ
片付けで人生が変わる、とよくいうけれど、具体的にどういうことなのか?
凄腕の整理収納アドバイザー、中村真穂は、片付かない「物」だけでなく、それを溜め込んだ人の人生を読み解こうとする。
すると、「物」は捨てなくてもいいものになることもあるし、依頼人が捨てる決断に至ることもある。
それを導き出すための、アドバイスなのだ。「買い過ぎた家」「物が消えるリビング」「服が溢れるクローゼット」「段ボール箱だらけのアパート」「ちょい置きでカオスになった部屋」物語のタイトルは、どれも片付かない、物が溢れていることを想像させる。そのありふれた状況には、住む人たちの人生の秘密が隠されていた。本人も気づかない、中村真穂だけが気づく、人生が。
100円ショップの収納を使って整理したり、溜まったセーターは慈善事業に、ブランド品はフリーマーケットの業者に委託すれば、捨てるよりも少し利益になるなど、整理収納アドバイザーとしての実用的なアドバイスだけではない。
人生に何が足りなくて、何を求めているのかを気づかせてくれる。依頼者は、それを見極めた上で、捨てるのも持ち続けるのも自由なのだと。自分の片付けにも、モチベーション高くなるなぁ。最後に、凄腕アドバイザーの秘密もわかる構成になっている。 -
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ネタバレ第一章:弟と詩集
上田亜矢子という女性の視点で綴られる亡くなってしまった弟を巡る物語。
怒りやすい性格で、色々な人と喧嘩をしてばかりいた弟とはもう何十年も会っていなかった。彼がどこにいて、どんな生活をしていたのかを、行方不明者捜索協会のスタッフ静香と共に辿っていく流れでした。夫との仲も良くも悪くもなく、息子も成人し、妻としても母としても役目を終えた亜矢子が、最後に区切りをつける役目が姉としての役目というのが、とても切なかったです。弟の軌跡を追う中で、弟の怒りやすさの中にある他者に対する優しさや、正義感の強さが浮き彫りになっていく展開が涙腺を刺激する作りになっていたと思います。
第二章:ヘビメタバンド
樋口智裕は大学生時代、岡本涼太、高地健史、藤長慧人の四人でバンドを組んでおり、彼らの音楽をサイトを通じて発表してみないかという話が打ち上がることから話が始まります。智裕は皆に声を掛けていきますが、涼太にだけ連絡がつかず、その後、浜辺に打ち上げられた遺体となって発見されるという展開に「お?」と引き込まれました。なにか事件性がありそうだと感じたからです。しかし、この話の本質は「彼がどうして死んでしまったのか?」という点ではなく、「涼太という人間が生前どう過ごしていたのか?」という点に重点が置かれていたので、結局本当の死因はわかりませんでした。なので、ちょっとそこらへんががっかりとするポイントではありましたが、それでも引き込まれるものがありました。智裕が生前彼と関りのあった人物たちと出会っていく中で見えてきたのは、涼太がゲイだということです。誰にでも優しく、細かいことに気が付ける目を持ち、正義感の強い男だったが、彼は自分の向けた好意を受け止めてもらえる経験が一度もなかったのでした。智裕も涼太に告白されていたが、告白をされて以降、彼と距離を置くようになってしまったし、それは社会人になってからも同様だったようでした。そういった結末を見ていると、「普通」という枠組みから外れてしまった者の悲哀を感じずにはいられませんでした。
第三章:最高のデート
夫の良いところばかりを見ていた由佳だったが、夫が行方不明になり、自殺をしていたことを知ってから、彼女の意識が変わっていく流れが面白かったです。
生前、夫と関りのあった者たちから話を聞くと、同僚の手柄を横取りしたり、店員に罵倒を浴びせたり、妻を出身大学で判断していたりと、性格の悪い人間だったことが浮き彫りになっていきました。これまでの話は亡くなった人の良い面が浮き彫りになるケースばかりでしたが、今回の話は悪い面が浮き彫りになったので、趣向を変えてきたように感じました。
第四章:社長の背中
昔、ゲームを制作する会社に勤めていた剛と、その会社を担っていた鈴子の話でした。鈴子から貰った恩があるのにもかかわらず、その恩を返す暇もなく鈴子は自殺をしてこの世から去ってしまった。やるせない気持ちを抱えながら、鈴子の軌跡を辿っていく物語でした。鈴子の両親が宗教にハマってしまっていたこと、妊娠したけれど流産してしまったこと、運営していたゲーム会社の情報を社員から他社に盗まれてしまったこと、壮絶な人生の様相がこれでもかと描かれていました。哀しい結末ですが、鈴子から頂いた三百万円を使ってゲームを作ろうと考えている人に投資をしようと決断する剛の姿は、とても素晴らしかったと思います。 -
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ネタバレ夫を亡くし家が散らかっていることを理由に息子夫婦に施設入りを勧められる老婦人、片付けが苦手な妻と散らかった家にストレスをため込んでいる夫、ついつい服を買ってしまいクローゼットがいっぱいの共働き妻、亡くなった常連客からオウムを譲り受けた喫茶店の店主、ちょい置きが癖になっている女性…。
彼らが頼ったのは口コミ評判が良かった整理収納アドバイザーの真穂さん。ちょっと服装が個性的ですが仕事は出来ます。真穂さんがするのは彼らの過去と未来の再編成。
すご~くわかる、という共感でいっぱいになりました(笑)。
私も真穂さんに来てもらいたいです。
真穂さんによって前向きになれた登場人物たち。元気をもらえる本でした。面白かったです。 -
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整理収納アドバイザーの中村真穂が、各家庭の片付けを通して、その人その人の本当に大事にしたいことに気づかせていく過程がとっても良かった。真穂が整理収納アドバイザーになろうと思ったきっかけの話が心に残った。シングルマザーとなった真穂が、家を自分と息子が落ち着ける空間にしたいと気づき、目標がはっきりしたところで片付けを始めた。その中で、片付けはこれまでの自分を見つめ直し、これからの生き方を考える、とても大事な機会になるということに気がついた。この体験をみんなにしてもらい、真穂と同じようにスッキリしてもらいたいと思って始めた整理収納アドバイザー。5話とも読後感が爽やかで、その人その人の人生に明るい希望が持てる。
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どん底におちた40代、50代の女性たちが這い上がる四つの話。誠意を尽くせば立ち上がれるという展開で励みになった。
特に三章の「四十六歳で教え子の選手に逃げられる」が心に残った。良かれと思っていた指導であったが、教え子には伝わらず他のコーチの元に逃げられてしまった邦子。そこからコーチングを学び、自分なりにいろいろ努力していく。
拓也との出会いと信頼関係を築く姿がとても良かった。拓也の美しいクロールの泳ぎに驚いた邦子だが、何と邦子のフォームを小さな頃から繰り返しみて身につけたフォームであった。その後、二人三脚でついに金メダルを獲得。涙がジワッと込み上げた。
裏切った元教え子がまたコーチをやってほしいと都合よく擦り寄ってきた際の、邦子の「選手とコーチの間で一番大事なのは信頼関係。一度壊れてしまったらもう元には戻らない」という言葉が重い。人間関係全般にも言えること。家族もしかり。感情に走った言葉は言わずに、相手のこと、自分のこともよく考えて人との付き合いをしていきたいと思った。相手のことを知ろうとする努力が大事と改めてわかった。