桂望実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平凡な器量に生まれ、性格も地味だったために、子どもの頃から注目を浴びることも好意を寄せられることもなかった渡辺展子の半生を描く。全11章。
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人目をひく容姿を持っているわけでもないし、言動に才気のきらめきを感じさせるところもない。どちらかというと平凡でおもしろみに欠けるというタイプだった展子。
いわゆる「持ってない」ことを痛感して育った展子にとって、努力を拠り所として生きるしかなかったということは想像に難くありません。
だからこそオーディションの連続であると看破した人生で選ばれるためには、真面目にコツコツ積み上げることで実力をつける道を行こうとしたのでしょう。
もちろん、堅実な性格でパン職人の腕にも優れた父親のもとで育ったことや、早くに病死した母にかわり長女としての責任感で2人の妹の面倒をみてきたことも、展子の性格形成に影響しているに違いありません。
中学・高校・専門学校とその思いを強くしていった展子だけあって、就職後は商業デザイナーとしてそこそこ活躍できたし、パン職人としても父親の跡を継げる腕を身につけることができました。足下を固めてから積み上げていく姿勢の賜物でしょう。
ここでメデタシメデタシにしておいてもよかったのですが、桂望実さんはそうしませんでした。
展子にさらなる試練を課したのです。
1つめは結婚相手選び。
もともと展子には、男を見る目がありませんでした。結局は自分を “ 選んでくれた ” 太一と結婚しましたが、これは失敗でないにしても成功とも言えないと思います。
太一は確かに、悪い人ではありません。けれど、結婚相手には向いていないのです。だらしないし大雑把すぎます。気が向かないことはやろうとしません。
自然、共同生活の分担業務が限定的になるため、負担は展子なり父親なりにかかってくることになります。家庭や家業の共同運営者としては不適格な人間なのです。
2つめは経営者としての姿勢。
東京の老舗デパートからの出店の誘いに対して、目の届かない東京であることを意に介さず喜々として乗ったことで、経営を傾かせてしまいました。これも自分を “ 選んでくれた ” デパートの依頼を軽々に引き受けたことが原因です。
堅実で努力を厭わない父親のようなタイプを結婚相手に選ばず、顧客の顔や声と接する商売のやり方を選ばなかった。
これは展子が「選ばれる」ことにのみ気を取られ、「選ぶ」ことを考えてこなかったことが原因です。
でも展子は、失敗は失敗として受け入れるしかないと悟りました。
太一とは浮気発覚後も離婚はせず、コミュニケーションをとるようにして夫婦仲の改善を図るという道を “ 選び ” 、商売は手を広げた2店舗を閉めて客の顔の見える商売に戻すことを “ 選んだ ” 。
生きている限りどんな人生を歩もうとも後悔することは必ずあります。でも、そこに幸せがあるかどうかは、自分で選びとったものかどうかにかかってくることを、展子はきちんと理解したのだと思います。
なかなか味のあるおもしろい作品でした。 -
Posted by ブクログ
ワンマンエリートの父、専業主婦良妻賢母の母、優秀な弟。周囲からは、理想の家庭と認識されていたエデンの果ての家族。
兄は、家族から疎外感を持ち、早くに独立していた。溺愛されていた弟は、親の期待通り、一流企業に就職。そんな両親自慢の弟が、母親殺人容疑で逮捕される。彼の無実を信じて、裁判の準備をする父と兄。
調べていくにしたがって、母親と弟の知らない部分が見え始める。真相に近づくにつれて、弟の無実が遠くなる。そして、弟の深層部を受け入れて、理想的な家族ではなくても、親子として兄弟として支え合う家族となろうとしていく。
ミステリーとしては、地味かなと思います。エデンとしていることから、カインとアベル的な兄弟の葛藤、親子の亀裂等、犯罪の起因を探ります。
過去の記憶が、自分の思い込みや思い違いで書き換えられることはあるんでしょうね。あまりに後悔していることは、忘れたくて変形していくかもしれない。 -
Posted by ブクログ
限りなく5に近い4!
「じゃない方の渡辺」というタイトルに惹かれて迷わず買ったけど、大正解だった。ただ、結婚して渡辺じゃない期間が長いから、じゃない方の渡辺が適切かは微妙な気がする…?!
タイトルからして、
地味な渡辺さんが主人公、キラキラな渡辺さんが出てくる。主人公はちょっと卑屈。キラキラ渡辺さんと成長していって、最後は親友になる
的な話かと思っていたけど、全然違った。
主人公の渡辺展子と、超絶美少女渡辺久美はすぐに親友になる。展子の成長物語と言った方が適切かな。
実家のパン屋を継いだあと、お店を大きくすることに夢中になった展子の言動にはヒヤヒヤさせられた。
たくさんの成功や挫折を経験し、家族や友人、周囲の人との接し方や、大切なことに気づいていく展子。
やり直すのはいつだってできる。なんとかなる!
そういう明るい気持ちを持つことの大切さが伝わる作品。
パンが食べたくなりますよ笑 -
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家族、友人、別れた配偶者、前の会社の上司。その気になればいつでもつながれると思っていた暫く離れている人が亡くなっていることが判ったら…。5つの短編はそこから始まります。「行方不明者捜索協会」の業務は行方不明者の捜索が終了すると一旦終わりますが、突然残されてしまった人のために亡くなった人が最期にどんな暮らしをしていたかを知るための手伝いをするサービスが付帯しています。5編ともそのサービスを通じて残された人が亡くなった人を再認識する、そしてその過程で亡くなった人に対する自分の気持ちを再発見する物語です。5編目は「行方不明者捜索協会」のベテラン担当員、西山静香の母親のエピソード。よく笑う少女だった彼女がなぜ笑わない寂しげな大人になったのかが失踪した(と思われた)母親の最後を辿ることで明らかになります。各編とも読後に静かな感動がわきあがる佳作だと思います。
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恋愛の神様が突然現れ、恋愛検定を受ける事になる人達のお話
7人の受験者と解説を収録
・自称恋多き女 四級
・シンデレラ願望男 三級
・友達止まりの女 二級
・慎重すぎる男 準一級
・恋愛がメンドーな女 一級
・昔の恋を引き摺っている女 マイスター
・現状維持に縋りつく女 四級
解説「『恋愛検定』の傾向と対策」ゆうきゆう
恋愛検定の概要
神様は急に現れ、受験者以外の時は止まる
恋愛の神様による恋愛検定は一般的に知られているらしい
資格を持っていると、プレゼンテーション能力などが社会的に一定の評価されたものと思われるらしい
周囲の人の恋愛状況についての考察を述べさせられ、その回答内容によって受験の級を言い渡される
恋愛相手は既に会っている人かこれから会う人両方の可能性がある
恋愛関係の成否が合格に直結しているのではなく、あくまで恋愛に対する行動による評価
私自身を顧みた場合、受験者それぞれに共感するところがある
周囲の見えなさは自称恋多き女
次に付き合う相手には譲れない条件があるところはシンデレラ願望男
距離の詰め方は友達止まりの女
自分の観察の自信のなさは慎重すぎる男
自ら積極的に動くほどでもないと思っているあたりは恋愛がメンドーな女
環境が変わることに決断できない事やサンクコストを惜しむ気持ちは現状維持に縋りつく女
昔の恋を引き摺っている女だけは自分と共通点がない
もし自分が受験資格を与えられたとしたら
多分、周囲の恋愛関係なんてさっぱりわからないので四級を受験する事になりそう
そして、今更恋愛とか億劫過ぎて、受験期間何もしないまま終わりそうかな
そもそも、作中のエピソードから察するに、受験中の対象者が本当にふさわしい相手なのかは疑問
新垣はダメじゃないかなぁ……
あと、現状維持に縋りつく女のように、想定していたのと異なる相手の方がいい場合もあるしね
相手の恋愛観を知るには車について聞くといいとの事だけど
私にとって車は便利な移動手段や荷物運搬の道具としての認識が強い
今でこそなければかなり不便な環境だけれども、昔住んでいた場所のままだったらずっと車は所持していないと思う
もしくは、交通の便の良いところに引越したら車を手放すと思う
見た目にはこだわらず、利便性と運用コストを考えるあたり、私の恋愛観に近いのかどうか……
面白かったのは、更新するときには危険な恋愛の避け方の映像を見るとか、運転免許と同じかよというツッコミを入れたくなる
全体の物語として、現代では積極的に恋愛をする人が減っているというのに上手く着目した小説だと思った
解説でゆうきゆうが真面目に文章書いているのが却ってウケる -
Posted by ブクログ
経営不振なホテルの社長として任命された心理学者が、従業員による総選挙で部署の人員整理するなど、変わった方法で経営を立て直そうとするお話
選挙ルール概要
・働きたい部署で立候補できる
・パートもバイトやバイトなども勤務時間が一定ラインを超えれば立候補、投票の対象
・今と別の部署での立候補も可能
・投票はそれぞれの部署の定数(定数はホテル全体で20%減の人員配置)
・本人が立候補していない部署の配置に投票しても良い
・投票時には選んだ理由を記入する
・記入されていない場合は再投票
従業員同士に人員整理をさせるのかという批判
他部署の人を知らないという意見
票集めのあからさまな声掛け
相手が気に入らないという投票理由
様々な不満の種をはらみつつ、行われた総選挙の結果どうなったのか?という物語
フラワーショップで花を扱うことに喜び感じていたにも関わらず、フロント業務につくことになったり
企画をしていたのに元々の飲食部門に移動になったり
イケメンのため調理師ではなくベルボーイで一位の集票だったり
下請けの清掃員からフライダル部門の社員になったり
以上の4人と支配人の視点
自分のやりたい事が天職というわけでもなく、他者から見える適正もあるのだと思った
未亡人の橋本さんへのサービスが、視点になっている4人の連携になっているのは変化がわからやすくて良い
自ら考え動く立派なホテルマン・ホテルウーマンというのは理想だけど、すべての従業員がとなるとかなり難しいのではないかと思う
中には作中で語られるように、駒に徹する人も必要な場面のある気がする
それはそうと、冒頭と最後に就活者向けインタビューの無編集の描写
意識がどれだけ変わったのかというのがわかりやすくて良い
同じ部署の人同士がそれぞれを評価するという人事考課の方法は実際にやってるところもあるけど、そんなに関係のない部署の人まで含めた評価というのはないのかな?
同じ部署でも仕事内容によって有利不利があるんじゃなかろうか?
他部署の人と接点が多い人の方が有利ですよねー
某外資系カフェチェーンは明確なマニュアルがなく、従業員は雇用形態に関係なく自らお客様のために何ができるのかを考えるというのも聞いたことがある
上手くいっている例と言えるのだろうか?
もし自分が今の職場でこの評価制度が実行されたら明らかに落選しそう
投票理由の基準によっては、仕事に関する能力以外の要素で決まってしまう気がするんだよなー
まぁ、専門職も含めてコミュニケーション能力が大事というのもわかるんだけどね
大部分の人には実感として理解されないけど、重要な仕事ってありますからね
実際には物語のように上手くはいなない場合が多いのではないかと思う