桂望実のレビュー一覧
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ネタバレ人生に疲れた人が、おいしいご飯を食って、少し元気を回復して、再び世間の荒波に立ち向かっていく、「時には美味しいものを大切な人と食べていいんだぞ」的、昨今はやっている系小説かと思っていたのだが。
確かに人生に疲れて投げやりなおっさんが出てくるが、そのおっさんが食事を作る側の主人公という変化球を投じてきた。なかなかやるやん…と思っていたら、そのおっさんが「僕」と出会うことで、元気を回復していくという、もうひとつのひねり。
読み終わってみれば、結論は似たようなところに落ち着くのだが、ひねったことで、食感…もとい読感はかなり変わっていて、ありきたりのグルメ小説とは感動度合いが一味違う。
前半の視 -
Posted by ブクログ
「金」は「かね」では無く「きん」と読みます。将棋の駒の金です。
読み終えて少々混乱。桂さん何を書きたかったんだろう?
他の人はどう感じたのかネットで調べていて、以下のような桂さん自身の文章に行き当たりました。
「当初は弟から見た、姉の人生を書くつもりでした。
その考えに沿ったプロットを作成しました。
ところが書き始めてみると・・・弟から目を離せなくなってしまいました。
フツーである自分にコンプレックスがあって、自分になにか特別な才能があってくれと祈っている少年。
その少年が青年になり、社会人になっていく・・・そんな彼に寄り添っているうちに、気が付けば彼の人生を描いていました。」
なるほど、そう -
Posted by ブクログ
ネタバレケータリングの仕事にやる気もなく、人に気遣いもできず、無気力に生きるおじさんと、ケータリング業者が持っていると、ネットで都市伝説化している「死ねる薬」をほしがる、いろいろな職業の人達の話が淡々すすむので、始めは思ったより期待感がかなり下がったのだすが・・・
難病の子「英樹君」と関わったことによって、おじさんが本来の自分の姿を思い出して、その少年の為とはいえ一生懸命になってる姿に、優しさと不器用さが見えてきて、そこからは段々と話しに引き込まれました。
作中の中で気になった 『僕の命は僕のものだ』 の言葉・・・
英樹君の決断とも取れるその言葉は、それは病気で苦しんでる英樹君、それを支えてきた -
Posted by ブクログ
先日の『水曜日のダウンタウン』で、「どんなマイナースポーツも一度は漫画化されてる説」を検証していました。結果は、漫画化されていないスポーツもごくわずかながらあり。それでも、そんな漫画もあるのかと驚くほど多種多様。本の場合はどうなのかも検証してほしかったりして。
本作はトランポリン競技でオリンピック出場を目指す男子5人と、家族やコーチ、審判員などの、さまざまな目線から語られます。そもそもトランポリンがオリンピック競技に入っていることすら知らないぐらい、私にとっては興味の薄いスポーツだったのに、これを読んだら次からは確実にトランポリンに目が釘付けです。
同じ競技をしていても、家庭の環境だとか思 -
Posted by ブクログ
出来合いのものをそれらしく加工し、なるべく手抜きをして、盛り付けだけきれいにすればOK。
なんとも誠意のないケータリング業者の水島健一・44歳。
バツイチ、息子は元妻と暮らす。
なんていい加減な料理人!だから食中毒も出すし、やる気がないにもほどがある!
しかし、料理はまず、自分が「食べたい」と思わなければ作る気が起きないのだろう。
食欲ではなく、「食べたい気持ち」というのは生きる気力のことだ。
そして、誰かに食べてもらいたいという気持ち。
おいしく食べてもらいたい、喜んでもらいたいという願い。
料理をするエネルギーはそこから来る。
いい加減な料理をしていた健一は、大切な者たちを失って、生