桂望実のレビュー一覧
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著者名を見て購入。過去に読んだ、『僕は金になる』と、『県庁の星』が面白かった記憶があり購入。ジャケ買いならぬ著者買か。
期待は裏切られなかった。
『流転の海』を読んだ直後だったので、かなりのギャップがある。戦争と戦後の混乱期の人間模様と骨太な人間と、現代の親父達とのギャップ。つくづく、平和な時代に我々は生きていると感じつつも、現代の人生を重ねた親父達の悲喜交々と葛藤とその人生訓、現実に破れて打ちひしがれた者達が、共に仲間と繋がり、立ち上がっていく姿を見て爽やかな感動を覚える。ありふれた、ちっぽけなもの様にも思えるが、日々の生活、人生はドラマチックでもある。そして、流転の海も本書も、同じく人間 -
Posted by ブクログ
ネタバレ民間団体「行方不明捜索協会」に家族や身近な人の捜索を依頼した人の物語5編を収録。各短編に直接の接点はないが、職員「西山」が4つの短編で依頼者の担当となり、残り1篇では彼女自身の捜索物語となる。
身近な人がある日消息を絶ち、あるいは久々に会おうとしたら行方知れずになっている絶望感。接点がなくなっているということは、円満な関係を継続できなかったということなので、それぞれ曰くがあるわけで、小説としてはそのあたりの曰くが読ませどころ…というかメインテーマになる。
そういうテーマだから、ほぼどの物語も明るいものではない。しかし、どの物語も余韻は悪くない。
しっかりきちんと生きていこう、とか、身近な人 -
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個人的にめちゃくちゃツボって切なかった(T ^ T)
世間一般からちょっとずれてるいい加減な家族。嫌いじゃないんだけど恥ずかしい気持ちや、普通でいて欲しい気持ち、他人でいたいのに結局ほおってはおけない自分。イライラしたりハラハラしたり、なのに当人たちは能天気。
あぁ分かりすぎる。
家族、一人はみ出してるパターン、若しくは自分だけまともだと思ってるパターン?な気がして、とにかくフツーの家族、家庭を作りたくて、自分が子どもだった家族のカタチから逃れたいのに、
この本みたいに、近々父ちゃんと死別したって、子や孫にその血というか、性質を見て、結局自分の命が尽きるまでその家族の一員であるのだと悟る。
守 -
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六年生の時に父と姉が出て行った。主人公の守は真面目な母と二人で暮らしていくことになる。
父はろくに働きもせず、天才的な将棋をさす姉に賭け将棋をさせて生計を立てる。
破天荒な父と姉に翻弄されるドタバタコメディ‥‥を想像して読み始めたものの、見事に裏切らた‥‥表紙からして、もう面白そうなのに、なかなかにシリアスな面もあって色々考えさせられるお話でした。
破天荒な父と姉を軽蔑しながらも、特別なものを持っている二人が羨ましくもある守。でも父と姉は、「守はちゃんとしていて凄い」「お前はまっとうに生きろ」と言う。
父と姉の生き方を受け入れられないのにどうしても離れられず事あるごとに会いに行く、そんな約 -
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変わり者の父と姉と普通の僕との人生ドラマ。
1・昭和54年(1979年)
2・昭和57年(1982年)
3・昭和60年(1985年)
4・平成元年(1989年)
5・平成6年(1994年)
6・平成9年(1997年)
7・平成23年(2011年)
8・平成29年(2017年)
小6の時に両親が離婚し、父・姉と離れ離れになった僕・守。
久しぶりに再会した父は、将棋の強い姉が賭け将棋で稼いだお金で生計を立てているダメ親父。姉は一般常識のない将棋が強くて、こだわりのない不安定な生活を送っている実態だった。
姉の将棋の才能に羨ましさを感じながら、普通の人生のレールを歩んでいくうち、普通が普通で -
Posted by ブクログ
将棋をさす以外に何も出来ない姉とギャンブル好きの父が、両親の離婚で母と守の元から出ていった。
2人の生活は、その後も姉の賭け将棋の上がりで成り立つものだった。
全然期待せずに読み始めましたが、とーっても良かった。
暖かい家族小説でした。
父ちゃんの様な人は困りものだし、姉ちゃんはあのままではいけなかったのかも知れないけれど、至って普通の守が歳を重ね、2人がを認められるようになる様子に胸の奥が暖かくなりました。
守とりか子の子供の性格が真逆なことも、血の繋がった家族なんだなとしみじみ。
将棋に明るくなく、そこだけが心残り。
歩がと金に変わる、「父ちゃんとの思い出も、特別な思い出に変わるの