桂望実のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2019年「オーディションから逃げられない」改題
全く、人生は幾つになってもオーディションから逃げられないのよ。生まれた時から、入試とか就職とか結婚とか。最後の方には、介護保険の認定面談まであるのよ。
たまたま、同じ苗字の美女と同じクラスになり、友人となり、長い間、“じゃない方”というポジションとなった女性。その美女はなかなか良い子で、一生の友人になるんだけど。
笑えるような哀しいような、“じゃない方”の話だけではなく、家庭を持ち家族を支える事になった主人公が、パン屋の主人となり、いうの間にかオーディションをする側にもなっていく。
自分の人生に満ち足りなかった気持ちを抱えて走り続ける。つい -
Posted by ブクログ
読み進めていくたび、ゴールポストが動いていく感じ。一章ごとに、変貌するミステリーと言われているけど、それ以上に変わる。ミステリーになっているけれど、それを考える隙がない。
スーパーでの数分の買い物の間に、6歳の少女の姿が消える。母親は、必死で探す。警察も学校も動くが、金銭の要求もなく、少女の身体も見つからない。周囲は、時間の経過とともに、徐々に諦めていく。少女の母親は決しって諦めない。
その母親の生涯をノンフィクション作品として出版しようと、フリーライターが当事者関係者への取材を重ねていく、という構成。
諦めない母親は次第に周囲から孤立して、離婚となり家も失う。それでも、探し続ける。
諦める -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと自分はついてないと思ってた。
親友は同じ苗字でなおかつキレイで自分は選ばれない方の渡辺
でも理解して応援してくれる優しい父親がいる時点で展子はとってもついているんだと。
学生時代って何かと人と比べて
なんで?どうして?が付きまとう
それくらい毎日誰かと行動していたから。
でも社会にでたら
いかに自分が挑戦できる場所にいるか
優しい家族がいるか
厳しくいってくれる兄弟がいるか
優しい友達がいるか
それだけで全然違う。恵まれてる。
病気になって亡くなる前に友だちが
展子はいつでもやりなおせる時間がある
子どもの成長をみることができる
それだけでどれだけ恵まれているか分かる。
劣等感 -
Posted by ブクログ
平凡な器量に生まれ、性格も地味だったために、子どもの頃から注目を浴びることも好意を寄せられることもなかった渡辺展子の半生を描く。全11章。
* * * * *
人目をひく容姿を持っているわけでもないし、言動に才気のきらめきを感じさせるところもない。どちらかというと平凡でおもしろみに欠けるというタイプだった展子。
いわゆる「持ってない」ことを痛感して育った展子にとって、努力を拠り所として生きるしかなかったということは想像に難くありません。
だからこそオーディションの連続であると看破した人生で選ばれるためには、真面目にコツコツ積み上げることで実力をつける道を行こうとしたの -
Posted by ブクログ
ワンマンエリートの父、専業主婦良妻賢母の母、優秀な弟。周囲からは、理想の家庭と認識されていたエデンの果ての家族。
兄は、家族から疎外感を持ち、早くに独立していた。溺愛されていた弟は、親の期待通り、一流企業に就職。そんな両親自慢の弟が、母親殺人容疑で逮捕される。彼の無実を信じて、裁判の準備をする父と兄。
調べていくにしたがって、母親と弟の知らない部分が見え始める。真相に近づくにつれて、弟の無実が遠くなる。そして、弟の深層部を受け入れて、理想的な家族ではなくても、親子として兄弟として支え合う家族となろうとしていく。
ミステリーとしては、地味かなと思います。エデンとしていることから、カインとアベル的 -
Posted by ブクログ
限りなく5に近い4!
「じゃない方の渡辺」というタイトルに惹かれて迷わず買ったけど、大正解だった。ただ、結婚して渡辺じゃない期間が長いから、じゃない方の渡辺が適切かは微妙な気がする…?!
タイトルからして、
地味な渡辺さんが主人公、キラキラな渡辺さんが出てくる。主人公はちょっと卑屈。キラキラ渡辺さんと成長していって、最後は親友になる
的な話かと思っていたけど、全然違った。
主人公の渡辺展子と、超絶美少女渡辺久美はすぐに親友になる。展子の成長物語と言った方が適切かな。
実家のパン屋を継いだあと、お店を大きくすることに夢中になった展子の言動にはヒヤヒヤさせられた。
たくさんの成功や挫折を経験し、 -
Posted by ブクログ
家族、友人、別れた配偶者、前の会社の上司。その気になればいつでもつながれると思っていた暫く離れている人が亡くなっていることが判ったら…。5つの短編はそこから始まります。「行方不明者捜索協会」の業務は行方不明者の捜索が終了すると一旦終わりますが、突然残されてしまった人のために亡くなった人が最期にどんな暮らしをしていたかを知るための手伝いをするサービスが付帯しています。5編ともそのサービスを通じて残された人が亡くなった人を再認識する、そしてその過程で亡くなった人に対する自分の気持ちを再発見する物語です。5編目は「行方不明者捜索協会」のベテラン担当員、西山静香の母親のエピソード。よく笑う少女だった彼