桂望実のレビュー一覧

  • 残された人が編む物語

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    人が亡くなった場合、お葬式またはお別れ式や最近ではシンプルにお見送りのみをして火葬へと流れます。これは亡くなった人を送る儀式でありながら、残された人達が別れを実感するための儀式でもあります。この本では行方不明者を捜索しますが残念ながら皆亡くなっています。儀式がないまま亡くなっていると、亡き人の死を実感できなないので気持ちの整理がつかないことがあるでしょう。それを行方不明創作協会のサポート部のサポートを受けながら生前の亡き人を知ることで気持ちに整理をつけていくというお話で、まるでお葬式の儀式に似ているように感じました。

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    2023年10月17日
  • 僕とおじさんの朝ごはん

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    タイトルからして朝ご飯屋さんを舞台にお客さんとのハートフルな短編集とか想像したのだが、全然違っていて、ケータリング業を営むダラーとした中年男が、腰のリハビリで通う病院で出会った少年との交流を描く作品で、ちょっとしっとりもした良作。登場人物がたくさんいるので、集中して読まないと人間関係が掴みづらかった。

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    2023年09月19日
  • たそがれダンサーズ

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    ★4.5

    グッとくるフレーズたっぷり。
    中盤以降、加速度的に面白くなります。
    吹き出したと思ったら落涙、楽しめました。
    私も「北極星」のような人間になりたいものです。

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    2023年09月08日
  • 残された人が編む物語

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    この本はまたとてもとても良かった。
    人間に必要なのは、真実ではなく物語、というキーワードにぐっときた。

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    2023年09月08日
  • じゃない方の渡辺

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    2019年「オーディションから逃げられない」改題

    全く、人生は幾つになってもオーディションから逃げられないのよ。生まれた時から、入試とか就職とか結婚とか。最後の方には、介護保険の認定面談まであるのよ。

    たまたま、同じ苗字の美女と同じクラスになり、友人となり、長い間、“じゃない方”というポジションとなった女性。その美女はなかなか良い子で、一生の友人になるんだけど。
    笑えるような哀しいような、“じゃない方”の話だけではなく、家庭を持ち家族を支える事になった主人公が、パン屋の主人となり、いうの間にかオーディションをする側にもなっていく。
    自分の人生に満ち足りなかった気持ちを抱えて走り続ける。つい

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    2023年08月31日
  • 諦めない女

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    読み進めていくたび、ゴールポストが動いていく感じ。一章ごとに、変貌するミステリーと言われているけど、それ以上に変わる。ミステリーになっているけれど、それを考える隙がない。

    スーパーでの数分の買い物の間に、6歳の少女の姿が消える。母親は、必死で探す。警察も学校も動くが、金銭の要求もなく、少女の身体も見つからない。周囲は、時間の経過とともに、徐々に諦めていく。少女の母親は決しって諦めない。
    その母親の生涯をノンフィクション作品として出版しようと、フリーライターが当事者関係者への取材を重ねていく、という構成。
    諦めない母親は次第に周囲から孤立して、離婚となり家も失う。それでも、探し続ける。
    諦める

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    2023年06月29日
  • じゃない方の渡辺

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    ネタバレ

    ずっと自分はついてないと思ってた。
    親友は同じ苗字でなおかつキレイで自分は選ばれない方の渡辺

    でも理解して応援してくれる優しい父親がいる時点で展子はとってもついているんだと。

    学生時代って何かと人と比べて
    なんで?どうして?が付きまとう
    それくらい毎日誰かと行動していたから。

    でも社会にでたら
    いかに自分が挑戦できる場所にいるか
    優しい家族がいるか
    厳しくいってくれる兄弟がいるか
    優しい友達がいるか
    それだけで全然違う。恵まれてる。

    病気になって亡くなる前に友だちが
    展子はいつでもやりなおせる時間がある
    子どもの成長をみることができる
    それだけでどれだけ恵まれているか分かる。

    劣等感

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    2023年06月25日
  • 残された人が編む物語

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    行方不明者を探す団体があるのは初めて知りました。
    いなくなった人を探す人々に寄り添った話。
    どれも辛い話ですが、自分なりの結着をつけるのは大事なのかなと思いました。
    生きるということは辛いこと。そう知らされた本です。

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    2023年06月20日
  • じゃない方の渡辺

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    人と比較して自分を損する側と考える主人公が一生懸命に生きる中で挫折を経て自分の持つ幸せに気がつく物語。

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    2023年06月11日
  • じゃない方の渡辺

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     平凡な器量に生まれ、性格も地味だったために、子どもの頃から注目を浴びることも好意を寄せられることもなかった渡辺展子の半生を描く。全11章。

          * * * * *

     人目をひく容姿を持っているわけでもないし、言動に才気のきらめきを感じさせるところもない。どちらかというと平凡でおもしろみに欠けるというタイプだった展子。

     いわゆる「持ってない」ことを痛感して育った展子にとって、努力を拠り所として生きるしかなかったということは想像に難くありません。
     だからこそオーディションの連続であると看破した人生で選ばれるためには、真面目にコツコツ積み上げることで実力をつける道を行こうとしたの

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    2023年05月30日
  • エデンの果ての家

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    ワンマンエリートの父、専業主婦良妻賢母の母、優秀な弟。周囲からは、理想の家庭と認識されていたエデンの果ての家族。
    兄は、家族から疎外感を持ち、早くに独立していた。溺愛されていた弟は、親の期待通り、一流企業に就職。そんな両親自慢の弟が、母親殺人容疑で逮捕される。彼の無実を信じて、裁判の準備をする父と兄。
    調べていくにしたがって、母親と弟の知らない部分が見え始める。真相に近づくにつれて、弟の無実が遠くなる。そして、弟の深層部を受け入れて、理想的な家族ではなくても、親子として兄弟として支え合う家族となろうとしていく。
    ミステリーとしては、地味かなと思います。エデンとしていることから、カインとアベル的

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    2023年05月23日
  • 僕は金になる

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    破天荒な父親と将棋が天才的に強い姉
    真面目な僕としっかり者の母親
    両親が離婚して父と姉は家を出て行った。
    そこから始まる40年間の波瀾万丈なお話。

    面白かったです♪コメディかと思いきやグッと来ました。
    真面目で地道…そんな「歩」のような僕が「金」になるそんな素敵なお話です(^ ^)

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    2023年05月07日
  • じゃない方の渡辺

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    人生はずっとオーディションだと思って生きていたらキツイことも多いだろう。そこに太一の緩さはどれだけ心強かったか。だからこそ一度の過ちも、私は許せないのだけど。
    渡辺エピソード少なかったから改題前の方がぴったりな気はする。

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    2023年04月27日
  • じゃない方の渡辺

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    限りなく5に近い4!
    「じゃない方の渡辺」というタイトルに惹かれて迷わず買ったけど、大正解だった。ただ、結婚して渡辺じゃない期間が長いから、じゃない方の渡辺が適切かは微妙な気がする…?!
    タイトルからして、
    地味な渡辺さんが主人公、キラキラな渡辺さんが出てくる。主人公はちょっと卑屈。キラキラ渡辺さんと成長していって、最後は親友になる
    的な話かと思っていたけど、全然違った。

    主人公の渡辺展子と、超絶美少女渡辺久美はすぐに親友になる。展子の成長物語と言った方が適切かな。
    実家のパン屋を継いだあと、お店を大きくすることに夢中になった展子の言動にはヒヤヒヤさせられた。
    たくさんの成功や挫折を経験し、

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    2023年04月03日
  • 残された人が編む物語

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    どれも何とも哀しい物語で読んでて辛くなる場面もあったが、各編の主人公たちはそれでも前を向いて進もうとする想いに引き込まれた。この著者の作品は初めて読んだが、他の作品も読みたくなった。

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    2023年03月05日
  • 残された人が編む物語

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    「弟と詩集」「ヘビメタバンド」「最高のデート」「社長の背中」「幼き日の母」
    5話収録の連作短編集。

    行方不明者捜索協会で働く西山静香と、そこを訪れた依頼者が失踪者の足跡を辿り亡者の人生の物語を編んでいく。

    関係者を訪ね歩く中で見えて来るのは良い事ばかりではない。
    亡くなった後で知る深い愛情もあれば、家族に隠していたドス黒い本性まで色々だ。

    動機も分からぬままの突然の失踪で取り残されていた人達。
    真実を知る事できっと彼らは前へと歩み出せるはず。

    最終話で綴られる西山静香自身の人生も胸に沁みた。

    涙腺が緩む喪失と再生の物語。

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    2023年02月18日
  • 残された人が編む物語

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    家族、友人、別れた配偶者、前の会社の上司。その気になればいつでもつながれると思っていた暫く離れている人が亡くなっていることが判ったら…。5つの短編はそこから始まります。「行方不明者捜索協会」の業務は行方不明者の捜索が終了すると一旦終わりますが、突然残されてしまった人のために亡くなった人が最期にどんな暮らしをしていたかを知るための手伝いをするサービスが付帯しています。5編ともそのサービスを通じて残された人が亡くなった人を再認識する、そしてその過程で亡くなった人に対する自分の気持ちを再発見する物語です。5編目は「行方不明者捜索協会」のベテラン担当員、西山静香の母親のエピソード。よく笑う少女だった彼

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    2022年12月25日
  • 総選挙ホテル

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     赤字を垂れ流し経営破綻寸前のホテルを立て直すため投資ファンドより派遣された新社長の意向により、全従業員の総選挙が実施されるとなったところから物語が始まる。てっきり総選挙の行方を面白おかしく描くのかと思ったら、そこは潔くばっさりカット。本人のやりたい仕事ではなく、適材適所に割り振られてからの各人の仕事への向き合い方や心境の変化、ホテルの評判等が主に描写されているのが斬新だった。もちろん小説なので綺麗にまとまっているのだが、決して作り話じみておらず説得力がある点が共感できるし好ましい。自分のことは周りの人の方がよく知っているものだ。

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    2022年11月21日
  • 残された人が編む物語

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    突然、失踪した家族、友人、恩人が
    身元不明の死者として見つかったら
    すぐには受け入れられず
    なぜ?どうして?と
    自分自身を責めたり、悔やんだり
    他の誰かを恨んだりするかもしれない。
    それまで知らなかったその人の一生を
    辿って見つめ直すことで
    身近な人の死に対してやっと
    気持ちを整えることができるように思う。
    そして残された者としてまた再生される。

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    2022年11月12日
  • 残された人が編む物語

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    ネタバレ

     アイデアは巧みだな。こういう感じでたくらむとは。
     一つ一つ読ませるし、最後に連作的なまとまりが来るとは。
     生きることは修業か。

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    2022年11月09日