桂望実のレビュー一覧
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横暴で歯に衣着せぬ毒舌の女性小説家・樺山ひろ江とその秘書的役を果たす姪の明子物語。
タイトルの我慢ならない女はひろ江の事でしょうが、彼女の行動は余りに小説に一途なため。確かに誰に対しても愛想がある訳ではありませんが、特に自分の作品にいい加減なコメントをする編集者達には罵詈雑言を浴びせます。無名のうちは読んでもくれない、でも一寸名が売れると平身低頭で連載を依頼して来る。そんな編集者が沢山出てきて、ひろ江よりもそうした編集者が別の意味で「我慢ならない」。とはいえ、ひろ江の近くにいるのは相当忍耐が必要ですが。
しかし、一見傲慢なひろ江も実は……という筋書が最初から見え過ぎるところは有りますが、気持ち -
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ある時計メーカーが舞台。そこで働く女性社員たちがプロジェクトメンバーを組み、新たな商品を開発すべく奮闘する。企画部ではなく、あえて素人感覚を重宝するため、人事部や経理、秘書などから選出された6人の女性たち。アイデアを出し合ったり、工場に掛け合ったり、上司たちに企画を通すために根回りを策略したり…。
時計のアイデアも普通に「なるほど!」と共感を感じたし、面白かった。腕時計は仕事中はデスクに置く、というの私もやってるし、ちょっとしたときに置き時計になる、ってアイデアも面白い。
キャラクターの異なる女性たち。それぞれ適性は違う。この物語のように、人間には得手不得手あり、色んな個性があるからこそ、面白 -
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ネタバレ*いかに手抜きをするかが最優先の、無気力に生きるケータリング業者の水島健一。腰痛治療先の病院で難病の少年と出会い、少しづつ大切な何かを取り戻していく健一だったが、少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのかー「生きるということ」「残されたものの哀しみ」を描いた感動作*
色々なものを抱えて生きるということ。他人を想って丁寧に料理をすること。この二点がベースに書かれているが、重すぎず、心にしんと染みる作品に仕上がっている。「最高の最後の晩餐」のくだりは涙なくして読めないけれど、哀しさだけでは終わらない、やさしくあたたかな読後感。 -
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ケータリングをやっている水島健一。
料理人なのに、見た目は良くいかに手を抜くかということに熱心。
「面倒だ」というのが半ば口癖のようだ。
へへへ、そういうあたしも事あるごとに「面倒くさい」を連発している。
本文中に
「効率的」と言い換えればいいのに
という部分があったけど、料理に関しては効率的と手抜きは近いものがあるかもしれない。物は言いようね。
面倒くさがらず丁寧に作った料理には何かしらの力があると思う。英樹くんのために作ったトーストと目玉焼きは特別な料理ではないけれど、とてもとても美味しそうだった。
何事も面倒くさがらず丁寧にやっていきたいものだ。 -
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それで何年にもわたる練習成果が1回17秒間で10回の連続技の演技で決まるスポーツ、トランポリン。演技途中で体勢を崩して危険と判断されれば、コーチの一存でスポッターマットを入れられ中止させられる競技。
スポーツ小説ですがスポ根ではありません。
オリンピックを目指す5人の選手。当然、途中で離脱せざるを得ない人間も出ます。勝つために無理をして試合中に技の難度を上げ、結果的に体勢を崩してスポッターマットを入れられる。挫折と言えばそうなのですが、むしろ覚悟の挫折という感覚です。
スポーツ物は、なんか中にガーッと入り込んで描く感じが多いのですが、この作品は比較的冷静に外から描いているのが特徴です。その分、 -
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長距離ランナーとしての才能に溢れる岡崎優は、科学的根拠に基づいた指導法と設備の整った大学を進学先に選ぶ。彼は起床時のバイタルデータから練習の記録まで、10年間にわたって記録を続けている。生活のすべてをオリンピックのマラソンで金メダルをとるという自分の夢をかなえるために費やし、努力を重ねてきた。
会社経営者の父親。兄を溺愛する母親。優秀な医大生の兄。
経済的にも恵まれ、何不自由なく暮らしていたが、兄の死をきっかけに家族はあっけなく壊れていく。
優が入学した大学の陸上部で彼と対極にいる岩本に出会う。
地方の高校でそこそこの記録を出したが、優から見れば才能もなく記録も頭打ちで将来性も感じられない -
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主人公は大学生の岡崎優。
裕福な家庭に育ち、走るための素質を備え、父からのサポートもあり、
自らの努力も惜しまない。その結果、たくさんの大学がぜひうちに、と
スカウトするほどのものだった。
何もかも揃ってる完璧な奴。それ故に不遜なところがあるから
大学の陸上部内でも孤立するのだが、それすらに気にしない。
とまぁ、ここまでくれば、王道パターンのひとつかなぁと思うよね。
天才かつ努力家であっても挫折を味わって、なかなか抜け出せなくて
凡人以上に苦しんで苦しんで結局は乗り越えてさらなる栄光を掴む、
そんなパターンなんだろってさ。
それがさぁ、全然違うんだよねー。
これ以上言うとネタバレになっ -
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一言で言うと箱根駅伝小説。
主人公岡崎優はオリンピック金メダルを目指す大学一年生。
今まで走りにかけては誰も彼より先にゴールを許したことがない。
大学生になった優は陸上部に入るが花の2区を区間新で
走った先輩を見てこんなものかと呆れてしまう。
ある大会でも結果を残した優は常に自分が集中できる環境
サポートチーム「チーム岡崎」を(強引に)立ち上げてもらう。
しかしある日兄の翼が電車事故で死に、
その死の真相について考えるようになった優は
以前の走りに集中できなくなってしまう・・・。
後半はほとんど優は走りませんが箱根駅伝を目指す
(全体を見れば)爽やかな小説です。 -
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「県庁の星」の作者の箱根駅伝もの(県庁は読んでないけど)
「たすきなんて興味ないから。自分の走行区間で、大会記録を狙うだけ。全体の順位はどうでもいいんだよね。みんなのタイムを見てると、優勝争える感じじゃないし。駅伝で思い出作りしたい人たちは参加だけで嬉しいのかな?でも僕にとって駅伝は通過点なんだよね。駅伝を最終目標にしてる選手と同じ取り組み方はしてないってこと」
長距離走にズバ抜けた才能を持つ優は生まれてから出た大会で1位以外になったことがない。
裕福な家庭で育ち、将来を嘱望されて箱根駅伝優勝を目指す新進私立S大学に入学するが、すべてはオリンピックで金メダルを取るためであり、箱根駅伝