あらすじ
離婚、クビ、収入ゼロ……。
もう、だめかもしれない。
そこからも、人生は続く。
日常に突如現れた落とし穴から、したたかに這い上がる!
『県庁の星』の桂望実が描く、アラフィフ女の低温地獄。
長年夫を支えてきたつもりだったのに、急に離婚を切り出された専業主婦。
新規事業を立ち上げて15年、働きぶりを否定された会社員。
ともにオリンピックを目指した教え子に逃げられたコーチ。
22年間続けたラジオ番組をクビになり、収入が途絶えたフリーアナウンサー。
どん底に落ちた女たちの、新たな人生の切り開き方とは?
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どん底におちた40代、50代の女性たちが這い上がる四つの話。誠意を尽くせば立ち上がれるという展開で励みになった。
特に三章の「四十六歳で教え子の選手に逃げられる」が心に残った。良かれと思っていた指導であったが、教え子には伝わらず他のコーチの元に逃げられてしまった邦子。そこからコーチングを学び、自分なりにいろいろ努力していく。
拓也との出会いと信頼関係を築く姿がとても良かった。拓也の美しいクロールの泳ぎに驚いた邦子だが、何と邦子のフォームを小さな頃から繰り返しみて身につけたフォームであった。その後、二人三脚でついに金メダルを獲得。涙がジワッと込み上げた。
裏切った元教え子がまたコーチをやってほしいと都合よく擦り寄ってきた際の、邦子の「選手とコーチの間で一番大事なのは信頼関係。一度壊れてしまったらもう元には戻らない」という言葉が重い。人間関係全般にも言えること。家族もしかり。感情に走った言葉は言わずに、相手のこと、自分のこともよく考えて人との付き合いをしていきたいと思った。相手のことを知ろうとする努力が大事と改めてわかった。
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どなたかの本棚で見つけたこの本、あっと言う間に読み終えてしまった。
オムニバスで各話にそれぞれの主人公が登場。
みなさん、すごく芯が通っていて、仕事もできる主人公。
ただ自分の力の及ばないところで、キャリアが失われるが、なんとか頑張ってそれなりにハッピーなところに落ち着く展開。
現実はそんなうまくいかんよなあとは思うものの、タイトル通り踏ん張れない人には何も訪れてこないんだろう。
自分も歳を取ったが、新しい事への挑戦の必要性を深く感じたなあ。
読みやすくていい本でした(^^)
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50代で、長年頑張って続けてきたことから見放された人たちの人生好転話。垣谷美雨さんの作品に続き、50代からでも一人でやっていけるように経済力つけなきゃと思った。
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4人のミドル女性のお話でした。
オーディブルで聞きましたが、どの章もすっと耳に入ってきて、お話もわかりやすいと感じました。
女性が、スカッとする世界の主人公になることが少ない、さらに中年くらいになってくるとますますあまりないよなぁと感じる中で、自分自身の年齢とは異なるもののなぜだか存在自体が嬉しく感じる本です。
内容は全て、ラッキーハッピーなご都合主義ではなく、主人公自身の努力の積み重ねや、反省、内省して改善を試みたからこそつかんだ未来になっているからこそ、現実でもなんだか起こり得そうで、私も頑張りたいなと思えました。
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奈落の底へ突き落とされた4人のアラフィフ女性が見事、リベンジを果たすストーリー。
当然ながら奈落の底へ突き落とすのはオトコたち。
特に一話の夫にはウンザリだったのでラストは痛快でした。
これ、ぜひともNHKの夜ドラでドラマ化していただきたい!
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キャリアを否定され、奪われたり、離婚を切り出されたりして、ある日突然どん底に落とされたアラフィフ女性が這い上がるまでの4つのお話。
特別な才能やずば抜けた実績がある人でなければ、アラフィフの女性には「自分が必要とされなくなる不安」や「疎外感、居心地悪さ」を感じる場面が出てくると思う。それでも周りをよく見回せば、応援してくれる人や話を聞いてくれる人はいるかもしれない。そして別な場所に目を向ければ、まだ花咲けることができるかもしれない。でも待っているだけでは状況は動かない。自分で掴みに行かなくては…ということを改めて確認させられる。
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人生逆転の4編。出来ること努力する、発想を変える、チャンスを逃さない、戦う、人生逆転の道はいろいろ。
ラストはどれもスッキリで元気が出るお話でした。
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まずまず平穏な人生を送っていたはずなのに突如として崩れた足許。自分が落ちてしまった陥穽はあまりに深く絶望的な気持ちになったが……。
人生の岐路に立たされたアラフィフ女性たちの選択と再起を描く痛快リベンジ短編集。
◇
伊藤由美はいつものように夕飯の支度を始めた。まだ午後6時。夫の帰宅まであと1時間ほどある。十分間に合うだろう。
雅規と結婚して28年が経つ。当時25歳だった由美も53歳になった。食器棚のガラス扉に映る自分の顔。確かに老けたと思う。
今日の昼、5年ぶりに江都子と会った。大学教授をしているその友人は、由美を見るなり「老けたわね」と言った。
ムッとした由美だったが、江都子の溌剌とした様子を見てことばを飲み込んだ。自分と同い年のはずなのに10歳は若く見える。人前に立つ仕事をしているのが大きいのだろうかと、密かにため息を吐いた。
帰宅して食卓についた雅規はテレビに目を向けたまま黙々と料理を口に運んでいる。せっかく夫の好きな献立なのに、無言で食べられては張り合いがない。「美味しい?」と尋ねても、雅規は由美の顔も見ずに「ああ」と短く答えるだけだ。
まあ元々無口な人なので仕方ない。静かで穏やかな生活ができているのだから幸せなのだと由美は思うことにした。
けれど、夫がいきなり離婚を切り出してきたのは、その数日後のことだった。 ( 第1章「五十三歳で専業主婦をクビになる」) ※全4章。
* * * * *
小さな幸せだけれど、それがいつまでも続くと思っていた各話の主人公たち。
ところがある日、その平穏な生活が突如として崩れ去ってしまいます。途方に暮れ、人生を悲観する彼女たちですが……。
絶望の淵にあって、彼女たちは沈みっぱなしにはならず、再起を図る決心をします。再起に必要なことは「リベンジ」です。
ここでポイントとなるのは、そのリベンジの方法です。
彼女たちは、自分を奈落の底に突き落とした相手に何かを直接仕掛けるのではなく、それまでの自分を見つめ直して自身の在り方を変えていこうとします。
つまり、それまでの自分へのリベンジを、結果的に相手を見返すことに繋げるのです。
第1章の主人公は53歳の由美。
地味な専業主婦として生きてきましたが、離婚によって唯一の居場所だった家庭を失います。
けれど生活のため、社会に能動的に関わることを選択した由美は、やがて真の自立を手に入れていき……。
第2章の主人公は51歳の英子。
旅行代理店の中間管理職です。堅実な仕事ぶりで役員目前まできていましたが、社内政治に長けた同僚の男に企画を潰され役員の座もその男に奪われます。
けれど退職して起業することを選択した英子は、自身の企画をさらにブラッシュアップし、積極的な営業を展開することで……。
第3章の主人公は46歳の邦子。
スイミングスクール所属のベテランコーチです。専属コーチとして担当していた有望な若手男性スイマーから、ある日突如契約解除されてしまいます。
けれど自身のコーチングスタイルと向き合う選択をした邦子は、大学院で学ぶなどしてスキルアップに努め……。
第4章の主人公は52歳の綾子。
フリーアナウンサーとして22年間担当していたラジオのトーク番組を、ディレクターの私情により降板させられます。
けれど生活のため選択した「話し方の個人指導」という地道な仕事を続けるうち、自身のアナウンスメントにもさらに磨きがかかっていき……。
彼女たちは自身を高める生き方を選択することでみごとに再起を果たします。そして身勝手な理由で自分を奈落の底に突き落とした男を見返す姿が、ラストで描かれます。
テーマ的に柚木麻子さんの『あいにくあんたのためじゃない』と重なりますが、痛快さでは本作のほうが格段うわまわります。
スッキリした気分で新年をスタートさせたいという方にはオススメです。
Posted by ブクログ
物語に感情移入してしまう人には読みやすい本なのかなと思いました。
地獄といえども、想像していた感じとはちょっと違ったので、とても読みやすかったです。
この本を機に、もっと大変な思いをしている人の物語も読みたいなと思いました。
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逆境からの復活4編。
タイトルからの想像とは違っていたのは、四人とも家族や友人など親身になってくれる人が側にいる事。
全然地獄じゃないじゃん。
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地獄の底という表現はどうだか?っとは思うけど、平和だと思ってた家庭でいきなり離婚を言い渡されるとか、全てをかけてきたつもりの仕事で全否定されるとか、仕事がなくなって無収入になるとか、なかなかの悲劇がたくさん。
自分にとっての最悪の状態から戸惑いながらも前へと進み、幸せの入口を見つけるという、題名のイメージとは違いスカッと感がある。
誠実に生きている人には必ず前向きな道がある!って励まされる感じ。
Posted by ブクログ
離婚、クビ、収入ゼロ。
もう、だめかもしれない。
そこからも、人生は続く。
帯にあったこのフレーズに惹かれて、本を手に取りました。どの話も、理不尽に安寧を奪われつつもそこでへこたれずに立ち向かっており、明るい気持ちで読むことができます。
ただ、地獄の底やどん底という表現ほどには思えず、タイトルとのミスマッチを感じました。また、どの短編も構成が似ており、結末がすぐに予想できてしまうのも少し残念でした。
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50歳前後の女性たちがある日突然、日常を失う様子を描いた4つの中編集。
53歳で専業主婦をクビ、52歳で収入がゼロになるなど、明日は我が身の内容ばかり。
と言うか、もうほとんど自分のことみたい。
同年代で今まで迷いなく、働いて来たのに、ここに来て思うように働けなくなった。
そんな自分の現状に重ね合わせるように、タイトルに惹かれたんだけど、内容はいい方に裏切られた。
離婚を言い渡されたり、仕事を切られたりしたら、その時は頭が真っ白になるだろうけど、この作品の主人公たちは「今、自分に出来ること」を全力で取り組んでいく。
50歳過ぎたら、転職も無理だろうし、ましてや新しい仕事なんて…と考えていた自分を鼓舞してくれた気がする。
作者初読みかと思ったら、随分前に「ワクチンX」と言う作品を読んでいた。随分作風が変わった…
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女性がメインの短編4
それぞれが思いがけずに地獄を見せられる
ずっと専業主婦だったのに夫に若い女性と再婚したいと切り出され働くことにした
下に見てきた夫を見返す
同僚が社長に媚を売り取締りに就任
会社を辞め自分で新しく体験ツアー会社を設立し軌道に乗せていくが前の会社は同僚だった人がトップとなり売り上げが下がる
水泳でオリンピックを目指して教えていた子にLINE一本でコーチを辞めされられた
だが自分にコーチを依頼したいと思う人と教え方を変えたりしながらやっていく
ラジオのパーソナリティ交換と言われクビになったフリーアナウンサー
収入が途絶えバイトで始めたウグイス嬢
話し方を褒められ始めた話し方を伝えるためのレッスン
女性が逞しく強く前を向き歩いていく
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40代後半から50代前半という人生の後半戦。
ここまで来たらなんとなく自分の行き先も見えてくるというようなタイミングで、まさかのまさか想定外の事態にぶち当たった4人の短編集。
いずれのお話も主人公はどちらかというと巻き込まれる側・梯子を外された側のような描かれ方なので、最終的にどんでん返しでスッキリ!というストーリーが多く、気持ちが良かった。
(一方で、第三章は主人公の側にやや落ち度もあるのでは?感が否めず、個人的には教え子の側がかわいそうな感じもあったが…)
私自身、身近なところでも人生後半のひっくり返りというケースを見たことがあり、本当に何があるかわからないと思っている。
そんなとき、この本を読んで勇気をもらい、ひと踏ん張りのパワーをもらえるといいのではないかなと思った。
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痛快な本。
離婚されて自分で仕事をしないといけなくなった専業主婦、でも楽しく働き始める、会社でおべっかばっかりの隣の部長が先に役員になり、退社した女性部長。独立して紆余曲折あるが成功する。いづれも最後にざまーみろ場面がでてくる痛快な短編。
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audible88冊目。
人生後半戦、に入ってからの「大転換」は、若い頃の挫折よりも厳しい…と思います。
現にわたしも、若い頃なら「わかりました、やってみます」と二つ返事で言えた仕事に、この春、「正直、この歳になってそれは、かなりきついです」と答えました。
気力も体力も充実していた「あの頃」なら、向こうみずに、がむしゃらに、突き進めたかもしれないけれど。
自分の気持ちや状況、経験を冷静に総合して考えて、正直無理だなあと感じたからです。
それぞれの物語の主人公たちは、その「正直無理」な大転換を迫られながらも、どうにか、自分の気持ちや暮らしを立て直しにいっています。
現実、そうするしかないですもんね。
動揺や諦め、悲しみに共感しました。
が、どの主人公も、ただ周りのせいにするだけでなく、自分自身にも矢印を向けて考え、見つめ直していたところが印象的でした。
そうすると、不思議と、周りのささやかな心遣いにも気付けるようになるし、それを励みに、自分に言い訳をしないで頑張れるようになる。
状況は大きく変えられなくても、自分の考え方次第で、事態は少しずつ、良くなっていく。
人生後半戦に入った大人、特に女性におすすめの小説でした。
Posted by ブクログ
アラフィフ女性たちのどん底から這い上がる快進撃短編集。
人生うまくいかなくなったとき、今までの手法で対応するのではなく、一歩引いて自分を俯瞰して見て柔軟に対応できるようにしていきたいと思った。
Posted by ブクログ
※
がっつりどん底
でも、したたかに強く頑張ろう
そう思わせてくれる物語
元気もらいました
53歳で専業主婦をクビになる
51歳でこれまでの働きぶりを全否定される
46歳で教え子の選手に逃げられる
52歳で収入がゼロにらなる
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40代50代での思わぬ落とし穴に奮闘する女性たちの話。自分の生き方がある程度固まってきたこのくらいに世代で、主軸を失うのは相当きつい。が、まだまだ新しいことに挑戦できる底力があると勇気をもらえる一冊。自分に正直に、前向きに、視野を広く生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
アラフィフになった女性が突然、どん底に落とされると言う話。第1章の「五十三歳で専業主婦をクビになる」は元旦那の自分勝手な態度に腹が立ったし、よくこんな虫がいいことが言えるなと読後感が悪かった。残りの話は割と前向きに読むことができた。
このまま変わらずに人生は続いていくものだと思っていても、ある日突然、足をすくわれてしまうことがある。その時がアラフィフだったら不安に駆られるだろうな。自分だったら彼女達みたいに強く前を向ける自信はないけれど、生きていくためには頑張るしかないんだろうな。
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(作者と同年代の)中年を過ぎて生活の基盤を理不尽に奪われた女性たちが、新たな生きがいを見出し、その原因を作った男性にしっぺ返しをして溜飲を下げる。
男女逆の設定だったら、企画さえなかったかも知れない。
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4章まであるが女性が全て帰路に立たされる物語であった。平穏な生活の中突然崩れる生活は大変。それに立ち向かう気持ち精神力がいる。たまたまかもしれないが、いざとなったらこんなに強くなれるものかと思った。これ以上悪くならないタイトル「地獄の底で見たもの」それほど地獄ではない様な気がする自分としては、とにかく頑張るしかない。
Posted by ブクログ
4つの短編でした。
どのお話も、日常の突如現れた落とし穴から、したたかに主人公が這い上がるお話です。
新年から前向きになれるお話で、何だか頑張ろうって思えました。第1章が1番好きでした。
ーーー印象に残ったーーー
•言い訳に年齢を使う人。やらない、出来ないのを、年齢のせいにしておけば、自分を納得させ易いんですよね。p35
•愚痴を言っている時間が勿体ないp58
•トラブルが発生したら、それを楽しめばいい。p105
Posted by ブクログ
女性は強くてしなやか、というのが個人的なイメージ。だから、4人の主人公に拍手喝采。男はこんなに気持ち良くV字回復できないと思う。バックスラッシュで撃沈かな。