あらすじ
消えてしまったあなたへ――
突然の失踪。動機は不明。音信は不通。
足取りを追って見えてきた、失踪人たちの秘められた人生。
喪失を抱えて立ちすくむ人々が、あらたな一歩を踏み出す物語。
主婦の上田亜矢子は、疎遠だった弟・和也が消えていたと知り驚愕する。
行方不明者捜索協会に依頼して、担当になった西山静香と、和也の行方を追うことに。
和也と時間を共にした人たちから聞かされる話は、亜矢子が知っていた弟とは違っていて……(「第一話 弟と詩集」)。
捜索のはてに、彼らがみつけたものとは。
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いなくなった人に想いを馳せる生きている人の為のお話だと思った。誰かを亡くした人にとってはこういう風に解釈してもいいんだよと寄り添ってくれるような優しい良い本だった。
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1話目 またまた桂望実が泣かせにきたぞ
2話目 やっぱりね
3話目 あれ?ちょっと雰囲気変わったね
これも好きだよ
4話目 上手いよ じんときちゃうよ
5話目 待った甲斐があった
読み終わった瞬間次を期待しちゃう
Posted by ブクログ
民間団体「行方不明捜索協会」に家族や身近な人の捜索を依頼した人の物語5編を収録。各短編に直接の接点はないが、職員「西山」が4つの短編で依頼者の担当となり、残り1篇では彼女自身の捜索物語となる。
身近な人がある日消息を絶ち、あるいは久々に会おうとしたら行方知れずになっている絶望感。接点がなくなっているということは、円満な関係を継続できなかったということなので、それぞれ曰くがあるわけで、小説としてはそのあたりの曰くが読ませどころ…というかメインテーマになる。
そういうテーマだから、ほぼどの物語も明るいものではない。しかし、どの物語も余韻は悪くない。
しっかりきちんと生きていこう、とか、身近な人や接点を断ちたくない人とはしっかり向き合っていこう、とか、そういう風に思えたことが良かった。
残された人が編んだ物語ではあるが、消息を絶った人も彼らからすれば、幸せな世間から接触を断たれた不幸な側に「残され組」ともいえるわけで、彼らには彼ら目線の物語があるんだろう。どこの誰にでも物語はある、語られない見えないその物語も貴重なんだろうなぁと思う。
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身近な人の失踪というのは滅多に起こることではないので、感情移入は難しかった。
けれど、人間関係の複雑さには共感できる部分がいくつもあった。
その人のそばにいて看取るのと、行方もわからぬまま知らないうちに亡くなっていたと知るのとでは、同じ″死″でも残された側にとっての意味はまったく異なるのだと感じた。
その人の人生の終わりまでを知っているかどうかで、残された者が死を受け入れる重みのようなものも変わってくるのかもしれない。
なぜ“知る”ということが、こんなにも大切なのか。
経験がないからこそ、読後には哲学的な疑問が残った。
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行方不明って実際すごく困惑すると思う。何らかの理由や結末がないと自分の中で消化できない。
たとえ亡くなっていても、こうして足跡を辿ってくれる人がいたらいいなぁと思った。自分にとって都合の良い物語を作ることも時には必要。
ストーリーは3話目の最高のデートが面白かった。付き合っていた頃からの旦那さんの全てを覆され、それを受け入れて行くというなんとも辛いんだけど。
で、最後の章で行方不明捜索協会の西山自身の過去を回収という構成もよかった。
実際行方不明捜索協会のHP見たら、うわー、、世の中こんなにもいるのね、そうだよね、生きづらい世の中。
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亡くなった方への想いはどんどん美化されるか全くその反対か。どっちも正解なんてわからないけど、今生きている残された人が少しでも幸せに生きるための物語が大切だと学んだ。孝行したい時に親は無し。
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人が亡くなった場合、お葬式またはお別れ式や最近ではシンプルにお見送りのみをして火葬へと流れます。これは亡くなった人を送る儀式でありながら、残された人達が別れを実感するための儀式でもあります。この本では行方不明者を捜索しますが残念ながら皆亡くなっています。儀式がないまま亡くなっていると、亡き人の死を実感できなないので気持ちの整理がつかないことがあるでしょう。それを行方不明創作協会のサポート部のサポートを受けながら生前の亡き人を知ることで気持ちに整理をつけていくというお話で、まるでお葬式の儀式に似ているように感じました。
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行方不明者を探す団体があるのは初めて知りました。
いなくなった人を探す人々に寄り添った話。
どれも辛い話ですが、自分なりの結着をつけるのは大事なのかなと思いました。
生きるということは辛いこと。そう知らされた本です。
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どれも何とも哀しい物語で読んでて辛くなる場面もあったが、各編の主人公たちはそれでも前を向いて進もうとする想いに引き込まれた。この著者の作品は初めて読んだが、他の作品も読みたくなった。
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「弟と詩集」「ヘビメタバンド」「最高のデート」「社長の背中」「幼き日の母」
5話収録の連作短編集。
行方不明者捜索協会で働く西山静香と、そこを訪れた依頼者が失踪者の足跡を辿り亡者の人生の物語を編んでいく。
関係者を訪ね歩く中で見えて来るのは良い事ばかりではない。
亡くなった後で知る深い愛情もあれば、家族に隠していたドス黒い本性まで色々だ。
動機も分からぬままの突然の失踪で取り残されていた人達。
真実を知る事できっと彼らは前へと歩み出せるはず。
最終話で綴られる西山静香自身の人生も胸に沁みた。
涙腺が緩む喪失と再生の物語。
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家族、友人、別れた配偶者、前の会社の上司。その気になればいつでもつながれると思っていた暫く離れている人が亡くなっていることが判ったら…。5つの短編はそこから始まります。「行方不明者捜索協会」の業務は行方不明者の捜索が終了すると一旦終わりますが、突然残されてしまった人のために亡くなった人が最期にどんな暮らしをしていたかを知るための手伝いをするサービスが付帯しています。5編ともそのサービスを通じて残された人が亡くなった人を再認識する、そしてその過程で亡くなった人に対する自分の気持ちを再発見する物語です。5編目は「行方不明者捜索協会」のベテラン担当員、西山静香の母親のエピソード。よく笑う少女だった彼女がなぜ笑わない寂しげな大人になったのかが失踪した(と思われた)母親の最後を辿ることで明らかになります。各編とも読後に静かな感動がわきあがる佳作だと思います。
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突然、失踪した家族、友人、恩人が
身元不明の死者として見つかったら
すぐには受け入れられず
なぜ?どうして?と
自分自身を責めたり、悔やんだり
他の誰かを恨んだりするかもしれない。
それまで知らなかったその人の一生を
辿って見つめ直すことで
身近な人の死に対してやっと
気持ちを整えることができるように思う。
そして残された者としてまた再生される。
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音信不通、あるいは突然の失踪により
家族や友人が目の前から消えてしまったら。
5つからなる連作短編集。
手がかりがなく「行方不明者捜索協会」を訪れた依頼人と
担当者・西山静香が静かに編む物語。
調べていく間に分かってくる過去。
綺麗事ばかりではなく、知らなければ良かったと思うケースもある。
どのエピソードも丁寧な言葉選びがされている。
とても良かった。
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行方不明者捜索協会を利用する依頼人、そこで働く西山静香を巡る5つの連作短編集。
突然の失踪。動機は不明。音信は不通。見つかったときは身元不明者として悲しい結末を迎えていた。疎遠になった弟。苦い別れをした学生時代のバンド仲間。突然失踪した夫。最後は西山自身の母…。失踪人たちの秘められた人生。喪失を抱えて立ちすくむ人々が新たな一歩を踏み出す物語。心に沁みます。あの人は今どうしているのだろう。行方不明じゃないけれど、仲の良かった昔の同級生、引越しで疎遠なった人々のことを想い出す。
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まぁ見事に皆様お亡くなりで。。。
3章目のみ共感できなかったけど、
あとはしみじみ故人を偲ぶお話で
じんわりしました。
シリーズ化できると思う
Posted by ブクログ
じんわり切ない話ばかり。
疎遠になっていても、思い出す愛情や色々な気持ちに共感した。
密に連絡をとり、近い人だけが大切ではないんだよなと実感させてくれた。
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行方不明になった家族、友人、お世話になった人たちを探す5つの物語。
行方不明者捜索協会のスタッフに手伝ってもらいながら探しだしたその人たちはみんなそれぞれの理由で亡くなり警察の身元不明者となっていた。
なぜこうなったのか。どんなふうに生きてきたのかを辿っていく。
真実とは限らなくても、生きていた証の物語が綴られていくのは慰めになるように感じる
Posted by ブクログ
登場人物が眼前に現れる
ちょっとした表現が、物語を立体的にする。死んでしまった身内や友人から力をもらうそれぞれの主人公たちが目の前に出てきそうな感じ。筋書きよりも何よりも、そこに驚いた。
それぞれの死が事故か自死かは問題ではなく、それに向き合う様子を読むんだけど、さすがにそれは未体験ゾーンだから感情移入が難しいのだが、なんとなく共感できるような気がするのは気のせいかな。
他にもこの作者さんの物語読んでみたいな。
Posted by ブクログ
失踪した人を探してサポートするという、かなり消耗しそうな仕事をしている女性のオムニバスストーリー。
弟、バンド仲間、夫、勤め先の社長、母と色々な関係の死と、その周辺を調べるうちに、生前知っていた姿との違いや驚きを発見していく。
Posted by ブクログ
※
喪くした人との記憶を手繰り寄せることで、
大切な人を失った事実を少しずつ理解していく。
喪失を受け入れ新たな一歩を踏み出す物語たち。
故人の足跡を辿るとこは、残された人が
その人の物語は終わったんだと納得して
なんとか自分なりに物語を完結させるため。
事実かどうかが大事ではなく、
時には周囲の人がその人の死を納得しやすい
物語であってもいいのではないか。
だから残された人が物語を“編む”んだな、
とストンと心に落ちてきました。
Posted by ブクログ
自分の知らない身近な人の生前の物語。いろいろなケースがあったが、残された人がその物語を知ることで死を受け入れることが出来ているようだった。「最高のデート」は愛した夫が実は性格の悪い人だった、と言う意外な話だったが、逆に立ち直れる、と言う面白い物語だった。
Posted by ブクログ
突然の失踪
動機は不明
音信不通
警察に届けてはみるが、大人の場合事件性がないと捜索はしてもらえない。
探偵事務所に頼む他にもいろいろな方法があるらしい事を作品で知りました。
行方不明者捜索協会(作中では)に訪れる依頼人を
サポートする女性・静香さんが冷静にサポートして
発見に尽力してくれます。
短編5話はどれも辛い話でした(*_*)
けれど見つからないままでは先に進む事ができない
失踪理由はさまざま、亡くなった理由も…
失踪してから亡くなるまでの物語
悲しい話だけど一歩前に進む希望のある結末です。
最終話はサポート静香さんのお話
静香さんがまた笑える日も近いといいな(^ ^)
Posted by ブクログ
失踪、亡くなった人の人生を辿ることで自分や故人の来し方を思い、前向きに生きて行こうとする姿が感動的でした。「行方不明者捜索協会」は心のサポートも行ってくれるのですね。
Posted by ブクログ
その名前の通り、依頼を受けて行方不明者を探す「行方不明者捜索協会」に勤める西山静香が主人公の連作短編集。
失踪の理由は哀しいものだが、どの話も上手くまとめてある。最後は主人公自身の話で締めくくられている。
Posted by ブクログ
あの人どうしているかなと思って探したら既に亡くなっていた。どうして亡くなったのか。生前何を考えていたのか。故人を知るために動き出す人たちの話。
亡くなった人は確かに美化される部分もある。綺麗な思い出だけ覚えておきたい気持ちは分かる。逆に真実を知ることがそんなに重要なのかと疑問に思えてくる。
短編のひとつに、失踪した夫が実は腹の中では妻を見下していたり後輩の手柄を横取りしたりしていたことが分かる話がある。
まさに知らない方が幸せだったと言えよう。
自分に都合の良い解釈をしたって良いのだ。死者はもう何も語らない。
死者の物語が時として生者の励みにもなり得るのであれば、事実をねじ曲げて解釈することも私は歓迎だ。