岡崎隼人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物心ついた頃から殺し屋として育てられ、一切の楽しみを持たず忠実に職務をこなしてきた雨乞。しかし彼はひそかに、小説を楽しみ自らも書こうと試みていた。ある日受けた任務を遂行しようとした雨乞は、とあることに気づき任務を中断してしまう。24時間の猶予を貰うものの、ある事件の真犯人を見つけなければ雨乞も彼の守りたいものも葬られることになる。バイオレンスに溢れ、しかしハートフルさも感じられるサスペンスミステリです。
ストイックなのだけれど小説に魅せられてしまった雨乞が素敵なキャラクターです。心を殺し一切の情緒を持たないように育てられた彼だけれど、いろんなことに気づき向き合っていこうとする姿勢がとにかく好ましくて。登場する他の殺し屋たちも魅力的でした。みんなどこかしら歪んでいて、だけれどその歪みも愛おしく感じてしまいます。そしてそこまでしても和尚の支配から逃れられないのが悲しい……というか和尚の悪辣さが、わかりやすくない分だけたちが悪いです。
とにかく激しく惨い物語なのだけれど、随所で「愛」の優しさを感じることができました。そして小説ってやっぱりいいよね、という気分になります。 -
Posted by ブクログ
見た目が派手派手しいので
目についたから買ってみた
設定がマンガっちいし
大したことなかろうけどな~
すまんかった…
とてもおもしろかった…
ムネアツゥ!って何回もなった…
マンガっちいのはその通りなんだけど
かっちょいいマンガっちさというか
いやもうエンタメが過ぎる
勢いあるし
キャラたってたし
なかなか真犯人にたどりつかないのは
ちょっとばかしまわりくどさもあるけど
いやもうエンタメが過ぎる
痛いの怖いの苦手なので
ヒッ!てなるとこ結構あるけど
ぎゅんぎゅん読めたし
楽しかったー
おもしろかったぜ!
って人にオススメできるので
星は4つ -
Posted by ブクログ
最初の一行は共通で、あとの展開が作者によって異なる、メフィストリーダーズクラブのショートショート企画の第七弾。「検索結果はありません」の一文で始まる24の短編集。
この一文で始まるので、あるはずのものがない、という内容が多め。そのためか、「小説版の世にも奇妙な物語短編集」のような内容が多く、楽しめた。
少々、落ちがわかりにくかったものがあったのはやや残念。
(ちなみに、短編集なので、ボリューム不足云々言うのはお門違いだと思ってる)
特に面白かったのは、風森章羽「検索の怪物」、金子玲介「お前のためのハンバーグ」、梨「被り拒否強火担なんで自衛でブロックします」、時農(著)阿井幸作(訳)「変容」、麻根重次「ロスト・マム」。
次回作『引き出しの奥に何かがある』を楽しみにしよう。 -
Posted by ブクログ
2026.07.28
このショートショート企画のなかでいちばん「これ、おもしろいな」と思った本。
お気に入りは3作。
市塔承さんは『最後の一行』がはじめましてで口調の軽さが好きで読みやすかったのだけれど、今回も突拍子もない物語でありながら一気に読めた。想定外にほっこり。
横関さんははじめましての作家さん。会社勤めしたことある?と思える内容。ヤマシタ、人事が天職だわ。出来る人ってこうよねと関心してしまった。
河村さんの物語はクイズ作問者ならではの視点かもしれない。動画でふくらPが「使う側より作る側が強い。世の中ってのはそういうもん」という言葉を思い出してにそにそした -
Posted by ブクログ
書店が舞台になった怪談を蒐集してまとめた本を出そうとした作家のお話です。
主人公は、次の作品の題材に舞台を新刊書店に限定した怪談を選んだ小説家の男性。自らも多く怪談本を読んできた彼は、古書店ではなく新刊書店で書店員が見たり感じたりした怪談を集めてまとめつつ、軸になるものは内容を掘り下げて追いかけて行くという方針で、担当の編集者と共に全国の書店に体験談の募集をかけた。初めは、集まってきた怪談が思ったよりも量がありそうなことに喜んでいたものの、そのうち奇妙な共通性に気付いてしまう。エプロンの紐をほどく、本棚の隙間などの狭いところにいる何か。全国のあちこちで見られるその現象の震源地を探るべく焦点を合わせていく二人だが、担当編集の男性には障りと思われる現象に悩まされるようになってしまう。
実話怪談を集めている作家の目線で進む、怪談話と謎解きが合わさった一冊の『書店怪談』の物語でした。新刊書店で日々働く書店員が見聞きした話に限定して、怪談話を蒐集することにしたものの、段々とおかしな様子のメールが届くようになっていきます。あの怪談とこの怪談はもしかして繋がっているのではないか、という共通点を探り出すと、あれもこれももしかしたら、という話がいくつも浮かび上がってきて、その震源地を深掘りしていくことになるのですが、担当編集は霊障と思われるものに振り回されるようになって――しかし、最終的な結末までは描かれません。謎解きパートの部分は少し冗長な感じがしますが、あの怪談もこの怪談も実はつながっているんじゃないか、と考えていくのは少しドキドキしました。
どの実話怪談集を読んだ時だったか、全く違う時期、違う場所で蒐集したはずの怪談なのに、何故か同じような現象が起きていて、突き詰めていくと根っこが同じだと震源を探れてしまう話は業が深い、というような内容を読んだことがあるように思います。実話怪談の蒐集家が扱ってはいけない怪談としている類のお話です。集めるだけでも良くない、書こうとすると障りが出る。怪談の原因を探ろうとして探れてしまうのは、もう怪談ではなくてその原因になっている『なにか』による加害事件の様相になっていってしまいます。そういう意味では、今回の物語の中で謎解きパートとして怪談を追いかけて行くのはかなり危険な行為のように思えてそわそわしました。
妙にリアルで、時々狂気が垣間見える怪談ホラーでした。 -
Posted by ブクログ
2026.05.20
書泉グランデで『書泉怪談』がおまけでついていたので迷わず購入。「全国の書店員さんが寄せた書店や本にまつわる怖い話」を集めた、いわば実話怪談集を作ろうとして、それらの怪談に小さな共通点があることがわかり...というモキュメンタリーホラー。
怪異の元になった事件があまりに悲しい。そしてその「人」が信じた「本と書店への希望」が怪異の念になっているのもまた悲しい。
怪異は怪異を呼ぶという。この念がいい怪異も悪い怪異も呼び込んで、書店と本を介して書店員さんに緩衝しているんだな、と妙に納得ができてしまい、これ本気の実話怪談なんじゃないの?!と混乱してしまった。おもしろかった。
あと、絶対、装丁外して表紙見て。怖いから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「書店」という閉鎖的な空間に特化したホラー小説を書いてみよう。そんな発想から、本書は動き始める。
けれど、書店にまつわる恐怖体験と聞くと、正直かなり限定的で、そこまで怖い話は集まらないのではないかと思ってしまう。
しかし、担当編集者と話し合いながら全国の書店員さんに恐怖体験を募集してみると、予想以上に多くの体験談が集まった。
内容は実にさまざまだ。
書店内に犬の幽霊が現れ、犬の缶詰を開封せずに置いておいたはずなのに、翌日には蓋が開き、中身が空になっていたりする。
著者名順に「あ」から「ん」まで並べていた本棚が、いつの間にか「ん」から「あ」へと逆順になっていたこともある。
また、入口近くの新刊棚に太宰治の『人間失格』が置かれており、元の場所へ戻して閉店したはずなのに、翌朝店を開けるとまた同じ新刊棚に戻っていた、という話もある。
ほかにも、耳元でささやく声が聞こえて振り返っても、誰もいないといった体験も語られる。
そうした数々の怪異の中で、特に目を引くのが、「子どもと思われる幽霊」を見たという証言がいくつも存在することだ。
書店の場所も違えば、体験した人同士にも接点はない。それでも、怪奇現象に子どもが関係しているという点だけは、不思議なほど共通している。
しかも、それ以外にも細かな共通点がいくつか見えてくる。
もしかすると、全国から集まった「子どもの霊が現れる」体験談には、何かしらのつながりがあるのではないか。
そう考えた著者の岡崎さんと編集者は、特に似通った体験談に注目し、体験者への直接取材などを通して情報を集めていく。
本書は、次回作のテーマが自然と「書店にまつわる怪談」へと定まっていく流れを追いながら、全国の書店員さんから体験談を募っていく過程そのものを描いた構成になっている。
読者は、その体験談を資料のように読むことができるだけでなく、そこに浮かび上がる共通点について、著者たちと一緒に推理していく感覚も味わえる。
単なる短編集として読んでも楽しめるし、それぞれの話の奥に渦巻く「子どもが登場する怪異」の輪郭が、少しずつ立ち上がってくるのも面白い。
モキュメンタリーホラーとして、飛び抜けて恐ろしい作品というわけではない。けれど、本好きの僕にとっては、書店という身近な場所でこれほど多くの奇妙な出来事が起きるというだけで、いつもの書店が少し違って見えてくる。その感覚も含めて、楽しく味わえる一冊だった。