八木沢里志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語の舞台である森崎書店での日々を綴ったこの小説は、まさにヒーリング小説と感じました。ネタバレになってしまう内容は控えますが、自分の人生を肯定してくれるような小説でした。本は人の人生に寄り添ってくれる。そんなことを思わせてくれます。そして、店主の「人を好きになることを、どうか恐れないで。好きになれるうちは、いっぱい好きになっていい。人を愛することはすごく尊いことなんだ。たとえうまくいかなくても、誰かを愛した記憶は、それだけで人の心をじんわり温めてくれる」という言葉は、主人公だけでなく、読者にも温かさを与えてくれると思います。
続編も出るとのことなので、楽しみに待ちたいと思います。 -
Posted by ブクログ
大好きなお店を、久しぶりに訪れました!
そんな読み始まり。
変わらない顔ぶれに、安心感と喜びを感じる。
また、そのひとたちの、これまで見えなかった
それぞれに事情を知って、また深く、親しみを覚えて。
あぁ、人っていいなぁ。
人は、目に見えてることが全てではないのだなぁ。
そして、今回何よりも強く思ったのは
自分が好きだ、楽しいと思えることを大切にすること。
それが人生を豊かにし、また関わる人たちも
喜びのうちに幸せにできる可能性がある。
いや、何より、自分の心に、本当の心に
しっかりと向き合うことの大切さを思い知らされた。
今回は完結編。
あぁ、番外編でもいい、この人たちのその後を
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Posted by ブクログ
『夜食』
なんていい響きの言葉なんでしょう。
夕食ではなく、夜食。
受験や残業などで食べることもあるけれど、何となく小腹がすいて深夜に食べる食事。
少し罪悪感があったりして、それが一層美味しくさせる。
そんな夜食にまつわるアンソロジー本です。
ちょっと謎めいた作品もあれば、友情や愛情や家族にまつわるもの、仕事にかかわるもの。
どれにも共通するのは『夜食』、そしてどの話も読むと温かくなれるかもしれません。
夜食の時間に読み進めると楽しい読書になりそうです。
どの話もとても良かったですが、たぬきおむすび、ファミレス夜食、インスタントラーメンの話は特に気に入りました。
美味しそうな夜食だと思ったら -
Posted by ブクログ
路地裏にひっそりと佇む〈純喫茶トルンカ〉の扉が再び開かれる。
カラコロと鳴るカウベルの音。
店内にはマスターの立花さんと、娘の雫ちゃん。
挽き立てのコーヒーの芳醇な香りと、静かに流れるショパンのピアノ曲の調べ。
ページをめくった瞬間、あぁ、またここに帰ってこれたのだと心から嬉しくなりました。
〈純喫茶トルンカ〉は、常連のお客さんがまるで家族みたいに集まる、温もりに満ち溢れた場所。
マスターを含め、ここに集う人たちは、後悔だらけでも現実から逃げないですべてを受け入れて、誰もが前を向いて生きている。
マスターが心を込めて入れる一杯のコーヒーに、こんな不思議な力があるなんて。
人々の日常に〈純喫茶