八木沢里志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『純喫茶トルンカ』は、東京の下町・谷中の喫茶店トルンカが舞台。美味しい珈琲と、訪れる人々の人間模様が語られます。
マスターの淹れる珈琲の描写は、香りが漂ってきそうなほど。作者は『森崎書店の日々』の八木沢里志さん。
三つの短編ではトルンカのバイト、客、店主の娘の視点で描かれます。他の二作はすてきだったけれど…。
喫茶店の同じ場所で営業しているトルンカ。昔の客が恋人の思い出を懐かしみ、その娘と出会うのですが、男に都合のよいファンタジー過ぎて今ひとつでした。
だいたい、自分が捨てたくせに、思い出の場所でいつまでも待ってるわけねーだろ。
憤りすら感じてしまい、ほかの続編がまだ読めていません…。 -
Posted by ブクログ
八木沢里志さんの『きみと暮らせば』をAudibleで耳読しました。
最近は、自分の感情や心の奥深くにある思いと向き合うような、少し重めの本を読むことが続いていました。そんな中で、この作品は聴いているだけで心がふんわり温かくなる一冊でした。
日常の何気ない出来事や会話が丁寧に描かれていて、陽一とゆかりのやりとり、そして猫のたねださんの愛らしい仕草に何度も頬がゆるみます。特別な事件が起こるわけではないのに、そのやさしい空気感に自然と引き込まれていきました。
八木沢さんの作品は以前から好きでしたが、改めて「温かさ」を感じました。心を大きく揺さぶる物語も好きですが、いつもの日常の中にある小さな幸せや優しさに気づかせてくれる物語も、そばに置いておきたいと思いました。
特にたねださんの存在がとても魅力的で、猫好きの方にはぜひおすすめしたい作品です。忙しい毎日の中で少しほっとしたいときに、やさしく寄り添ってくれる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレAudibleで聴いた『新装版 森崎書店の日々』は、まさに「ヒーリング小説」という言葉がぴったりの、じんわりと心が温まる物語だった。
あらすじだけを言えば数行で終わるほどシンプル。さらに、著者自身があとがきで触れている通り、デビュー作ゆえの少しこなれていない部分もあるが、むしろその飾り気のない素朴さこそが、この作品の大きな魅力である。だからこそ、世界中で大ヒットし、多くの人々に愛されていることにも納得した。
傷ついた人々が神保町の古本と温かい人々に触れ、ゆっくりと再生していくプロセスは、Audibleの朗読を通してこちらの心まで優しく解きほぐしてくれる。派手な事件は起きなくても、聴き終えたあとには胸の奥に確かな温もりが残り、また明日から少しだけ優しく生きていこうと思える。人生に寄り添い、立ち止まることを肯定してくれるお守りのような、素晴らしい読書体験だった。