玄侑宗久のレビュー一覧

  • 阿修羅

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    玄侑宗久『阿修羅』講談社文庫。

    不可思議な人間の精神世界の深淵を描いた作品。解離性同一性障害をテーマにした小説の場合、よくあるパターンは犯罪が絡むミステリーやサスペンスなのだが、この作品は両者のパターンには当てはまらない。精神科医が3つの人格を持つ女性の過去のトラウマを突き止め、人格を統合しようとするというストーリーである。が、本作も小説という性格上、単純なハッピーエンドの結末にはならないことだけ付け加えておく。

    旅行先のハワイで妻の解離性同一性障害の人格交代に戸惑う夫。

    田中美佐子には友美と絵里という3つの人格を持っていた。夫の智彦は突然の友美の出現に驚き、精神科医の杉本宗一郎に助けを

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    2021年09月07日
  • 現代語訳 般若心経

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    面白かったです。
    「仏教の辿り着いた世界観は、科学分野での研究成果と(それほど大きな)齟齬を来さない」と主張されており、時折、科学の話が挿入されるのが印象的でした。
    般若心経を通して、仏教の合理性、哲学的を存分に感じることが出来るかと思います(ただし、本書の著者は、合理性でもって全てを理解した気になるという態度には否定的です)。

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    2021年07月27日
  • 現代語訳 般若心経

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    読みやすい様に書かれてると思うけど、一つ一つの言葉の読み方、意味が難しい。
    ただ般若心経がなんなのかは漠然と分かった気がする。

    仏教の本は初めてだったが、興味が持てた。
    知識を持った後でもう一度読んだらより楽しめると思う。

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    2021年05月29日
  • 現代語訳 般若心経

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    般若心経について、詳しい意味(大本ベース)の説明、読み下し(小本)、そして実際に唱える際の音読の読み方までコンパクトにまとめた一冊。

    知恵、真理に近づきたいと努力するなら、研究するにはよい自習書だと思います。

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    2021年02月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス 荘子

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    効率性を重視するな、など生きていく上で普段自分が考えてる事とは真逆の事が説かれている。

    確かに天から見たら、1人の人間が色々と考えてもしょうがないのかもしれない。

    色々と気付きを与えられた気がする。もう少し自分も楽に生きてみよう。

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    2020年11月03日
  • 阿修羅

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    人の心の神秘をのぞくことができた。
    もしかすると記憶喪失というのも解離性同一性障害のために起こることなのかもしれない。
    人は自分の中に物語を作って納得させながら生きていくものだ。「こうだからこうなった」と。物語をうまく統合できないときばらばらな交代人格が現れる。
    阿修羅像を見つめたくなった。

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    2020年02月06日
  • 中陰の花

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    第125回芥川賞受賞作 

    中陰とはこの世とあの世の中間 と表紙にある。聞き慣れない言葉を解釈したものか。

    則道は禅宗の僧侶で 圭子と結婚して6年目になる。子供はいない。一度妊娠したが4週目で流産をした。圭子は今でも少し拘っている。

    則道は檀家の行事・葬式や法事を行っていて説法もする。だが大阪の町から来た圭子は仏教に縁がなく育っているので、何かにつけて教えて欲しいと言う。だが、則道はそれに明確な答えをすることが出来ない。
    科学が進んだ現代、釈迦の教えを科学的な現象に置き換えて話すことをする。

    知り合いで檀家のウメさんはおがみやと呼ばれていて相談者は信者と言うことになっている。

    ウメさん

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    2020年01月13日
  • NHK「100分de名著」ブックス 荘子

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    ネタバレ

    「荘子」は倫理で昔習ったが、この本を読んで「荘子」のことをより深く理解することができて良かった。この本を読んで、物語が人に必要な理由がわかった。P68の庖丁の話が1番印象に残った。この本は読んですぐに役に立つ即効性は無いが、今のやり方に行き詰った時に新しいアイディアの元になりそうな本だと思った。

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    2019年09月18日
  • 光の山

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    東日本大震災に見舞われた福島でのフィクション7編。震災後も苦難の体験の中、諦念でなく、生に対して一条の光を感じて生活する登場人物たちに共感する。2019.5.18

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    2019年05月18日
  • 流れにまかせて生きる 変化に応じる「観音力」の磨き方

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    仏教の教えに則って、人の世の生きづらさを軽減してくれる本。

    要点は3つ。

    自意識(私)を薄めること。
    柔軟であること。
    今を大切にすること。

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    2019年02月27日
  • 中陰の花

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    ネタバレ

    表題作は僧侶・おがみや・医者・宗教体験を語る人など主張がそれぞれ食い違いそうな、垣根をこえた登場人物が出てくるが、フラットでどちらにも寄らない結末なのが良かった。でも和尚には和尚の誇りと確固たる禅の教えがあり、そこは揺らがない。無理に感動的に仕上げたりしないところが好み。
    光となって物凄い速さで極楽浄土に向かうの、なんか縁起いい感じがするな〜とか、亡くなるその瞬間は苦しまないって本当かな〜とか、法事で説法を聞いている時に似た感覚で読んだ。

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    2019年01月04日
  • 禅的生活

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    ネタバレ

    若干理解が誤っているかもしれないが、
    ・本来の自分は動物的なもの。
    →p.64 本来の自己は傷つきもしないし汚れもしない。しかし作り物の自己は作り物であるが故に傷つき汚れやすい。迷いも、この作り物の自己に特徴的な現象なのだと思う。…禅が否定するのは学習や経験によって形作られた価値判断やスキキライによって、今の出逢いに余計なものが介在することだ。「先入観」なく、出逢えというのである。

    煩悩とは…p.119
    1.全体視機能(いっしょくたに見ちゃう)
    2.還元視機能(細部ばかり気にする)
    3.抽象機能(概念に溺れて具体を見ない)
    4.定量機能(数えたり計ったりして、もっと欲しがる)
    5.因果特定機

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    2018年12月15日
  • 現代語訳 般若心経

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    ネタバレ

    衝撃的だったし、一度では理解しきれないので、読後即座に二度読み。即座に二度読みは人生初。まだ理解はできていないと思うが。

    1.自分が、自分が、、の現代にあって、「「私」をなくすことが幸せ」と説く。


    2.今まで常に何かを得よう、勉強しよう、とがんばってきたような気がするけど…

    ―どうしても私たちは、なにかを学ぶ、知識を得る、という次元で全てを処理するクセがついています。これも大脳皮質の強力な支配体制のなせるワザなのでしょう。本物の「いのち」の上に息苦しい虚構を作っていることに、なかなか気づかない。しかも「得た」と思うのは常に「私」です。タメになった、などと思っているうちはまだまだ「般若波

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    2018年11月11日
  • NHK「100分de名著」ブックス 荘子

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    資本主義の限界やら、シンギュラリティ(ほんとに来るかどうか分からんけど笑)が話題に登るこの時代だからこそ、意味のある考え方かもしれない。
    超俯瞰した視点は実に面白い。

    P55「人はただ人間という形に嵌って生まれたことを喜んでいるけれど、今のこの人間の形など、次々に変化して窮まりないものだ。その変化に対処することで得られる楽しみこそ計り知れないものじゃないか」

    P58 荘子の妻の死に際し荘子曰く「初めは悲しかったけれど、命というもののそもそもの始まりを考えてみれば、もともとおぼろで捉えどころの無い状態でまじりあっていたわけだ。(中略)その形が変化して生命ができた。それが今また変化して死へと帰

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    2018年10月29日
  • 荘子と遊ぶ ──禅的思考の源流へ

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    NHKの100分で名著で、荘子について とてもわかりやすく説明されてました。これを読んで 理解が深まりました

    中公クラシックスの荘子も すぐ ネットで購入しました

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    2018年07月25日
  • 竹林精舎

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    道尾秀介『ソロモンの犬』の登場人物のその後。

    勿論、その作品を読んでいなくても楽しめる。


    軽い感じで読み進められる。

    ご住職という事からか、
    日々、漠然と思っている事がきちんとした言葉になって連ねられている箇所があり、老い先短い人生を納得して生きる喜びを味わえるかも、という気持になった。
    ありがとうございます。

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    2018年05月04日
  • NHK「100分de名著」ブックス 荘子

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    NHKで放送された100分de名著の荘子のネタ本。
    老荘思想の荘子の概要を説明している。
    何かと人為的でべき論になりがちな儒学と一線を画した、無為自然を旨とする生き方は、別の生き方の提示をしてくれている感じもするが、分かりやすく感じるところと、難解に感じるところと両面あり、腹落ちしないところもある。
    受け身こそ最大の主体性と主張しているのは、今でいうレジリエンス的な発想なんだろうと思う。
    荘子自体も座禅や瞑想的なことをしていたようなことも説明されていて新しい発見があった。禅との親和性もあり、道理で影響を与えたのも納得だ。曹洞宗の難解な世界観はきっと荘子の影響だと思う。ただ自分の老荘思想の隠遁者

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    2017年07月15日
  • 禅的生活

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    禅語のシャワーを浴びつつ、身近な物事への禅的見方を学びとれる。個人的にこの世界に対する態度は共感できる

    著者はなかなかの博学で、宗教的覚醒状態への神経学的アプローチの話や西洋哲学とのカラミ等面白い話題も多々あった

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    2017年05月02日
  • 日本人の心のかたち

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    ネタバレ

    2017.3.16
    部は競争を促し、伴は和合を重視する。伴は専門職を目指すのではなく、いわば家庭の営みの延長なのである 欧米には労働そのものが苦行とも受けとられている
    2022.4.13
    われわれは事はすなわち神様が傍にいて下さる。だから楽しいのである
    どんなにミクロな世界を拡大し、あるいは遺伝子まで追求しても、そこにあるのは病に関係のないあとや素質に過ぎないのでないのではないだろうか

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    2017年03月16日
  • 慈悲をめぐる心象スケッチ

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    筆者はこの文章の文種をはっきり言わない。エッセーとも何ともつかないというような言い方をしている、私はとてもわかりやすい評伝であったと思った。
    仏教の視点から見る宮沢賢治、これは今までも多かったと思うが、しかし、この本で発見をたくさん感じたのは、やはり筆者の賢治への思い、賢治からの学び、そういうものが明らかになっているからだと思う。
    読み応えがある、しかも、分かりやすい。伝わってくるものが多い。
    この本をもって、再び、花巻を訪れたい。
    良い本を読んだと思う。

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    2017年03月15日