あらすじ
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。はたしてそうなのか。著者は反芻(はんすう)し、問い直す。しかし賢治はそう確信して「慈悲」を希求し、それゆえ自らに怒りを向ける。「世界のぜんたい」に人生を捧げる。痛ましいほど美しく清らかな賢治の想いを、同じく文学と宗教に生きる著者が描く。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
賢治は童話も書いているから、その作品は小学校の国語の教科書から、もう、掲載される。
けれども、それを100パーセント近く理解出来る人間はほとんどいない…と、私は思っていた。
教科書にはよく「やまなし」など載っている。
しかし、これは大人になった今でも理解不能な部分が多い。
多分、先生も理解していないだろう、なのに、生徒に教えなくてはいけないとは…同情を禁じ得ない。
なのに、教科書に載っているという事は、載せなくてはいけないほど重要な作家なのだな、とは思っていた。
しかし、理解できないままでいいとも思っていました。
賢治に限らず、『読んだけど、全部は分からなかった』という読書も多くあるし、それはそれでいいと思う。
しかし、この本は今までとは違った方法で賢治を描き出していました。
良いことを言っているのだろうが自分には感動できない…と思っていた『雨ニモ負ケズ』が、初めて色彩を持って心に染み込んできた。
宗教の専門的な話は難しかったですが、全部は理解できなくても、読んで良かったと思える貴重な一冊でした。